CRMとは一体なに?顧客関係管理で、労働生産性と売上の最大化
この記事は(こんな方におすすめ)
- 広告をメインにした集客を行っているが、年々広告費が上がっているのに、客数の伸びを感じない。
- チーム内での情報共有ができておらず、度々顧客とのトラブルになる。情報の確認作業に時間がかかる。
- 顧客ごとにステータスわけができていないため、フォローアップが難しくなっている。
CRMは客単価の高いサービスの営業には必須です。最近では、旅館経営のV字回復のきっかけが、CRMによる徹底的な顧客管理と労働生産性の向上であったことが度々話題になっています。
マーケティングの世界では、3文字のアルファベットで略されることが多いのですが、CRMも利益を最大化するのには必要な概念です。
CRMとは、カスタマーリレーションシップマネイジメントもしくは、カスタマーリレーションマーケティングの略語で、顧客関係性管理や関係性マーケティング(リレーションシップマーケティング)のことを指します。以前までは、関係性マーケティングとしてよく使われていましたが、最近は、顧客関係性管理を指すことが多い気がします。
マーケティングの知識を抜きに考えても、良好な関係性がある固定客は、利用頻度が高く、経営に貢献してくれていることがよくわかります。これは、20%〜30%の上位顧客は、全体の売上の70%〜80%を占めるパレートの法則などの経験則に裏付けられています。
このことから効率よく売上を増加させるためには、常連客の人数の増加させることが挙げられます。
このためには、新規顧客の獲得、新規顧客から常連客になってもらうための対策(一般的に教育活動)を実施します。これらの対策をスムーズに間違いなく実施するためには、以下の3つが必要になり、これらを達成するために、顧客管理システム・営業支援ツールの導入が不可欠となっています。ここで、いわゆるCRMツールの導入を行うわけです。
- 各顧客の情報をストックしておくこと
- 固定客化までの施策スケジュールが管理できていること
- 情報をチームで共有できるということ
また、顧客管理とリストのマーケティングへの活用は類似している部分がかなり多いです。「あらゆる集客方法の王様、リストマーケティングとは?」にてリストマーケティングについて解説していますので、是非そちらもチェックしてほしいところです。
CRMの重要性がなぜ高いのか?
上記の概要でも示しましたが、売上を安定的に増加させるためには、固定客の客数が重要になります。これには、顧客生涯価値が関わっています。顧客生涯価値(Life Time Value(LTV))というのは、簡単に言えば、取引を開始してから生涯最後の取引を終えるまでの売上や利益を指すことが多いのですが、1回の取引で離脱してしまう新規顧客よりも固定客の方が当然顧客生涯価値は高くなります。
また、集客手法やマーケティング手法が年々増加していることからもわかる通り、新規の顧客を獲得する難易度が年々増していることもあり、売上高を増加させる戦略としても、客数をとにかく増加させて売上を作るよりも、着実に1人あたりの取引回数を増加させてLTVを高めることで売上を作る方が難易度が低い事実があります。
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有名な経験則に1:5の法則があります。これは、新規顧客を1人獲得する費用は、リピーターの再利用を発生させる費用の5倍高いというものです。実際、SNSキャンペーンなどを巧みに活用している場合は、さらに差があります。
そのため、利益率を高めるためには、新規顧客ばかりに注目するキャンペーンよりも再購入を引き起こすキャンペーンの方が重要度は高く、CRMの導入は、売上高の増加だけではなく、利潤最大化にも貢献することがわかります。
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CRMが特に活躍する具体的なシーンとは?
CRMを導入することで、今までは担当者しか知らないからいちいち聞かないと進めることができなかったことや顧客の過去の購入や趣向を共有することができます。例えば、その顧客のアレルギーの情報などを保存しておくことにより、次回の来店の際に、アレルギーの食品を抜いた形で最良のメニュー提案などを実施するなどが可能になります。
これによって、大きな労働生産性の向上が期待できます。
チーム内で特定の顧客との過去の取引及びやりとりを共有することができる。
担当者以外、その顧客のことがわからないということはよくある話です。もしくは、過去のやりとりを紙ベースで保存しており、IT化はしているけれどクラウド化をしていないので、情報の共有がそもそもできない上に、情報をどこからでも引き出せるわけではありません。
「戻ってみてから調べます。」と言ったものの、どこにその情報が入っているのかもわからないということもよくある話の中の一つです。
CRMを導入し、顧客情報を共有することで、どこからでも担当者が別の人間だったとしても情報がわかることになります。即座にサービスに反映することができるため、顧客満足度を毀損する恐れを軽減することができます。
売上を効率よく作るための分析にも活用が可能。
顧客情報を管理できるようにすることは、こちらからのアプローチを有効にします。
特に売上が低い曜日などに集客をする手段がないと口を揃えていうのは、CRMを導入していない、もしくは経営改善にまで活用仕切れていない企業です。
各顧客のニーズに併せた提案により、集客が集中してしまう曜日を分散させ、効率よく売上を作ることに貢献してくれるのもCRMに期待できるものです。
CRMは顧客を囲い込むためのものなのか?
