飲食店が初年度(1年目)に実施すべき集客方法とは?

飲食店の3年以内の廃業率は、約70%とされています。つまり、経営不振などの何らかの理由で廃業を決めています。3年乗り切るための対策として、最も重要なことが初年度に実施したマーケティングです。初年度の集客数の増加はもちろんのこと、2年目以降の業績を決定づける要因になるからです。
この記事では、飲食店が初年度に実施すべき集客の施策をできるだけ詳しく解説します。
初年度(1年目)のマーケティングがなぜ重要なのか?
初年度の場合、ある程度の立地が良く、コンセプトがはまると、特にマーケティングをせずとも行列ができる場合もあります。この行列ができると、人気店になった気になってしまう点に注意が必要で、ほとんどの人は、店舗の良さに興味があるわけではなく、「新しい店舗ができたから」という理由のご祝儀来店だからです。
これらのご祝儀で来店をした顧客は、定着しません。そのため、これらの顧客がいなくなった時、2年目の業績が厳しいという現象に至ってしまいます。そのため、初年度では、以下のことが重要になります。
- リピーターになってくれそうな顧客の集客を積極的に増やす
- 客観的に人気店である要素を蓄積する
リピーターになってくれそうな顧客の集客を積極的に増やす
次年度以降も継続して店舗を利用するリピーターになってくれる顧客を積極的に集客します。そのためには、店舗の魅力がわかるように、ウェブサイト、グルメサイト、SNS、ビジネスプロフィールに魅力的な情報を掲載します。
客観的に人気店である要素を蓄積する
2年目に突入した時に、リピーターにメッセージを送る手段がなかったら、ゲリラな集客に関するイベントも開催できませんし、Googleのレビューが数件しか付いていなかったら、行ってみようと思うことがなくなります。つまり、2年目以降も集客ができるようにしておけるのは、1年目である初年度だけと言えます。
具体的には以下は、意識的に増やしましょう。
- SNSのフォロワー
- LINE公式アカウント
- オンラインレビュー(100件〜)
- 行列ができている画像のストックを集める
初年度(1年目)に実施する重要な集客の施策
- オープン前のポスティング広告
- オープン前のプレオープン
- 半径20mからの視認性を高める
- グルメサイトの有料登録
- SNSの運用
- LINE公式アカウントの育成
- オンラインレビューを依頼し、返信する
①オープン前のポスティング広告
開業前に近隣に店舗の存在を知ってもらわなければなりません。
- 開店時の反響率は普段よりも高めになりますが、十分に認知してもらうため、1万枚以上の配布を行います。
- この時に配布するチラシには、開店時にイベントがあること、期限があることを知らせます。
- また、ポスティングの効果測定を実施したい時は、チラシを持参すると、特別なプレゼントがあることもチラシに記載しておきましょう。
②オープン前のプレオープン
店舗が本格的に開業する前に、特別な招待客向けのプレオープンを実施します。プレオープンには、スタッフの開業時のオペレーションをチェックできるメリットの他に、縁故のある顧客がレビューをしてくれることで、開業前に高評価のレビューがついている状態でスタートすることができます。
③半径20mからの視認性を高める
半径20mから店舗があることがわかるような工夫をします。近隣の通行人が最も集客をすることが簡単であり、振り向かずに歩いた時に、店舗の存在がわかるように看板を用意します。また、店前にボードやメニュー表を用意することで、店内に入らずとも、どんなメニューを提供するのかわかるため、入店率を高めることができます。
④グルメサイトの有料登録
グルメサイトはディナー客(宴会、会合含む)を集客する手段です。
グルメサイトは、月額固定費のほかに、ウェブ予約手数料(ディナーの場合200円が多い)がかかるため、仮に月に500人集客できた場合、手数料だけで10万円かかってしまい重く感じます。
しかし、グルメサイトは、手間をかけずに勝手に集客をしてくれるため、慢性的に人手不足の飲食業界では、集客が先に来るので重宝します。
迷ったら、食べログのベーシックプラン(月額固定費25,000円)を申し込みます。一番安いライトプランは、表現力アップの機能しかなく、サイト内検索で上位表示ができません。つまり、グルメサイト経由の新規顧客は全く期待できないため、アクセスアップができるベーシックプランを申し込みます。
⑤SNSの運用
SNSは、InstagramとX(旧Twitter)の2つを活用します。
Instagramは、Z世代が飲食店を探す時に、約40%がInstagramの情報を活用すると言われているからです。また、X(旧Twitter)はそれよりも上の世代にリーチしやすいことや表示アルゴリズムがわかりやすいので、実は飲食店と相性が良いです。そのため、大手飲食店は、X(旧Twitter)を主軸にしてSNS運用を行なっています。
そして、どちらも、特定の住所を中心にした半径にした円の内部にいるユーザーに広告を表示できます。SNSのアカウント育成でネックになるのは、近隣住民にリーチさせることです。これらのユーザーにリーチさせるため、お金をかけない方法としては、顧客にフォローしてもらうことですが、SNS広告を運用するのも、コスパが良いです。月2万円〜3万円の予算で、3ヶ月続けると、集客に使いやすいSNSアカウントに育成することができます。
⑥LINE公式アカウントの育成
1年目に行う対策としては、1番重要度が高いです。LINE公式アカウントを使う理由は次の2つです。
- リピーターにいつでもメッセージを送信できるから
- リッチメニューに予約システムなどをリンクさせることで、店舗アプリのような運用ができるから
特に、雨の日に集客が減ってしまう立地の店舗では、リアルタイムにメッセージが送信できる手段がないと、指をくわえるだけで対策ができません。
LINE公式アカウントのお友だち数を効率良く伸ばすのがポイントです。
- 登録時クーポンを付与する
- LINEミニアプリを導入する
上記の2つを行うと、登録率を高めることができます。抽選機能を使うことで、さらに反応率を上げることができますが、抽選機能は、あたりとはずれしか設定ができませんので、どちらにクーポンを付与し、ハズレなしにすることが重要です。
⑦オンラインレビューを依頼し、返信する
オンラインレビューを蓄積することは、ウェブマーケティング全体に大きな影響を与えます。
- MEO対策への影響:Googleビジネスプロフィールで高評価のクチコミが蓄積すると、Googleマップ検索(ローカル検索)で上位に表示されやすくなります。
- グルメサイト内の影響:例えば、食べログで口コミを集めると、視認性が上がります。評価が高いとランキングに掲載され、口コミが多いと、口コミが多い順で上位に表示されるようになります。
オンラインレビューは、なるべくは1つに集約させるのが良く、食べログよりもGoogleの方が口コミをつけやすいため、Googleに口コミを集約します。
LINE公式アカウントのリッチメニューにGoogleビジネスプロフィールのリンクを設置して、いつでも口コミを書けるようにすると、件数を稼ぐのが楽になります。
まとめ
初年度は、ご祝儀来店で顧客が集まることがあります。ご祝儀来店は定着しませんので、2年目の売上が急激に下がり出します。
これを防ぐには、1年目からお店の良さを知っているリピーターになりうる顧客を集客することが重要です。また、オンラインレビューやSNSのアカウントを育成することが、2年目以降の集客に大きな影響を与えます。
1年目にやるべきことがたくさんありますが、1年目の勢いは次年度以降にも継続させるためには、対策が必要です。