返報性の原理とは?セールスやマーケティングへの活用原理を解説

返報性の原理とは心理原理の一つで、施しを受けたことに対して、何らかのお返しをしなければならないと感情を抱く作用のことです。返報性の原理を使うと、相手との関係性を構築することができるため、セールスやマーケティングでは必須のテクニックとされています。

ただし、返報性の原理を用いるテクニックは、相手側の心理を利用するため、要点を間違えると逆効果になることもあります。

目次

返報性の原理とは?

返報性の原理とは、相手から自分にとって価値があるものや行為を受け取った時に、受け取った側は、同じような価値のあるものをお返しをしようと思う原理です。「物事の貸し借り」や「Give and Take」のような言葉は、返報性の原理に紐づいた原理です。

セールスやマーケティングの世界では、「Give and Take」の言葉の方が馴染みがあります。信頼を獲得するためには、価値のあるものをGiveする人間になることで、信頼を獲得し、顧客になってもらったり、顧客を紹介してもらえたりします。

また、店頭販売では、販売員の接客が丁寧だと、買う気のなかった商品を購入しようと思う気持ちになり、成約につながる時もあります。

また、返報性には以下の種類があります。

4種類の返報性と具体例

返報性には、以下の4種類があることが知られています。それぞれの解説と返報性の具体例を紹介します。

譲歩の返報性

譲歩の返報性とは、相手が譲歩してくれたものに対して、次は自分が譲歩しなければならないと思う心理になることを指します。

例えば、以下のような具体例があります。

  • 実際の納期が明日なんだけれども、1日伸ばされたことで、もっと高い品質で納品しようと思う気持ちになる。
  • 1,000円割引をしてもらったら、その場で購入しないと悪いと思う。

好意の返報性

好意の返報性とは、相手が自分にしてくれた好意的な行動に対して、次は自分が同じ価値のある行動をしようと思う心理になることを指します。

例えば、以下のような具体例があります。

  • 今回の支払いはおごってもらった。仕事の成果で頑張って返そう。
  • 結婚式の時に、多めのお祝い金をもらった。自分も何かあった時に、それに相当するくらいの行為で返そう。

自己開示の返報性

自己開示の返報性とは、相手が自分の悩みや境遇を自己開示してくれた時に、自己開示されたものに対する秘密を開示しなければ申し訳ないと思う気持ちになることを指します。

自己開示の返報性は、特に相手の悩みを情報として聞き出したい時に使われるケースが多いです。例えば、聞き出したい情報に対応する過去の経験の情報を自分から話すことで、相手からその情報が開示されることになります。

返報性の規範

返報性の規範とは、相手が何かしてくれた時にお返ししなければ、自責感を抱いたり他者や社会がそれを責めたりしてしまう現象のことです。

特に、日本では返報が常識化しているため、返報をしない人には常識がないとみなされ、社会的に糾弾されやすくなります。また、返すことが前提のものだと思うと、返すものがなければ、行為を受け取ることも拒否するようになることもあります。

返報性の原理のマーケティングへの応用

返報性の原理は、店頭での販売促進やインバウンドセールスの場でも当たり前のように活用されている原理です。マーケティングへの活用例を紹介します。

スーパーの試食

有人での試食コーナーを用意する理由は、試食を勧める人間を用意することで試食をさせてもらったことに対する購入の見返りを期待しているからです。この方法は、試食という施しに対して、購入が見返りに該当する好意の返報性に該当します。

人気の倉庫型スーパーのコストコでは、動線が決められており、その上に有人販売員が配置されています。試食を通してその商品に興味を持たせ、セールスアップにつなげています。

無料相談

コンサルタントの無料相談は、接点を持つことを目的にしていますが、返報性の原理により本契約を目的にしている面もあります。そのため、コンサルタントは無料相談では、今すぐできる小さな改善を指摘し、体験価値を向上させます。それに手応えを感じた相談者は、本契約をしやすくなります。

化粧品のカウンセリング

化粧品売り場では、無料カウンセリングをすることが一般的です。化粧品を購入するつもりがなくても、無料カウンセリングの後には、そのお店の商品を購入しているということがあります。これは、肌質の診断や無料のお試しを通して、いろいろ販売員から教えてもらった好意に対して、化粧品を購入するという返報性がはたらくからです。

返報性の原理で注意すべきこととは?

返報性の原理は、使い方を間違えると、相手からクレームを受けることにもなりますし、トラブルになることもありえます。逆効果になることを避けるために、返報性の原理の注意点を整理しておく必要性があります。

与える価値は高すぎない方が良い。

例えば、高級焼肉を奢ってくれると言われた時に、過去に思い当たる貸し借りがない時には、「なぜ、奢ってもらえるのか?」がわからず、怖くなってしまうことがあります。与えられる価値が不釣り合いなくらいに高いせいで、借りを返せないと判断すると、返報性の規範が起こります。

そのため、相手との関係性を考え、与える価値は適切なものを選択する必要性があります。

お返しを求めない。

例えば、幼児英会話スクールで、無料カウンセリングを受けた時に、興味があったけれども、その後に催促の電話が続けば、購入意欲が減退していきます。逆にクレームに発展しやすくなり、悪いクチコミをビジネスプロフィールに書き込まれるなどの悪循環に陥る可能性があります。

そのため、返報性の原理では、価値を与えることも重要ですが、お返しを求めない、関係性の極端な悪化になるようなセールスを行わないのが原則です。

まとめ

営業の成績をよくしたい時には、与える側の人間になれと言われることが一般的になってきました。これは、心理学である返報性の原理から言えることです。

返報性の原理とは、与えられた価値があるものに対して、相当のお返しをしようと相手側が思うという心理現象の1つです。価値あるものや行為を率先して行うことで、関係性が良好になり、自然と見返りがもらえる機会が増加してきます。

そのため、徹底したGiveをする態度を取ることが、機会創出の機会が多くなり、結果的に顧客に恵まれる状況を作り出します。

ただし、Giveしたものに必ず見返りがあるわけではありません。相手側の常識や性格的なものがあると、いくら尽くしても返ってくることはありませんので、相手(この場合は顧客)を選ぶ必要もあるでしょう。

関係性がビジネスパートナーの時は、Giveしても無駄だと思われると、どの業界でも生きていくことは難しいので、返報性の原理には逆らわない方が良いでしょう。

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