高齢者は本当にネットに疎いのか?ネット、ネットショッピング、クレジットカード利用率から紐解く

「自分のところのお客様に話を聞くと、ネットは見ないと言っている。」
「高齢者を対象にしているので、ネットを使った戦略は意味がないと思う。」
こういった類のことを言われることがあります。
別にネットを使わないなら使わないで改善することは可能です。
ただし、一旦立ち止まって考えて欲しいのは、高齢者はネットを使わないという思考は、何年代のものなのかということです。
高齢者がインターネットを使わないというのは果たして本当なのか?
パソコンに馴染みを感じるようになったのは、仮にウィンドウズが普及した95年以降だとします。この時、働き盛りの40歳だった方が、今の62歳です。そして、XPの第一世代で計算すると、01年は今から16年前ですので、当時の44歳だった方が、今の60歳になります。
つまり、パソコンを仕事で使ったことがある世代が確実に高齢化しており、その世代ではインターネットを利用することなんてわけがないことになります。
総務省28年度通信利用動向調査から、見てもわかる通り、60代のインターネット利用率は、約70〜75%を推移していることがわかり、70代では、最近は約半数がインターネットを利用していることがわかります。
そして、スマートフォンの普及率も60代では、平成28年度の調査で31.1%となっており、3人に1人スマホを持っているか持っていないかの水準になっています。(同調査より)
つまり、高齢者がインターネットを使わないというのは完全に偏見であり、個人の生き方によるものだということになります。
高齢者は、オンラインショッピングを利用しないというのは本当か?
さて、インターネットの利用率だけでは、高齢者を対象にしたインターネットのマーケティングが有効なのかがわかりません。どの程度、インターネットで物を購入したのかを見る必要性があります。
総務省「インターネットショッピングの利用状況」をみると、平成27年時点では、60代以上のネットショッピングの利用率は72.5%です。これは、なんと20代〜30代を超える水準であることがわかります。
利用の理由としては、実店舗に行かずして購入ができることがもっとも多く挙げられており、逆に利用しない理由には、決済手段のセキュリティーに関する不安、販売業者に対する信頼性が低いこと、実際に見てみないとわからないからが多く挙げられています。
高齢者は本当にクレジットカードでオンラインショッピングを利用しないのか?
これもよく言われることで、高齢の世代層は、クレジットカードで買い物をしないという偏見です。
JCBのクレジットカードに関する総合調査(2016年版)では、男性60代のネットショッピングのクレジットカードで過去3ヶ月以内に決済した人が34.5%、女性が33.2%です。分母がカードの保有枚数ですので、決済者が重複していますので、人数と言えないわけですが、それでもこの数値は、他の世代よりも少し低いくらいだということがわかります。
高齢者向けの通信販売を行う場合であっても、クレジットカード決済が有効であることがここでわかります。
まとめ
果たして、今の60代を高齢者にカウントするのはどうかと思いますが、販売者の立場としては、分類的に高齢者なので、そのようにカウントしています。ちょうど私の親世代であり、iPadで動画を見たり、Amazonで通販を楽しみ、えきねっとで新幹線の予約をします。
これらのデータより、対象年齢はインターネットを使ったマーケティングが失敗する理由にならないことがわかります。むしろ、ライフスタイルが利用の有無を分けるものだということになります。
販売業者としての信用性が低いことが、オンラインショッピングを利用しない理由として挙がっていることから、信頼性を高めるコンテンツ作成およびブランディングを行わないと通販の仕組みを導入しても厳しいということになります。