リピート率向上施策とは?リピーター率との違いや計算方法も解説

売上を伸ばすためには、新しいお客様をロイヤルカスタマーに育て上げることが鍵です。この過程で欠かせないのが「リピート率」の対策です。
リピート率が低いと、新規顧客を引き寄せるための高い広告費に依存してしまうため、結果として利益率が低くなります。さらに、新規顧客の集客には限りがあります。そのため、持続可能な利益を追求するには、リピート率を高く保つ戦略が不可欠になります。
リピート率の向上には、顧客管理の施策が影響します。そのため、店舗ビジネスであれば、POSレジを理解する必要があります。以下の株式会社スマレジが提供するホワイトペーパーはわかりやすいです。

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リピート率とは何か?
リピート率とは、新規顧客の中で2回目以降も購入してくれた人の割合を示す重要な指標です。この指標は、新規顧客が定着している度合いを表す指標です。逆に、リピート率が高いと、顧客がしっかりと定着している証拠であり、営業利益率も向上します。これは、再購入にかかる集客のコストが、新規購入に比べると20%以下とされているからです。
リピート率の向上は、新規顧客を獲得するのと同じくらい重要です。特に、サブスクリプションモデルを採用している通販ビジネスでは、顧客が毎月課金される仕組みなので、解約を防ぐための施策が必要です。これは、顧客離れを5%改善すれば、その利益率は25%改善されるという5:25の法則に由来するからです。
リピート率とリピーター率の違いとは?
リピート率が高い状態は、新規顧客が効率良くリピーターになっていることを意味します。それに対して、リピーター率が極端に高いことは、新規顧客の割合が低いことを意味していることになり、新規顧客の集客がうまくいっていないことを意味します。
リピート率の計算式は以下の通りです。
リピート率(%)=特定期間内のリピート顧客数÷新規顧客数×100
例えば、1年の新規顧客が1万人だったとすると、そのうちの2回以上来店した人が4,000人だったとします。この時の1年のリピート率は40%となります。
リピート率に類似する指標には、リピーター率があります。リピーター率とは、全ての顧客のうちリピーターが占める割合のことを意味します。リピート率は、新規顧客が定着する指標なのに対して、リピーター率は顧客比を示した指標です。
リピート率(%)=特定期間内のリピート顧客数÷全顧客数×100
例えば、1年の顧客が1万人だった時に、全体の取引のうち、リピーターが4,000人を示していた場合は、リピーター率は40%です。
これらの違いがわかりやすい実例を紹介します。リピート率が高いのは、大型商業施設です。これは、新規顧客も多く、買い物のスポットとして定着しやすいからです。それに対して、リピーター率が高いのは地元の定着顧客で成り立っているスナックや家族経営の居酒屋です。新規顧客は入店しづらいですが、1人当たりのLTVが極端に高いのが特徴です。
リピート率と顧客維持率との違いとは?
顧客維持率とは、一定期間中に契約を継続している人の割合の意味する指標です。顧客維持率が高いほど、ロイヤリティが高いことを意味しています。
顧客維持率=( 最終的な顧客数-新規顧客)/最初の顧客数 × 100
顧客維持率は、単品通販などのサブスクなどで文字通り顧客維持がどれだけできているかの指標であり、2回目、3回目の再購入とその周期の決定権が顧客側にあるビジネスとは用いられる背景が異なっています。
リピート率の平均値は?
リピート率は業界によって異なります。
- 食品や生活用品: 50%
- 旅行サービス: 45%
- アパレル: 35%
- 家電: 25%
- 食品業界: 40%前後
美容室やサロンの場合は、60%以上が望ましいです。美容室では、男性は1ヶ月〜2ヶ月、女性は3ヶ月が来店周期になります。そのため、この期間を目安に、失客の処理をします。また、店舗では、何もリピーター対策をしなかった時には、3回来店のリピート率は20%以下となります。
リピート率が、仮に40%で2回目と3回目の来店も40%とすると、3回目まで来店する割合=40%×40%=16%です。これが、リピート率が60%だったとすると、3回目まで来店する割合=60%×60%=36%です。平均単価が厚生労働省の統計では6,000円なので、仮に客数を年間4,000人(1日平均10人を毎日+休日の増加分を考慮した概数)とすると、
リピート率が60%の時に比べて40%の時の売上の損失=(1回目の来店+2回目の来店+3回目の来店)の差×平均顧客単価×客数=40%×6,000円×4,000人=960万円
美容室は定着すると、なかなかお店を変えることがない上に、消費のサイクルが飲食店などに比べると長いです。リピート率が低いと、新規顧客が難しいため利益を上げることができずに、ビジネスモデルが破綻します。
リピート率が低い原因とは?
