Googleに悪いクチコミがついた時の対処方法とは

Googleで悪い口コミは、評判の良い店舗でも一定数ついてしまいます。低評価やクレームのような口コミが、良い口コミに対して、圧倒的に少数であれば、あまり気にする必要がありません。それは、完璧なマーケティングができているわけではないので、ターゲットにしていない客層が来店していても仕方がないからです。
ただし、目に見えて悪い口コミがついている場合は、早期に対策をする必要があります。代表的な悪影響で言えば、以下の点が挙げられます。
- Googleマップの検索(ローカル検索)の順位が低下する
- 悪い口コミに影響を受けて他の競合店舗を選ぶ動機になる
- スタッフの士気が低下する可能性が高くなる
この記事では、もし、Googleに悪い口コミが増えてきた時に、取るべき対策について解説します。実際に、かちプロジェクトがコンサルティングを提供している店舗への助言も含めて紹介します。
悪い口コミとは?
悪い口コミとは、いわゆる低評価の口コミを指し、多くの場合は、星1の口コミを指します。さらに、言いがかりや攻撃的な内容のコメントがついている口コミは、店舗の集客に悪影響を与えます。
なお、Googleが設定するガイドラインや日本の法律に違反している内容の口コミは削除することができます。ただし、「美味しくなかった」などの主観的な内容(感想)でしかないものは削除することができずに、残ってしまいます。
なぜ悪い口コミがついてしまうのか?

悪い口コミがついてしまう原因は、様々あります。
- ターゲティングが不一致だから
- 接客に落ち度があるから
- 期待値を上げすぎてしまったから
- 提供価格が安すぎるから
ただし、悪い口コミが全くつかないのは、会員制の高級店のみであり、基本的には、どんなに優れたマーケティングをしても、少数の悪い口コミはついてしまいます。例えば、男性向けのお店に、彼女をつれていけば、それは店舗側としれば想定外の顧客です。これは、マーケティングの限界です。
ターゲティングが不一致だから
その立地に合致していない客層向けの店舗を開業すると、悪い口コミが増えることはあります。例えば、激安のスーパーが近隣に多い立地では、顧客は安さを求めます。もし、その金銭感覚に対して、高単価の高品質の店舗を出店した場合は、それは想定以上の高い品質を求められることが多いです。一般的に普通な金額でも、「高い」と評価されます。
具体的には、福生市に、居抜きの蕎麦店がオープンしましたが、店舗が古民家ではなく、目の前が大手寿司店であるため、相対的に評価され、高いという口コミが目立ちました。
接客に落ち度があるから
接客態度による低評価は、納得度の高い悪い口コミがつく原因です。特にクリニックに多いのは、接客業との認識がないため、問診の時に尊大な態度をとっていることが原因で、「偉そう」「話を聞いてくれない」などの理由で悪い口コミがつくことがあります。人に接する店舗ビジネスでは、クレームの吐き出し先にGoogleがなりやすく、その結果であることが多いです。
期待値を上げすぎてしまったから

もし、高級店だと思ったら、ファーストフードの品質の料理とサービスだったにがっかりすると思います。これは、事前の期待値が、実際に体験した時に感じた価値が、広告などを見て感じた事前の期待値よりも大きく下回っているから生じた現象です。
マーケティング上では、来店をさせるために実物とかけ離れた写真やイメージのデザインをすると起こるものです。実際には、肉屋直営のフードコートの店舗では、ビジュアルの良いメニューの画像を店前看板などに使っていました。しかし、その店舗で実際に提供される肉料理は萎びており、Googleの口コミは2.7でした。
価格が安すぎるから
価格は、顧客層の幅を決めます。例えば、500円のランチを出すお店はどんな人でも利用できますが、2万円のランチを出すお店は利用できる客層が決まっています。原則、低価格帯ほど口コミが安定しないため、低評価もつきやすくなります。また、客層も悪いため、スタッフが疲弊してしまうこともあります。
Googleの悪い口コミの対策

