値引きは悪なのか?
なかなか顧客が来てくれないことで、値引きに手を出してしまう店舗も多いです。一度頼ると、集客にまた困った時に、値引きクーポンで集客を発行。気がついたら、数え切れないほどの種類のクーポン券が手元にあったということにはなっていませんか?
そんな悩みを抱えている方は、このコンテンツを参考にしてください。
値引きに依存するとなぜダメなのか?
視点は、2つです。既存客の客層と利益を生み出す構造です。
既存客の客層が悪くなるから。
値引きに依存すると、値引き後の金額に魅力を感じてやってくる顧客が増加します。
フラッシュマーケティングが流行っていた時に、とてつもない値引きで顧客を集めている飲食店がテレビで紹介されていました。そのお店の人曰く、「この金額でお店のことを知ってもらって、次回来てくれれば良い」とのことでしたが、その後は一体どうなったのでしょうか?
残念ながら、大きな値引きを行なってしまうと、商品やそのお店の良さは関係なしに値引き後の金額だけに魅力を感じる人がその時だけ来店するのが一般的な現象です。大半というよりもそのほとんどが2回目以降の来店を行いません。
この値引きに反応する人々を俗称で値引きハンターと言います。インターネットや独自のネットワークで常に、安さを求めている人々です。
値引きで新規顧客を集め、リスト取りをすると、このリストには大量の値引きハンターが入り込みます。
そうなると、どんなことが起きるのか?勘の良い人ならば、すぐにピンとくるはずです。そう、大きな値引きを計画した時しか反響が取れなくなります。
本来相手にすべき対象顧客の割合が値引きハンターによって小さくなると、本来やらなければならない施策が後回しになり、値引きしないと忙しくならない状態に陥りやすくなります。
利益が十分に取れない構造になるから。
例えば、100円の商品から20円値引きます。
ここで原価の話になります。値引きをしても、値引きをしなくても原価は一緒です。
諸々の経費を合わせると、この商品を正式な価格で販売した場合、30円の利益が出るものとします。つまり、利益率は30%ですね。
100円の商品をそのまま販売 | 獲得できる利益は30円 |
100円の商品から20円値引き | 獲得できる利益は10円 |
簡単なことです。ここで、同じ利益を獲得するためには、この2割引で顧客数を3倍にしなければなりません。
値引きが常態化すると、既存客層が値引きハンターに入れ替わり、値引き後の金額が通常の金額になります。経営を楽にするために値引きによる集客を行おうとした結果が集客を逆に大変にしているパターンになります。
値引きしたいならば以下のことを考えて
かといって、値引きをしてはダメなのかと言われたら、そんなことはありません。考えた値引きならば、広告の投資対効果を上げてくれる強い武器になる場合もあります。
低原価で提供できる仕組みを
果物の安売りで客引きをするとします。果物の場合は、時期に応じて取引価格が違います。また、産地によって、質はいいけれども有名ブランドよりも取引価格が圧倒的に安いこともあります。
原価を抑えて提供できる場合、その分だけ通常価格を値引きすることができます。飲食店の場合は、これをやるためには、産地のお勉強をする必要があります。
全員サービスにしない。限定にする。
値引き商品の数量を限定にします。例えば、原価率が100%を超える商品を提供している店舗もありますが、これは完全に集客商品で数量を限定にしています。また、高い原価の商品は、SNS映えしますし、味も良くなりますので、良い口コミを引き起こすプロモーターになってくれる場合があります。
値引きは悪ではないが、薬と同じ
結論は、利益構造を崩すような値引きでなければ、悪ではありません。
ただし、安くしないと来ないからといって始めた安易な値引き及び安売りは、やればやるほど体力ばかり消費して利益が出ませんので、そこに頼る経営はやらないことをオススメします。