カフェの集客とは?具体的な集客方法の解説とおすすめのプランを紹介

カフェは、飲食店の中では難しい業態とされています。その理由は、客単価に対して滞在時間が長いことです。例えば、コーヒー1杯で2時間滞在される可能性があるのも、カフェの経営を難しくしている原因とされています。
カフェの集客は、滞在を目的にする利用が多いため、通常の飲食店よりもさらに立地に強い影響を受けやすいです。立地の良いテナントは、当然のように地価が高い傾向にありますので、重視しなければならないのは、以下の2つの要素になります。
- 顧客単価を高くすること
- 滞在時間を短くすること
新規のお客様を集客するためには、発見されやすくする工夫をすることです。例えば、Z世代にリーチするためには、Instagramに積極的に新メニューの情報を掲載したり、Googleビジネスプロフィールに、魅力的に見えるメニューを画像入りで掲載します。これによって、InstagramやGoogleマップで近隣を探索した時に、カフェが発見されやすくなります。
カフェの集客のポイントとは?
カフェの集客は、人通りが多い立地で、視認性が高いほど有利です。コメダ珈琲店やスターバックスは、都市部では駅近の立地で視認性が担保できるテナントに入っている場合が多いです。また、地方では、国道や県道沿いにあることが多く、入りやすさを重視しています。
また、カフェの場合、新規の集客のために広告宣伝費を使うことがほぼできません。そのため、お金をかけずに外部に情報を発信することができるSNSやブログの運用が重要視されます。
そして、何度も利用してもらうことで、LTV(一人のお客様から受ける生涯の利益)を最大化することが重要になりますので、LINE公式アカウントなどのメッセージアプリに登録してもらい、来店動機を付加できるようにしましょう。
カフェの顧客単価を向上させるポイントとは?
次にカフェの生命線になるのが、顧客単価の向上です。コーヒー1杯の提供だけでは利益額は大したことになりません。そして、そのまま長時間滞在されてしまうこともあります。
そのため、顧客単価を高くする工夫が必要になります。その際の価格設定としては、以下の2つに分かれます。
低価格+セット販売
例えば、ドトールでは10時30分までに軽食とコーヒーがセットになっているモーニングメニューを提供しています。価格を500円前後に設定しています。この金額は、コンビニで別途ホットドッグを購入してからドトールでコーヒーを飲む価格と大差ありません。そのため、お客様の視点では、「わざわざコンビニで軽食をする必要がない価格設定」をしていることになります。
高価格+付加価値型
コメダ珈琲店では、コーヒーの価格が高めに設定されており、11時までの注文には、山食パンやローブパン、ゆで卵などがついているモーニングメニューを提供しています。これにより、どの時間帯でもコーヒーの価格設定を高水準に維持できるほか、モーニングの時間帯に競争力を生むことができます。
カフェの滞在時間対策とは?
カフェの場合、長時間滞在するお客様の対策が必要になります。これは、「席が埋まっているならば、別のカフェにしよう」という選択をお客様に迫る結果になるため、回転率を悪化させてしまうからです。

例外的にスターバックスのように座り心地の良いソファーを用意し、快適な滞在ができるような店舗もあります。この場合は、コーヒーやドリンクの単価を高価格に設定されています。
固めの椅子にする
固い椅子に長時間座り続けるのは、負担がかかります。これにより、「長時間は座れないお店」という認識をお客様に持っていただくことができるため、滞在時間を短く抑えることができます。マクドナルドなどのファストフード店のほかに、ドトールでもこの施策が採用されています。
1人掛けのカウンター席を増やす
カウンター席を用意することは、長時間滞在する見込みのお客様にテーブル席を独占されてしまうことを防ぎます。長時間滞在するお客様がカフェにとって悪いお客様とも限りません。1時間以上滞在ができるお店の方がリピートしやすいからです。これらのニーズを逃さないためのゾーニング対策です。スターバックスをはじめ、ほとんどのカフェがこれらの席を用意しています。
カフェの集客に効果的な方法とは?
集客方法は、その地域でカフェを探している、利用したいと思っている人に対して、発見してもらいやすくするための対策が重視されます。また、継続的にコストをかけ続けることもできないため、メリハリが重要です。
1.ポスティングチラシで周辺の認知度を上げる
まずは地域の人々に存在を知ってもらうことを優先します。ポスティング広告はチラシを直接投函しますので、情報が確認される割合が最も高い集客手法です。チラシにはお店の売り、空間、テイクアウトの有無、どこにあるのかを分かりやすくまとめます。
ポスティングのやり方は、自分で配布する方法でも良いですが、自分の時間を使ってしまったり、部数を配布することが難しいことから、ポスティング業者を活用するのが良いでしょう。
カフェであれば、反応率は1%程度になります。そのため、100部配布して1組の集客があるかないかです。欲しい集客組数の100倍配布します。ポスティングチラシは開業時や大幅リニューアルがあった時に行います。

