ブルーオーシャンとレッドオーシャンの戦略上の違いとは?

新規事業を作る上で、誰も参入していない未開拓な市場を選択するのか、規模が大きいけれど、競争が激しい市場を選択するのかは、マーケティングの戦略上の決定では非常に大きい意思決定です。未開拓な市場をブルーオーシャン市場と呼び、競争の激しい市場のことをレッドオーシャン市場と呼びます。

ブルーオーシャンとレッドオーシャンの具体的な違いとマーケティング上どちらを選択するのが良いのかを解説します。

目次

ブルーオーシャンとレッドオーシャンの違いとは?

ブルーオーシャンとレッドオーシャンの違いは、市場規模と競合の度合いによって主に分類されています。

ブルーオーシャンとは、競争が少ないもしくは未開拓な市場のことを指します。イノベーションによって開拓された市場は大きいですが、一般的には、大手企業などが参入しないニッチな市場であることが多いです。製品やサービスも独自性の強いものが特徴として挙げられます。

それに対して、レッドオーシャンは、既存の競争が激しい市場を指します。この市場では、多くの企業が同じ顧客層やニーズに対して製品やサービスを提供しているため、顧客の視点では複数のブランド間での選択が発生します。自社の製品やサービスを選んでもらうために、差別化や工夫をおこなっています。

ブルーオーシャンとレッドオーシャンのマーケティングの違い

ブルーオーシャンとレッドオーシャンでは、マーケティング上の戦略にも違いがあります。

ブルーオーシャンでのマーケティングとは?

ブルーオーシャンのマーケティングは、競争の少ない新たな市場を創造し、そこで独自の価値提案を提供することを目指す戦略です。この戦略では、従来の市場の枠組みを超えて、新しいニーズや顧客層を開拓し、競争のない市場で独自の地位を築くことが目標となります。ブルーオーシャン戦略によって創造された市場では、競争が少ないため、企業は高い利益率と成長を享受することができます。

問題点としては、ブルーオーシャンは、潜在的なニーズに対応しているため、広告のターゲティングが難しいです。そのため、口コミが形成されるまでは、集客が難航し、顧客獲得単価が高額になる傾向があります。

レッドオーシャンでのマーケティングとは?

レッドオーシャンのマーケティングは、現在の競争が激しい市場において、競合他社との差別化や市場シェアの奪取を目指す戦略です。この戦略では、競争相手と比較して優れた製品やサービスを提供することで顧客を獲得しようと試みます。

しかし、競争が激しい市場では、価格競争やイノベーションの速度が速まり、利益率が低下する傾向があります。また、優良な広告には枠があり、資本が大きい企業が最終的には生き残る傾向があります

ブルーオーシャンとレッドオーシャン市場の具体的な分類

店舗ビジネスにおけるレッドオーシャンとブルーオーシャンの具体例を以下に示します。

ブルーオーシャンの具体例

ブルーオーシャンの具体例は以下の通りになります。しかし、イノベーションによって開拓される新市場は、参入企業が増えてレッドオーシャン化します。

サーキュラーエコノミー従来のリニア経済(製造→使用→廃棄)から、持続可能な循環型経済への転換を目指す新たな市場。廃棄物のリサイクルやアップサイクル、シェアリングエコノミーなどが含まれます。
電気自動車(EV)市場環境に優しい交通手段としての電気自動車市場は、従来の自動車市場とは異なるブルーオーシャン市場です。
エクスペリエンス型カフェ通常のカフェとは一線を画す、特殊なテーマやコンセプトを持ったカフェ。例えば、動物と触れ合えるカフェ、VR技術を使ったカフェ、アート作品を展示するカフェなど、独自のエクスペリエンスを提供します。
カスタマイズ可能な家具店顧客が自分の好みに合わせて家具をカスタマイズできる家具店。オンラインでの事前カスタマイズや、店内での設計コンサルティングなどを通じて、顧客の個性やニーズに合った家具を提供します。

レッドオーシャンの具体例

レッドオーシャンの具体例は以下の通りです。一般的に開業のハードルが低い業種や廃業せずにずっと続けられる業種がレッドオーシャンになりやすいです。

美容室一般的に美容室はわかりやすい差別化をすることができず、ひとりでも開業ができるため、人口が減っていることに対して、開業数が増えている。
歯科医院美容室と同じくわかりやすい差別化ができず、少人数でも開業が可能。
整体院個人でも開業が可能であり開業しやすい。健康器具と競合していることや単価を上げないと利益が取りづらい。
士業士業は毎年のように合格者を出しており、定年がありません。そのため新規の案件は争う傾向があります。
飲食店食品管理責任者などは講習だけで実質取得できてしまうため、開業のハードルが非常に低い。
ほかの店舗ビジネスに比べると集客ができる機会が多いが、好立地や利便性の向上などの対策をしなければならない。
携帯キャリア市場docomo、au、SoftBankだけではなく、格安キャリアの参入で、提供価格を競争している市場。
高速インターネット回線市場多くの企業が競合し、サービス提供エリアや速度、価格で競争している市場。

まとめ

レッドオーシャンは競争が激しい既存の市場であり、企業は競合他社との競争を勝ち抜くことが重要です。一方、ブルーオーシャンは競争が少ない新しい市場であり、企業はイノベーションや独自性を追求します。その上で、競合他社が入る前に、市場を開拓し、シェアを高めることが重要です。どちらの市場に参入するかは、企業の事業目標、リソース、市場環境によって異なります。

ブルーオーシャンは、イノベーションを伴うことも多いため、多額の資金が必要になるケースが多いです。予算に制約があるときは、レッドオーシャンの中でも市場規模が大きいものを選択した方が、事業を拡大する手段が確立されているため、難易度が低いです。

最終更新日 : 2024年4月20日

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