店舗なら導入がおすすめのキャッシュレス決済5選【開業ガイド】
店舗を開業する際に、必ず選定をしなければならないのがキャッシュレス決済です。今やキャッシュレス決済を選択する割合は増加しており、すでに3回に1回の決済がキャッシュレスになっています。
ここで悩んでしまうのは、キャッシュレスを扱うサービスがとても多いことです。また、どのサービスでも良いわけでは実はありません。そこで、キャッシュレス決済を導入する際のポイントを解説したいと思います。
- キャッシュレス決済がなぜ集客に影響を与えるのか?
- 対応する必要があるキャッシュレスのブランドとは?
- 店舗におすすめのキャッシュレス決済サービスは何か?
- コストを抑えたい、省人化したいなどのニーズで選定するとどのサービスがおすすめなのか?
キャッシュレス決済とは?
キャッシュレス決済とは、現金払いを除く決済方法のことを指します。日本ではキャッシュレス決済といえば、クレジットカード払い、デビットカード払い、電子マネー(交通系・商業系)、アプリ決済を主に指します。
経済産業省によると、2021年の段階でキャッシュレス決済は、決済全体の32.5%に到達しており、3回に1回の支払いがキャッシュレス決済の現状になっています。目標として、来年6月までにキャッシュレス決済比率を40%程度が目標にされています。
キャッシュレス決済が集客に与える影響とは?
キャッシュレス決済の導入は集客に大きな影響を与えます。
昨今は、現金引き落としの手数料が無料になる条件が限られており、そのため、現金を積極的に使うと手数料がかかるようになっています。現金を1万円持ち歩かない人が半数を超えており、1万円以上の商品やサービスではキャッシュレス決済を導入しないと顧客が限られてしまいます。
また、キャッシュレス未導入の店舗は、40〜50%の人が利用を敬遠すると答えています。つまり、キャッシュレスを選びたいと思っている顧客が多いため、キャッシュレス決済の未導入は店舗側の機会損失を意味します。
現金の所持金額
キャッシュレス決済比率が高くなるにつれ、現金を少額しか持ち歩かない割合が増加しています。
現金の所持金額は、小銭しか持ち歩かない人が7%、1,000円〜1万円未満の人が48.5%を占めています。つまり、半数以上の人の財布の中には、現金が1万円に満たないことを意味します。当然ですが、単価が1万円以上の商品をこれらの人は購入することができません。
これは、客単価を1万円以上にしたい店舗では、現金が足りなくても支払いができるキャッシュレス決済の選択肢を用意しておかなければ、そもそも約半数の人は顧客になれないことを意味しています。
キャッシュレス決済未導入店舗に対する反応
消費者意識調査によると、40~50%の人がキャッシュレス決済を未導入の店舗の利用を避けると回答しています。
上述の通り、半数以上は現金を1万円持たないと回答していることもあり、財布の中の現金が減ることを回避するために、キャッシュレス決済を選択する人はかなり多いでしょう。
訪日外国人(インバウンド)への対応
訪日外国人が年々増加しており、キャッシュレス決済の需要が高まっています。
訪日外国人にとっては、現金を持ち歩くのが非常に不便です。最近ではコンビニでも外貨から日本円に引き換えるATMサービスが登場していますが、主要観光地に限定されていることがあります。
そもそも、キャッシュレス決済を利用する方が手数料の負担を軽減することができますので、経済的です。
キャッシュレス決済導入におすすめのブランドとは?
