美容室がホットペッパービューティーに頼らずに集客をする方法とは?
美容室を経営するうえで、新規顧客の獲得は永遠の課題です。多くのサロンがホットペッパービューティーに依存していますが、高額な掲載費用や価格競争による利益率の低下といった課題も存在します。
本記事では、美容室がホットペッパービューティーに頼らずに新規顧客を獲得し、持続可能な集客基盤を構築するための実践的な方法をご紹介します。コスト削減と同時に独自の集客力を高め、サロンの経営安定につながる戦略を検討していきましょう。
美容室はなぜホットペッパービューティーに依存してしまうのか?
美容室が新規集客においてホットペッパービューティーに依存する理由は、その圧倒的な集客力にあります。ホットペッパービューティーは美容系の集客媒体・予約サイトの中で最大規模の宣伝を行っており、知名度は抜群です。

Googleトレンドによる検索数比較でも、ミニモや楽天ビューティーと比較して、サービス名での検索量は圧倒的にホットペッパービューティーに集中しています。
年間予約数は8,750万回以上で、日本人の約5人に1人がホットペッパービューティーのウェブ予約を利用していると推測されています。このような圧倒的な集客力から、多くの美容室が新規顧客獲得のためにホットペッパービューティーを活用しているのです。特に開業したばかりのサロンにとって、手軽に新規顧客を獲得できる魅力的なツールとなっています。
ホットペッパービューティーに頼り過ぎるリスクとは?
しかしながら、ホットペッパービューティーへの過度な依存は、美容室経営にいくつかのリスクをもたらします。まず大きな問題は高額な掲載費用です。基本的なプランでも月額25,000円かかり、激戦区では月額50万円にもなるプランが存在します。このような高コスト構造は特に小規模サロンの経営を圧迫する恐れがあります。
また、ホットペッパービューティーでの集客は価格競争に巻き込まれやすい傾向があります。クーポンや価格訴求に頼った集客となるため、利益率が低下する可能性もあります。
さらに、ホットペッパービューティーの料金プランは頻繁に改定されることがあり、「採算性が合わなくなった」という声も少なくありません。
つまり、ホットペッパービューティーに集客を依存すると、経営が振り回される可能性が高くなります。美容室がホットペッパービューティーだけに集客を依存すると、自社の独自性や強みを活かした集客戦略を構築する機会を逃し、長期的な経営安定が困難になるリスクがあります。
美容室がホットペッパービューティーに頼らない集客方法5選
美容室がホットペッパービューティーに頼らずに独自の集客力を高めるための方法はいくつもあります。
施策 | 内容・効果 |
---|---|
MEO対策 | Googleマップ検索での上位表示により、スマホで美容室を探す顧客の集客につながる |
LINE公式アカウント | 日本人のLINE利用率は70%以上。予約機能や顧客とのコミュニケーションツールとして非常に効果的 |
自社ウェブサイト+SEO対策 | 地域名+「美容室」などのキーワードでSEO対策を行い、検索からの集客を強化 |
SNS(Instagram等)の活用 | 情報発信により、特に若年層への集客に効果がある |
会員制度・特典プログラムの導入 | 既存顧客のリピート率向上や安定した集客につながる |
これらの方法を組み合わせることで、ホットペッパービューティーに頼らない持続可能な集客基盤を構築できます。
①MEO対策
Googleビジネスプロフィールは、美容室が無料で活用できるGoogleのサービスに表示される店舗のプロフィールページです。
現代の消費者は「近くの美容室」と検索してサロン選びをする傾向が強く、Googleマップでの表示順位が来店の大きな決め手となっています。効果的に活用するためには、まず店舗情報(名称、住所、電話番号、営業時間など)を正確に登録することが基本です。さらに、サロン内外の写真をアップロードし、魅力的な説明文を掲載することで、店舗のことを知ってもらった上で、予約が入りやすくなります。
特に重要なのが口コミ対策です。お客様に積極的に口コミ投稿を促し、それらに対して迅速かつ丁寧に返信することで、サロンの評価と信頼性を高めることができます。SMSメッセージやLINE公式アカウントのリッチメニューから口コミを書きにいけるようにするなどの工夫を行い、良い口コミを蓄積することが重要になります。

②LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、美容室の集客とリピート率向上に効果的なツールです。日本のLINEユーザー数は約9,500万人で、人口の約70%以上がLINEを利用しており、メッセージの到達率も高いという特徴があります。
美容室がLINE公式アカウントを活用することで、予約の受付、リマインドメッセージの送信、特別クーポンの配布などが可能になります。特に注目すべきは、POSシステムとLINE公式アカウントを連携させる機能です。これにより「3ヶ月来店のないお客様」や「特定のメニューを利用したことのあるお客様」など、ターゲットを絞った効果的なメッセージ配信が可能になります。