2.看板を道の直角に配置する
飲食業ではお店選びの理由に、「理由なし」が約40%存在します。これは、通りすがった結果、タイミングがあった来店です。例えば、ドライブ中に小腹が空いた時、次に目にした店舗に入店したいと思います。
つまり、この40%の人々にとっては、入店したいと思ったタイミングで店舗の存在が目に入ることが重要です。そのため、視認性の高い看板を用意します。また、看板設置の角度も重要です。道路に対して、直角に看板を設置しなければ、視認性が大きく下がります。もし、垂直に設置されている看板しかなければ、特定の箇所で振り向かないと気付かれることがないため、集客効率が大きく低下します。
3.SNSの運用を行う
飲食店の新規の集客で重要になるのは、SNSの運用です。外部に情報を知ってもらうための貴重なツールであり、無料から運用することができます。また、カフェでは、ドリンクやフードのビジュアルを工夫して提供することもでき、SNSに向いています。着手すべきSNSはInstagram、X(旧Twitter)ですが、可能であれば主要なSNSは全て運用した方が、情報がリーチする幅は広がります。
Instagramは、画像とショート動画のSNSです。#(ハッシュタグ)を設置することで、投稿の検索性を高めることができます。Z世代(1990年代半ばから2010年代生まれ)は、Instagramで周辺検索をする方法が一般的になっているため、Instagramで最新情報を発信するのは効果的とされます。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、日本国内では非常に人気であり、最新の情報収集に使われる傾向があります。テキストだけではなく、動画、画像で訴求することができます。Xの場合は、すべての投稿内のテキストが検索の対象になるため、投稿している内容でどの辺の情報なのかも目星がつきます。そのため、その地域の象徴的な建物やお店の情報を検索し、それを投稿しているアカウントと積極的にコミュニケーションを取る戦略も有効です。
4.SNS広告を運用する
カフェが新規のお客様を集める際に有効な集客方法の1つで、数少ないお金のかけどころとも言えます。
SNS広告の特徴は、投稿形式の広告をオーディエンス(ターゲット)を絞り込んで配信することができることです。例えば、たくさんのいいねがつき、反応が良い画像を使った投稿を広告に焼き回し、近隣に絞り込んで配信します。これにより、直接の集客数を増やせるだけでなく、近隣を行動圏にしている人からのエンゲージを獲得し、フォロワー獲得にも繋がります。
広告は、活用しているSNSと一致しているものを選びます。例えば、Instagramを運用していれば、Instagram広告で運用します。広告費は、月に2〜3万円程度を最初の1〜2ヶ月運用するのが良いでしょう。
5.Googleビジネスプロフィールに情報を掲載する
近隣の店舗を探索する方法として、Googleマップがよく使われます。Googleマップは、検索地点から近い人気店を表示されるからです。この時に表示されるのが、Googleビジネスプロフィールであり、無料で情報の掲載が可能です。

Google検索でも検索上位になることで新規顧客の獲得につながります。このGoogleマップで上位に検索されるための対策をMEO(マップエンジン最適化)といいます。MEO対策の重要な要素には、距離・視認性の高さ・関連度の3つがあります。
距離 | 検索している地点と店舗との距離 | 人通りの多い好立地に店舗を移転する |
視認性の高さ | カフェの知名度の高さ・評判の良さ | いろんなブログやメディアに紹介される 高評価のレビューを蓄積する |
関連性 | キーワードとの適合性 | Googleビジネスプロフィールに情報を完璧に掲載する 取り扱いメニューを全て掲載する |
特に重要な要素は、視認性の高さであり、高評価のレビューを積極的に集めることが上位表示に強く影響されます。しかし、報酬やクーポンと交換してレビューを集めると、景品表示法第5条3項のステマ告示に違反し、違法行為になります。行政罰よりも、最初の措置命令が、実質公表であり、営業へのダメージは大きいです。
6.LINE
LINEは、日本国内で約95%の普及率を誇るメッセージアプリです。店舗では、登録した人にメッセージをリアルタイムで送ることができるLINE公式アカウントの他に、モバイルオーダーや会員証の機能を果たすLINEミニアプリがあります。
LINEをカフェの集客に使うメリットは、店舗専用アプリの場合、新たにスマホにダウンロードを要求しなくてはならないのですが、LINEの場合は、ダウンロードを要求することがありません。QRコードを読み取ってもらえば、登録は完了します。
LINEを活用することで、最新メニューや限定メニューの情報を直接リピーター向けに送信することができます。

7.キッチンカーで催事出店を行う
催事出店は、近隣の住民にお店のことを知ってもらうための重要な機会と言えます。また、営業活動も併せてできるため、一石二鳥の集客手法で、積極的に行うことがおすすめされます。
キッチンカーを用意することができると、どこでも看板メニューの調理とコーヒーの提供をすることができます。そのため、移動する支店のような扱いをすることができます。
キッチンカーを用意する時には、さまざまな補助金が支給されています。
制度名 | 対象者 | 補助内容・割合 | 特徴・注意点 |
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小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者(従業員数が商業・サービス業で5人以下、製造業で20人以下など) | 補助率2/3~3/4、補助金額最大50万円~250万円 | 販路拡大や新規事業に活用可能。計画書作成や審査が必要 |
ものづくり補助金 | 中小企業 | 補助率2/3、最大5,000万円 | 車両購入費は対象外だが、厨房設備や内装改修費は対象 |
新事業進出補助金 | 中小企業 | 補助率1/2、最大9,000万円 | 新市場や高付加価値事業への進出を支援。幅広い経費が対象 |
各自治体独自の支援制度 | 地域内で活動する事業者 | 例:東京都「業態転換支援事業」など | 地域ごとに異なる条件や締切があるため要確認 |
まとめ
カフェの集客では、滞在ありきで来店することが多いため、立地に強い影響を受けます。また、戦略の要点としては以下のことが挙げられます。
- 新規のお客様の集客には可能な限りコストをかけない
- リピーター対策ではLINEを活用する。登録してもらうことに最善を尽くす
- 顧客単価を上げる仕組みを作る
- 滞在時間を短縮するための対策をする