ごく稀にキャッシュレス決済が、クレジットカード払いやPayPay払いにしか対応できていない店舗もあります。
クレジットカード払いのみの対応になれば、アプリ決済が行なっているキャンペーンの恩恵を受けることができませんし、逆にPayPayしか導入されない場合は、クレジットカードと連携されていないアカウントを利用している顧客は、ポイントが入っていなければ、すぐにチャージすることができないことから買い物ができない危険性があります。
顧客にとって都合の良い支払い方法をその都度選ぶことができるようにすることで、スムーズな買い物を実現することができるようになります。
クレジットカード決済
広く普及している決済方法であり、多くの顧客が利用しています。国際ブランドのカードに対応することで、外国人観光客の利用も見込めます。
クレジットカードのブランドは、VISA、Masters、JCB、AMEX、Diners Clubがあります。
キャッシュレス決済ではクレジットカードが最も普及しているため、導入が必須です。
VISA
VISAは、世界中で最も広く受け入れられています。
国際的な利用に強い点が特徴で、幅広い加盟店網を持っています。旅行やショッピングに非常に便利です。
Mastercard
Mastercardは、VISAに次いで国際的に広く使用されています。
多様なサービスとプロモーションが魅力的であり、世界各国での利用が可能です。
日本のコストコでは、MasterCardだけしか使うことができません。
JCB
JCBは、日本発の国際ブランドです。国内利用に特化しており、日本国内のサービスや特典が充実しています。アジア圏での受け入れも拡大しています。
AMEX(アメリカン・エキスプレス)
AMEX(アメリカン・エキスプレス)は、高級クレジットカードのイメージがあります。
独自のリワードプログラムや充実した顧客サービスで知られています。
Diners Club
Diners Clubは、世界初のクレジットカードとして知られています。
トラベル&エンターテインメント(T&E)分野での強みがあり、高いステータスと独自のサービスを提供しています。
電子マネー決済
SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーや、nanaco、WAONなどのプリペイド式電子マネーに対応することが有効です。小額決済の利便性が高いため、特にコンビニエンスストアやカフェなどでの導入が推奨されます。
交通系電子マネー
交通系電子マネーへの対応は、スピーディーな決済を可能にし、顧客の利便性を高めます。特に、駅近くのコンビニやカフェ、書店などの小売店での導入が効果的です。
プリペイド式電子マネー
プリペイド式電子マネー対応は、前払いによる資金流動の改善と、小銭不要でのスムーズな決済が可能です。スーパーマーケットやファストフード店、アミューズメント施設での導入がおすすめです。セブン&ホールディングス系の商業施設はnanaco、AEON系の商業施設はWAONが導入されていることが多いです。
QRコード決済(アプリ決済)
PayPayやau Payなど、スマートフォンを使用したQRコード決済の普及が進んでいます。特に若年層を中心に利用者が拡大しており、導入することで新たな顧客層を開拓できる可能性があります。
これらのアプリ決済を導入するメリットは、シェア拡大のためのキャンペーンが頻繁に行われているため、ポイントバックやクーポンなどのユーザー特典が豊富であることです。
これは、店舗側からすれば、キャンペーンに便乗できるため、アプリ決済を導入するだけで集客に有利になります。
PayPay
- 手数料無料で利用できる。
- 銀行口座、セブン銀行ATM、クレジットカードからのチャージが可能。
- 店頭での支払いは、アプリに表示されたQRコードを店員に見せるか、店頭のQRコードを読み取ることで完了。
- 支払い金額の1.5%相当のポイントが還元される。
- 国内では220万店舗で利用可能だが、海外での使用はできない
楽天ペイ
- スマホとオンラインで楽天ID決済可能
- 利用で最大1.5%楽天ポイント還元
- 期間限定ポイントも使用可能
- 楽天会員は追加情報不要で開始
- 全国多数店舗で利用可
- 定期的なポイント還元キャンペーンあり
d払い
- 複数の支払い方法が選べる
- 店舗やオンラインで広く利用可能。全国450万の加盟店。
- dカード組み合わせでポイントが貯まる。
- 不正利用モニタリングと補償制度あり。
- チャージや合算支払いで管理しやすい。
おすすめのキャッシュレス決済5選
キャッシュレス決済を選ぶ際には、5つの基準があります。
- 対応しているブランド数
- 決済手数料
- 月額
- 対応しているPOSレジ
- 入金サイクル
上記の5つの基準はどれも重要ですが、POSレジは、連携できる会計やマーケティング系のサービスが異なります。そのため、POSレジの選択次第で、導入したいサービスが連携できない問題が生じうることを最初に把握しておく必要があります。
その上で、キャッシュレス決済サービスを5つ選定しました。ニーズ別におすすめをマーキングしてみました。
エアペイ | Square | 楽天ペイ | スマレジ・ PAYGATE | STORES決済 | |
---|---|---|---|---|---|
初級店向け コストを抑えたい | おすすめ | おすすめ | |||
上級店向け 省人化したい | おすすめ | おすすめ | |||
豊富な決済を重視 | おすすめ | おすすめ | おすすめ | ||
サポートで選びたい | おすすめ | おすすめ | |||
STORESのサービスをすでに使っている | おすすめ | ||||
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- コストを抑えたい:POSレジも含めた費用が安価である。
- 省人化したい:高機能POSレジとの連携が可能であり、さらに制限を受けない。
- 豊富な決済を重視:ブランド数が多い。
- サポートで選びたい:有人対応あり。
エアペイ
- 導入費用や月額固定費、振込手数料は0円
- 68種類のキャッシュレス決済ブランド
- iPadまたはiPhoneと専用のカードリーダー1台で起動
- レジ回りをシンプルにすることができるのでスペースを有効活用できる!