すでについてしまっているGoogleの悪い口コミの対策は、ガイドライン・法律違反の口コミとそれ以外の口コミに対策がわかれます。前者は削除ができる可能性があります。後者は、主観的な意見であり削除することはできませんので、誠実な返信を行うことで、新たに悪い口コミが付きづらいようにします。
ただし、これらの対策は、あくまで限界があり、絶対的な対策ではありません。これらの対策を行なっても、商品やサービス、接客の改善を行わなければ、新たに不満を感じる顧客が増え、悪い口コミは増加します。また、悪意のある口コミに関しては、開示請求からの損害賠償も可能ですが、時間と費用がかかります。
ガイドライン違反として通報する

Googleビジネスプロフィールのクチコミの管理の中には、明らかにガイドラインに違反している、又は違法な書き込みである場合は、通報ができる機能があります。ビジネスプロフィールにログインした状態でクチコミを読むを選択すると、右側に!マークがあります。ここから通報が可能です。
下記に該当する口コミは、ガイドライン違反になるので削除できる可能性があります。
項目 | 説明 |
---|---|
虚偽の情報 | 事実と異なる評価や存在しない取引体験の虚偽申告が該当します。例えば実際に利用していない店舗に対する評価や、提供されていないサービス内容の記載が含まれます。 |
スパム行為 | 同一ユーザーによる複数アカウントを使った評価操作や、キーワード詰め込みによる検索順位操作が禁止されています。特に「SEO対策」を目的とした不自然な店舗名の重複記載が近年の重点監視対象となっています。 |
利害に関する問題 | 該当のビジネスまたは競合するビジネスと関係するユーザーが投稿したクチコミ |
営業競争の歪曲 | 競合他社に対する意図的な低評価や、自社店舗の不正な高評価が監視対象です。特に系列店舗による「サクラ評価」の投稿が近年問題視されています。 |
人種差別、ヘイトスピーチ | 人種・宗教・性別に基づく差別的発言や、LGBTQ+コミュニティに対する攻撃的表現が明示的に禁止されています。2025年1月のポリシー更新で、認知機能障害を嘲笑する表現も新規追加されました。 |
個人情報 | 従業員のフルネームや顧客の連絡先など、個人を特定可能な情報の掲載が禁止されています。2024年の改定で、顔写真の無断使用も新たに規制対象に追加されました。 |
削除を返信で依頼する
主観的な口コミでは依頼することはできませんが、違法行為の疑いがある書き込みや、個人情報の書き込みなどは返信で削除を求めることが最も早いです。この時に、第三者からもやり取りが見える状況にあるため、高圧的な文章にならないように最大限の配慮をします。
以下が口コミを削除をする場合の文章例です。
拝啓 クチコミご投稿者様
この度は、当店に関するご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございます。お客様からのフィードバックは、私どもにとって大変貴重なものであり、サービス向上の糧とさせていただいております。
さて、お寄せいただいたクチコミの内容を拝見させていただきましたところ、誠に恐縮ではございますが、一部の記述に関しまして懸念がございます。具体的には、[問題のある記述の概要]という点につきまして、事実と異なる可能性があり、当店の名誉を著しく損なう恐れがあるのではないかと危惧しております。
他のお客様にも誤解を与えかねず、法的措置を取らざる得ないとも考えております。
私どもは、お客様お一人お一人のご意見を真摯に受け止め、常に改善に努めておりますが、同時に正確な情報に基づいたコミュニケーションの重要性も認識しております。つきましては、大変お手数をおかけして誠に恐縮ではございますが、当該クチコミの内容について再度ご確認いただき、可能であれば削除または修正をご検討いただけますよう、謹んでお願い申し上げます。
もし、ご投稿の内容に誤解や行き違いがございましたら、私どもの説明が不十分であった可能性も考えられます。その場合、お客様と直接お話しさせていただく機会を頂戴できれば幸いでございます。お客様のご体験やご意見を詳しくお伺いし、相互理解を深めさせていただきたく存じます。