また、LINEでのショップカードやクーポン機能を活用することで、紙の管理が不要になり、顧客の利便性も向上します。さらに、ステップ配信機能を使えば、友だち追加後に段階的にメッセージを送信し、来店意欲を高めることができます。
美容室の集客において、LINE公式アカウントは導入コストが低く、効果が高いツールとして活用すべきでしょう。
③SEO対策
自社ウェブサイトの構築は、美容室がホットペッパービューティーに頼らない集客の基盤となります。美容室の雰囲気やスタイリストの技術、施術内容などを詳しく紹介でき、サロンの魅力を存分に伝えることが可能です。特に重要なのが自社ブログの設置です。トレンドのヘアスタイルや髪の悩み解決法、ヘアケアアドバイスなど、顧客が知りたい情報を定期的に投稿することで、プロフェッショナルとしての信頼性を高めることができます。多くのお客様は「ブログに載っているこの髪型にしてください」と指名してくることも珍しくありません。
また、自社予約システムを導入することで、ホットペッパービューティーを介さない直接予約も可能になります。地域名と「美容室」などのキーワードでのSEO対策を行うことで、検索エンジンからの流入増加も期待できます。
④SNSを活用した美容室の効果的な集客方法
SNSは美容室の集客において非常に効果的なツールです。特にInstagramは画像をメインとしたプラットフォームであり、ビジュアル重視の美容業界との親和性が高いと言えます。
20〜34歳の女性(F1層)は情報をSNSから入手する傾向が強く、これがきっかけで新しい美容室を見つけるケースも多いです。SNSを効果的に活用するためには、施術前後のビフォーアフター写真や、スタイリストの作品、店内の雰囲気などを定期的に投稿することが重要です。また、ハッシュタグを適切に使用して、地域名や特徴的なキーワードを含めることで、検索されやすくなります。地域を限定したターゲティング広告を出稿することも効果的な集客方法です。
さらに、インフルエンサーとのコラボレーションを通じて、サロンの魅力を効果的に伝え、広範囲にわたる露出も可能になります。美容室の集客において、SNSは低コストで高い効果が期待できる重要なマーケティングチャネルであり、ホットペッパービューティーに頼らない集客の柱となります。
また、Meta広告を使えば、エリアを絞り込んだ広告を出稿することができます。実際に来店が可能な商圏の範囲内に継続して広告を出すことで、アカウントの育成のほかに、実際の集客数も増やすことができます。
⑤顧客リピート率を向上させる仕組み作り
美容室が安定した集客を実現するためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリピート率向上が不可欠です。一般的に美容室では、何も対策をしなければ顧客の30%が3ヶ月以内に離反すると言われています。
このリスクを軽減するために、顧客管理システムの導入が効果的です。来店履歴や施術内容、顧客の好みなどを詳細に記録し、次回の提案や個別のフォローに活用します。また、リピーター獲得のための独自のロイヤルティプログラムも重要です。オリジナルポイントシステムの導入、会員限定のスペシャルメニュー提供、誕生月特典の実施などが考えられます。友人紹介特典を設けることで、既存顧客からの紹介による新規顧客獲得も期待できます。さらに、定期的なフォローメールやLINEでのメッセージ配信で、顧客との接点を増やすことも大切です。
美容室の集客において、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストよりも高いため、リピート率の向上は経営効率の観点からも重要な戦略と言えるでしょう。
ホットペッパービューティーからの段階的な脱却方法
ホットペッパービューティーから一気に離れることはリスクが高いため、段階的な脱却が賢明です。
ホットペッパービューティーを完全に解約する前に、他の集客チャネルを整備・強化しながら、掲載プランを徐々に下げていく方法が効果的です。例えば、ホットペッパービューティーからの新規客が現在100人/月の場合、自社集客を50人/月まで増やせたら、ホットペッパービューティーのプランを下げて新規集客を50人に調整するといった形です。この過程で重要なのが、ホットペッパービューティー経由で来店した顧客に対して、次回からの直接予約を促す施策です。具体的には、LINE公式アカウントへの登録促進、自社予約システムの案内、リピート特典の提供などが効果的です。
また、ホットペッパービューティーは利用者側からすればポイントが付与されるなどのお得な要素があります。自社予約システム経由で予約を行った際に、値引きや独自のサービスが付いているなどの特典を用意することで、自社システムでも予約してもらえるようになってきます。