失敗の危険性を減らす通販の始め方

リアルビジネスでの業績の悪化から、商圏を拡大するために通販を始めようと考えている人は少なくありません。
ただし、何も考えずに通販を始めると、通販には物販以上に手数料がかかることに気がつかない場合があります。そして、その手数料を全部価格に乗せると、とんでもない金額になり、その手数料を減らすために、例えばクレジットカードを導入しないなどの馬鹿げた判断をする場合があります。
通販を実施する前に、必ず以下の項目を決めてから実施しなければなりません。
通販を実施する前に確認しておくこと
通販を実施する場合は以下のコストが必要になります。
つまり、通販を実施する場合は、これらのコストを支払っても利益(額)が残るようにしなければなりませんので、粗利率の高く、かつ単価の高い商品を扱わなければなりません。
利益率の低い商品をそのまま通販で販売しようとすると、手数料を吸収しきれず、クレジットカード決済ができない場合や集客にコストをかけることができず、全然売れないなどの現象が発生しやすいです。
手数料
通販を実施する場合、手数料が予想以上にかかります。
種類 | 手数料率 | 概要 |
運賃 | 各社による | ほとんどの通販の場合は、もっとも大きな手数料になる。 最近の運送業界の待遇改善のため、料金は値上がり傾向にある。 |
クレジットカード | 3%程度〜 | 売上に対して、手数料率がかかってくる。 最も利用者が多い決済方法であるため、使わない選択肢はそもそもない。 |
代金引換 | サイズや重さによる | 代金引換を行う時に負担が必要な手数料。 |
梱包費 | 手数料ではないが、通販を実施する場合は、一定以上のこぎれいな梱包が必要。 みかん箱のような梱包はご法度。 |
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決済代行費用 | 必要に応じて | 後払いなどを実施する場合は、別途契約が必要になる。 |
集客
全く考えずに始めてしまう人が多いですが、通販を行うということは、新しい商圏では認知されていないことです。
そのため、通販を実施する場合は、最初から十分な予算を組み込んでいなければ新規の顧客を獲得することができません。
出店費用
例えば、自社サイトで通販を行う場合は、通販サイトの構築が必要になります。
最近は、無料で通販サイトを作成できるBASEなどのサービスがありますが、全ての決済に手数料が発生するデメリットもあります。
各種モールに出店する場合は、それらのシステム利用料を負担する必要性もあります。
売ることだけを考えた場合は、初心者の場合はモールを使った方が良いですが、固定費がかなり上がるイメージです。比較的安価なamazonがおすすめではありますが、モールを使った場合は、顧客リストの構築ができない決まりになっている場合があり、延々と集客にかかる費用を吸収できずに販売を実施することになります。
BASEとStores.jpで出店リスクを下げてネットショップを開設しよう。
手間コスト
通販には配送作業が必要です。
各運送会社との取り交わしに従った包装を実施する必要があります。
自分で実施できない場合は、代行してくれる倉庫会社がありますが、当然無料ではありません。
通販を実施する上での商品作り
上記のコストを吸収するのに見合った商品づくりが必要になります。
単価
商品をバラ売りで販売しようとする人がいますが、中には本当に一個単位で購入する人もいて、配送する手間がかかる割に、売上が伸びない原因になります。また、単価が安いと、クレームが増えやすく、通販をやる意味自体がなくなってしまいます。
基本的に通販で商品を購入する理由は、お店に行くことが面倒だからという理由とお店で買えないものが欲しいからの2つしかありません。
この理由に沿ったラインナップを揃える必要がありますが、基本的にまとめ買いを選択するような仕組みで通販をしないといけません。
高い粗利率
良質な米の通販などは儲けがほとんどありません。何故ならば、米の単価は守られていることもあり、仕入れ値が下がらないからです。
商品を選択する場合は、粗利率の高い商品を仕入れることをベースにして考えます。
最近は、中国の山奥の工場から直接仕入れるような通販が流行っていますが、これは高い利益率を維持して、集客にお金をかけれるようにしています。結局、通販は利益額が残らないと意味がありませんので、このような方法も正攻法に入ります。
通販のリスクを下げる方法
通販のことをよく知っている通販コンサルタントと計画を作る。
経費をかけないために、コンサルタントに依頼しない企業も多いですが、計画段階で相談して欲しかったというものが非常に多いです。(通販サイトの制作もやっているため、そっちの業者としてプロジェクトに参加する場合もあります。)
個人的な感覚ですが、利益率が5割切っているものは、通販では厳しい印象です。何故ならば、広告費が高騰している傾向にあり、最初の利益分は全て広告費にかけて、リピート率を高めにしておくくらいでないと売上は上がらないからです。
基本的に、SEOを実施するのが嫌な場合は、広告をかけない通販なんて失敗しますので、利益率がこれよりも低い場合は、LTV経営に変更して、かけることができる広告費を上げる必要性があります。(マーケティングの基本とは?小規模事業主でも実践できるマーケティング戦略)
そして、もちろん単価も高める必要があります。例えば、500円の商品の場合は、50%の広告費で250円までですが、5,000円の商品の場合は、50%の広告費で2,500円までです。
できることが全然違います。
補助金を活用する。
例えば、補助金の中には、IT導入補助金があります。活用できる費用に上限があるのですが、ウェブサイトの開発費を含むソフトウェアの開発及びクラウドの使用料の初年度分の半分の補助が出ます。
通販サイトに関しては、自社サイトを前提に開発するとやはりコストもかかります。ランニング費用もそこそこかかるシステムも多いのですが、開発費用と初年度のランニング費用を半額にできるのであれば、活用しない手はありません。
ちなみに、2018年度のIT導入補助金は予算が余りまくっていて、締め切りの12月中旬まで伸びていますし、受諾会社の中には、計画書の作成をする行政書士を紹介してくれるなどの対応を取っているところが多いですので、まだ間に合います。
まとめ
商圏への大手の進出が起こり、競争が回避できないから通販で商圏を広げようと考えているのは、みなさん一緒です。
それどころか、さらに強い企業が通販を先に行なっています。何も考えずに、通販をしようというのは完全に安易な時代になってきました。