月額 | 決済手数料 | 入金サイクル |
---|---|---|
無料 | 3.24% | 月3回〜6回 |
対応しているブランド
VISAやMasterCardをはじめとした主要クレジットカードや交通系マネー、iDやQuickペイなどの電子マネーにも対応しています。その他にも別サービスであるAIRペイQRを申し込むことで、PayPayや楽天ペイ、d払いにも対応することができ、国内でも有数の68種類以上のキャッシュレス決済に対応することができます。
ダントツで多いため、具体的なブランドは記述しませんが、現在のキャッシュレス決済では最多です。
対応しているPOSレジ
これは、AIRペイ唯一のデメリットともいえますが、連携ができるレジは、AIRレジに制限されています。そのため、レジに多種多様な機能連携を求める際は、AIRレジで実現可能であるのかを先に調べておく必要があります。
Square(キャッシュレス決済)
- 導入費用や月額固定費、振込手数料は0円
- 主要クレジットカードや電子マネー、PayPay払いにも対応ができる。
- 最短翌日入金なので、資金繰りが楽。
- 個人事業主でも導入ができる。
- Square以外のPOSレジとの連携も可能。
月額 | 決済手数料 | 入金サイクル |
---|---|---|
無料 | 3.25% | 最短翌日 |
対応しているブランド
AIRペイはキャッシュレス決済を網羅していますが、Squareは必要最低限のキャッシュレスが導入できます。必要最低限と言っても、最も使われているキャッシュレス決済と提携可能であり、キャッシュレス決済の主要な需要には対応されています。
クレジットカードのブランドでは以下の主要ブランドの決済に対応することができます。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners
- Discover
また、これ以外にも、国内交通系マネー(Suica、PASMOなど)やiD、Quickペイ、PayPay、ApplePayにも対応しています。
楽天ペイやd払いには対応していません。
対応しているPOSレジ
対応しているレジは、専用のSquarePOSレジの他に以下のPOSレジにも対応しています。
- Airレジ
- スマレジ
- Bionly
- Ubiregi
- poscube
- Orange Operation
楽天ペイ
- 導入費用や月額固定費、振込手数料は0円(ただし、楽天銀行の場合)
- 主要カード、電子マネーはもちろん、アジア圏の主要なブランドにも対応。訪日外国人に対応がしやすい。
- 最短翌日入金なので、資金繰りが楽。
- 多彩なPOSレジとの連携も可能。
月額 | 決済手数料 | 入金サイクル |
---|---|---|
実質無料 | 2.95% | 最短翌日 |
楽天銀行を指定した時のみ、翌日に振込手数料無料で入金されます。それ以外の銀行では手数料が発生します。
対応しているブランド
クレジットカードの主要ブランドはもちろんのこと、電子マネーや交通系マネーを利用することができます。
クレジットカード
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners
- Discover
電子マネー
- 楽天Edy
- au PAY
- nanaco
- WAON
- QUICPay
- Apple Pay
- iD
- 交通系マネー
インバウンド決済
- WeChat Pay
- JKOPAY
- Union Pay
- Alipay
PayPayやd払いには対応していません。
対応しているPOSレジ
楽天ペイには専用のレジがありませんが、以下のレジと連携させることができます。
- スマレジ
- Bionly
- poscube
- Ubiregi
- POS+
スマレジ・PAYGATE
- スマレジの有料プランを使えば、月額は抑えることができる。
- クレジットカード、電子マネー、QRコード決済はほぼ網羅で穴がない。
