マーケティングプロデューサーの小形です。
飲食店は、儲けるハードルも高いが、儲けてからも大変だと言われる業界です。
理由は簡単です。人気があるものをすぐにそのまま模倣する店舗が登場するからです。例えば、ピザ&パスタの食べ放題店は、バイパスを走っていると2キロごとに1店舗見かけるほど密集していますが、昔はこんな状態ではなかったはずです。
例えば、これから3年、5年のスパンで全国展開を目指した場合、自店舗の模倣店は必ずといっていいほど出店を避けることができません。そのため、模倣できないように自店を象徴するようなシステムを特許として取得しておくのです。
話題になったいきなりステーキの特許出願
いきなりステーキを展開しているペッパーフードサービスの株価は、ここ2年の間で急上昇しています。積極的な商業施設や比較的交通の便が良い地点に積極的出店を続けており、2018年1月までで295店を国内に出店しています。
ちなみに、従来の柱であるペッパーランチは、国内では、122店にとどまっており、海外の出店数312店舗を大きく下回っています。
ここまで人気になると、例えば、肉を切り分ける独自のスタイルや肉を食べた量をデータベースに保存して、連動してポイントを蓄積してそのポイントでサービスを受けることができる肉マイルの仕組みを模倣した競合店の出現が心配されます。
特に、ステーキ店の場合は、文字通り肉を販売しています。競合店を無闇に増やすことは、仕入れ価格に影響を及ぼす可能性があり、容易に参入させることで、収益性を悪くされてしまう可能性があります。
そのため、店舗の独自の強みに該当するシステムを特許で保護するのです。
ちなみに、肉を提供する仕組みに関しての特許は取り消されているようで、肉マイルの仕組みが現在特許化されています。
いきなり!ステーキ新たな特許取得(ペッパーフードサービスHP)
この特許が取り消された翌月から、肉の量り売りスタイルのステーキ店の出店が増えているところをみると、特許の維持も戦いのうちなんですよね。
特許がないとどうなるのか?
例えば、特定のエリアに出店をしたいと思った時に、そのエリアにドミナント戦略をしている企業があれば、戦略的には不利になります。
例えば、そのエリアに出店した時に、その企業が模倣店を出店します。その模倣店のグループが商圏内に存在しますので、ブランディングにはコストがほとんどかからないからです。
特許を持っていれば、競合店の出店を威嚇することができますので、ブランディングする為の期間を最低でも得ることができ、どの地域でも強者のポジションを獲得する可能性が高まります。
そういった意味で、勢いのある飲食店にとって、出店数を増やすためには特許は重要なことになります。
話題になった任天堂とコロプラはどうなったのか?
少し前に、業界は違うのですが、任天堂とコロプラが特許侵害でもめていました。
人気のスマホゲーム白猫プロジェクトが特許侵害の舞台になったのですが、ぷにコンの機能性が任天堂が取得している特許の侵害になっているということで、44億円の損害賠償の訴えが起こっています。
(特許の詳しい中身は、特許の仕組みを解説したブログをみてください。このブログの結論はそこに求めていないので、紹介程度に止めておきます。)
注目されたのは、人気スマホゲームである白猫プロジェクトの今後とこの特許侵害の着地点だったわけですが、白猫プロジェクトをNintendo Switchで出すことが決定しています。
任天堂は、このコロプラの対応に対して、訴訟とは別の話としていますが、実際、どこを着地点として訴訟を起こしたのかはブラックボックスのままです。
コロプラのゲームは、既存の人気ゲームをスマホで作って人気にしているゲームメーカーですので、スマホにも進出した任天堂にとっては、コントロールできない競合に該当します。
白猫プロジェクトだけ、さらにいうと、コロプラだけを訴訟の対象にしたのは、同じ仕組みで儲けているスクエニなどとは違って、関係性がなかったからではないかと思われます。これもあくまで仮説ですが。