なお、本件に関しまして、ご不明な点やご質問等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。私どもは、お客様との建設的な対話を通じて、より良いサービスの提供と信頼関係の構築に努めてまいる所存でございます。
お客様のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
敬具
[あなたの名前/店舗名]
[連絡先情報]
法的措置を取る
法的措置とは、開示請求をした上での名誉毀損の訴えを起こし、損害賠償請求を行います。書き込んだ相手がわかっていたとしても、確定でその人が書き込んでいる証拠が必要になりますので、どちらも手続きが必要です。
開示請求はコストや時間がかかった上で、確定で開示できるわけではありませんので、訴訟までいきつかない場合もあります。そのため、法的措置は乱発できるわけではなく、最終手段と言えます。
尼崎眼科医療法人事件(2024年大阪地裁判決)
兵庫県尼崎市の眼科医療法人がグーグルマップに投稿された虚偽口コミを巡り投稿者に200万円の損害賠償を求めた事案。投稿内容は「無許可でレンズ挿入」「症状ないのに二重瞼手術」など、医療行為に関する虚偽記載が含まれていた。
山中裁判官は「患者の自由意思を無視した医療行為の印象を与える」と判断し、医療機関の専門性に対する信用毀損を重視した点が特徴的である。被告側の反論がなかったことが高額賠償につながったが、判決文では「医療情報の正確性が公衆衛生に直結する特性」が強調されている。
豊田市心療内科事件(2024年東京地裁判決)
愛知県豊田市の心療内科に対する「ドクターの機嫌が悪い」「精神的圧力を楽しむ施設」との口コミが問題となった。宮川裁判官は投稿日が休診日である事実を重視し、体験の虚構性を客観的に立証した初めての事例として注目される。判決では「単なる主観的評価の域を超えた事実錯誤」が認定基準となった。
丁寧な謝罪の意を含んだ返信を行う
ガイドラインや法律に違反しない口コミは、削除することができません。また、純粋な改善を求める低評価の口コミである場合は、謝意と改善の意思を示した上での返信を行います。口コミを放置している企業や店舗に比べると、誠実に感じられ、第三者への影響が悪くなりづらくなります。
お客様、貴重なご意見をありがとうございます。ご指摘いただいた点について、真摯に受け止め、改善に努めてまいります。お客様のご満足度向上のため、スタッフ一同、さらなるサービスの質の向上に取り組んでまいります。今後ともご愛顧いただけますと幸いです。お気づきの点がございましたら、いつでもお知らせください。
業者に依頼して口コミを増やす方法は景品表示法違反
評価が悪くなると、MEO業者などを使って大量のなりすましによる口コミを行って評価を上げようとする店舗もありますが、2023年10月から景品表示法第五条3項違反になりました。これをステマ告示と言います。
そのため、申告されると措置命令で消費者庁に措置命令をくだされ、それでも対処しないと行政罰が下ります。措置命令は、実質ステマ行為を行った公表に該当し、消費者庁等のホームページのほか、SNSで社名、店名が投稿されます。これによって、様々なメディアに拡散されますが、これで売上が下がっても、名誉毀損に該当しません。
この口コミの増やし方は最悪ですので、絶対にやらないようにしましょう。
まとめ
悪い口コミがつく理由は、実は、店舗の運営が単純に悪いわけではなく、マーケティング上の問題で、本来は対象外のクレーマーのような人が来店してしまう影響があります。そのため、一見さんお断りの完全会員制の店舗でもなければ、低評価の口コミは少なくともあります。
特にGoogleビジネスプロフィールの口コミは、屋号をスマホで検索すると、上部に点数化されて表示されますので、インターネット上の玄関と言っても良いくらいの影響力はあります。もし、管理できていないようであれば、今後はしっかり管理する必要があるでしょう。