- PAYGATEの端末内にプリンターも含まれるので、決済時に持ち運びが可能
月額 | 決済手数料 | 入金サイクル |
---|---|---|
3,300円〜(※) | 2.90% | クレジット/電子マネー:末締め翌15日払い/15日締め当月末払い(2回) QRコード決済:当月末締め・翌月末払い |
※スマレジの有料プランに加入すると月額が無料になる場合があります。この時、SIMカードが端末についていませんので、Wi-Fiがない環境では、SIMカードの契約が別途必要になります。
対応しているブランド
スマレジ・PAYGATEは以下の決済ブランドに対応しています:
クレジットカード決済
- VISA
- Mastercard
- American Express
- Diners Club
- JCB
- 銀聯
- Discover
QRコード決済
- PayPay
- 楽天ペイ
- d払い
- メルペイ
- WeChat Pay
- ALIPAY
- LINE Pay
電子マネー決済
- iD
- WAON
- nanaco
- 楽天Edy
- QUICPay
- 交通系マネー
対応しているPOSレジ
スマレジ・PAYGATEはスマレジ・POSとのシステム連携が可能で、金額の二度打ちが不要となり、スピーディな決済が実現できます。また、決済端末内に専用アプリをダウンロードすることで、決済端末にレジ機能が搭載され、端末1台でレジ計算から決済まで完結できます。
スマレジは、国内でも有数の他サービスとの連携数が多く、自由度の高いPOSレジです。店内の仕組みをDXで省人化したい時には、非常におすすめです。
スマレジに興味のある方は、以下の資料を一読するのが良いでしょう。
5分でわかるPOSレジの教科書
POSは、キャッシュレス決済導入だけでなく、会計、顧客管理、予約管理、集客ツールと連携する店舗経営を管理する重要なシステムです。POSでできることを簡単に理解!
STORES決済
- 月額固定費が無料で、決済手数料のみなので負担がない。
- STORESブランドの他のサービスと相性が良い。
- 操作が簡単である。
月額 | 決済手数料 | 入金サイクル |
---|---|---|
無料 | 3.24% | 最短翌々日 |
対応しているブランド
クレジットカード払い
- Visa
- MasterCard
- JCB
- American Express
- Diners Club
- Discover
電子マネー
- 交通系電子マネー
- QUICPay
QRコード決済
- WeChat Pay
電子マネーの種類が少なく、QRコード決済も国内のブランドには対応していません。
対応しているPOSレジ
STORES決済は豊富なPOSレジと連携することができますが、クレジットカード払い(ICチップ読み取り)以外は、利用ができないブランドがあります。詳しくは、「POSシステムの連携について(STORES公式)」の表をご覧ください。
STORES決済の全ての決済が使えるのは、STORESレジのみですので、STORES決済を選ぶ時は、STORESレジや通販サイトなどの他のサービスも選択する時にほぼ限られてくると思われます。
まとめ
キャッシュレス決済は集客に強い影響を与えます。
- 全体の半数が持ち歩いている現金の金額が1万円に満たない。
- 40〜50%の人が、キャッシュレス決済に対応していない店舗を敬遠する。
- 訪日外国人が増えており、キャッシュレス決済がないと対応が難しい。
また、対応しなければならない決済方法は、クレジットカード決済だけ、PayPayだけではなく、主要な支払い方法を網羅し、顧客にとって都合の良い決済方法を選べるようにすることも重要です。
キャッシュレス決済を選ぶ時には、ブランドの豊富さ、決済手数料、月額だけではなく、資金繰りに影響する入金サイクルと店内の労働生産性に関わる連携可能なPOSレジが何かを把握してから選択しましょう。
最終更新日 : 2024年3月29日