リピート率が低い原因は、以下の通りです。
期待値を満たしていない、顧客満足度が低い
顧客が持っている期待値を満たせていない場合、リピート率は自然と低くなります。商品の品質が期待以下であったり、サービスが不十分であると、顧客は次回利用する意欲を失います。さらに、顧客満足度が低いと、口コミも悪化し、新規顧客の獲得が難しくなる可能性が高まります。期待値を満たしていないと感じられれば、顧客は他の選択肢を探し始めるでしょう。
価値が低い
商品やサービスが顧客にとって十分な価値を提供していない場合、リピート率は低くなります。価格が高すぎる、または同じ価格で他社がより良いサービスを提供している場合、顧客は他の選択肢を探します。価値が低いと感じられれば、リピートする理由がありません。
価値は認められているが、再利用のきっかけがなく忘れ去られている
商品やサービス自体は良いと認められていても、再購入や再利用のきっかけがないと、顧客は次第にその存在を忘れてしまいます。例えば、定期的なフォローアップや特別なプロモーションがない場合、顧客は他の選択肢に目を向ける可能性が高くなります。再利用のきっかけ作りは、リピート率を高めるために重要です。
リピート率を高める対策とは?
リピート率を高くするためには、再購入をする気にならなければなりません。つまり、初回の購入体験が非常に重要になります。初回の購入体験の改善を満たした上で、アフターフォローの充実化や会費制の導入などの仕組みを導入すると効果があります。
リピート率向上策① 初回の購入体験を改善する。
2回目の購入は、1回目の購入した時の体験が期待値を超えたものでなければ生じません。例えば、料理が美味しいレストランでも、接客で深刻な問題があった時には2回目の再利用は見込めません。また、一般大衆店であっても、なんの問題もなく、気遣いが一つあっただけで、2回目の再利用をしようと思う気持ちになります。そのため、品質の高さ自体が問題なのではなく、その商品やサービスにどの程度期待し、それを超える要素が初回の購入の時にあれば再購入が見込まれることになります。
通販であれば、その人が求める条件を満たしていることが重要です。そのため、顧客ニーズを軸に、差別化を行い、商品開発を行って、見込客の期待通りの製品にすることがリピートにつながります。
リピート率向上策② アフターフォローを充実化する。
リピーターになるということは、その商品やサービスが欠かせないものになるということで、日常的に活用するものに組み込まれているということです。そのため、業務改善のためのSaaSなどは、日常的に不自由なく使用していると他社製品に変更することが難しくなります。
そのため、利用方法を教える動画教材やユーザー同士の交流を強化するためのコミュニティー形成やイベントを企画するなどがリピート率を高めることに効果的です。
リピート率向上策③ サブスクを導入する。
人気の倉庫型スーパーのコストコは、年会費制を採用しています。年会費制にすることで、収益を高めることができますし、費用を負担したことで元を取ろうとして積極的に買い物をしようと思うようになります。サブスクの仕組みを来店動機にも使うため、年会費制にしています。
単品商品の通販では、消耗品をおおよそ1ヶ月で使い切る量を販売し、1ヶ月ごとに自動継続させています。つまり、解約されなければ、リピート率は高水準を維持することができます。
リピート率向上策④ コミュニケーション手段を確立する。
リピート率の低下を巻き起こす原因に、存在を忘れてしまっていることや購入するタイミングがなくなってしまうことがあります。これを防ぐためには、こちらから定期的に購入のきっかけを作ることが重要で、情報を提供できる仕組みの構築が必要になります。
この時に、LINE公式アカウントに登録してもらったり、専用のアプリをダウンロードしてもらうことで、情報を受信してもらえる環境にすることがとても重要になります。もちろん、登録してもらうだけでは意味がなく、しっかり興味のある情報を発信することも必要になりますので、集客を目的にした企画も行なっていきます。
まとめ
リピート率は、新規顧客が期間内に再購入した割合のことを意味しており、リピート率が低いと初回の購入体験に問題があったことや競合他社の方が条件が良かった、もしくは購入意欲がなくなったことを意味しています。マーケティングの重要指標であるLTVの基本指標でもあるため、対策が必要です。
リピート率が高いビジネスでは、新規顧客の集客で得られる売上や利益が大きくなります。逆にリピート率が低いと顧客が戻ってこないため、市場規模が小さい地方の店舗ビジネスでは、新規顧客の集客が次第に難しくなります。