関係性マーケティングやCRMの話になると、この表現が間違いなく登場しますが、CRMで顧客を囲い込むことは不可能です。
今現在は、インターネットで検索すれば、さまざまなブランドの製品の情報を受け取ることができます。例えば、Amazonや楽天市場でパンツを一つ探すだけでも無数に存在します。
また、一人の顧客が情報を受け取るのは1つのブランドからという前提に無理があります。問題が発生し、その問題を解決しようと思った場合は、その問題解決に効果的な手段として挙げられる製品やそれらのブランドの情報を積極的に受け取るはずです。
顧客を囲い込むとすれば、それは、製品やサービス自体の品質であり、ストーリー性のあるブランド価値であって、表現に適切さは感じられません。
CRMの目的は、新規顧客を固定客化することにあります。
ここで同一の目的を含んでいるMA(マーケティング自働化)とも区別します。
新規顧客が固定客化しない最も大きいところに、何もしない場合、新規顧客の70%〜80%は、3回目の利用をしないということがあります。これはポジティブな印象を持っていたとしても十分起こりうるもので、いわゆるタイミングが合わない、行くきっかけが掴めないなどで離脱するパターンです。事実として、このことがわかっていれば、対策を実施することが可能です。これは、CRMではなく、MAを使います。
これに対して、サービスの品質を高めることで顧客満足度(CS)を高めることを含むコミュニケーションまで顧客ごとに管理することで、ブランドに愛着を持ってもらうことで離脱を防ぐのが、CRMになります。
結果として、手間がかからない1人あたりの売上額の増加につながりますので、社員の労働生産性の向上にもつながります。労働生産性の向上が、結果として、社員の給与に分配できる人件費を増額することにつながり、人手不足対策になります。
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デザイン性は目指すブランド価値、対象顧客によって異なります。例えば、地域密着型のスーパーとハイブランドのアパレルショップとでは全く相手にしている顧客や目指すブランド価値が異なり、メッセージやデザイン性が異なるのは理解できるかと思います。
また、割引や値引きが反響が取れると勘違いしているマーケティング担当者も目立ちます。例えば、大手カラオケ店のSNSを見ると、登録件数に対して投稿についているいいねやコメント数がとても少ないです。それに対して、田舎にある菓子店の反響は、大手カラオケ店の20倍〜30倍あることもあります。
この差は明らかに発信しているメッセージの内容に差があり、つまりは、メッセージ自体に価値がないとチェックされないということを意味しています。
関係性マーケティングは、割引によって起こるというのは、明らかなテスト不足の思い込みになります。
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CRMの導入には何を注意すべきか?
検索でCRM関連のツールを検索すると様々な製品があることがわかります。ここでは、どの製品が優れているのかではなく、CRMの導入には目的がありますので、「何をやりたいか?」で製品を選択することをおすすめします。
よく顧客台帳をつけている店舗経営にありがちなのは、マーケティングに活用するためには、情報が不足しているという点です。メールアドレスの収集を実施していない、販促費を削減するためにDMの配送を実施しなかったなどの理由で、顧客リストが陳腐化するなどよくあることです。
「何をやりたいのか?」を明確にし、それを実施するために必要十分な情報の収集および登録をできるようにしなければなりません。
CRMの導入費用が高い。
CRMの導入の費用は、平均すると1ユーザーあたり月々3,000円〜4,000円くらいですので、10人の場合は、月々3万円〜4万円かかることになります。情報の即時共有のメリットはその費用を上回る生産性の向上を作ることができますので、単体で見れば大した金額ではありません。
しかし、顧客管理をするだけではなく、見込み客(リード)の洗い出し、アプローチを担当するMAの導入、及び各種管理ツールの導入を考えると月々の費用だけで膨大な費用捻出になります。
この場合の費用軽減の一つの方法は、IT導入補助金の活用です。
2019年分においては、導入するソフトウェアの初年度の費用にしか使えない制限付きではありますが、50%の補助を受けることができます。この場合、どの企業の製品でも導入できるというわけではなく、受け入れが可能な企業は登録企業のみであることも事前に知っておきたいことです。
来年度より最大450万円に増額される見込みです。ただし、補助金全体の予算が昨年より大きく下がっているため、二次募集、三次募集はないかもしれませんし、少額の申請は通りづらくなる可能性があります。
もし、CRMやMAの導入を検討するのであれば、申請書類の対策を事前に行っておくのも手でしょう。申請が通りやすかった昨年までのものではなく、労働生産性の向上までのプロセスや根拠が具体的な書類にしましょう。IT導入補助金も含めて、改善までのプロセスがあやふやな申請書類は通らない傾向があるからです。
最終更新日 : 2019年3月9日