安いランチ営業を飲食店がやめた方が良い理由とは?
安いランチを提供することによって、集客をする飲食店は少なくありません。そのため、ランチは満員なのに、ディナーが全く客席が埋まらない状況に悩んでいる飲食店オーナーは多いのではないでしょうか?
安いランチで集客ができるのは当たり前のことです。ランチはディナーに比べて外食の利用率が高いからです。必ず外食しなければならないのであれば、安くて美味しいランチに集客が集中するのは当然のことです。
しかし、あまりランチの格安営業は、オンラインで飲食店を探すことが普通になった現在では良いことがありません。なぜならば、ディナー営業に悪い影響を与えてしまうからです。
安いランチが人気の理由とは?
Googleトレンドで、ランチとディナーの検索数を比較すると、圧倒的にランチが多いことがわかります。
ランチは、働いていればほとんどの人が、弁当、テイクアウト、社食、外食のどれかを選ぶ必要があります。ディナーは、自宅で家族と食べる機会が圧倒的に多いことから、ランチの方がよく探されていることは当たり前のことです。
日本の実質賃金は、1997年をピークに下がりはじめ、現在では、その時に比べて89.7%と下がっています。つまり、日本人は、働いているけれど、徐々に貧しくなっています。コンビニのおにぎりを見ているとわかりやすいですが、価格は当時に比べると圧倒的に高いです。つまり、純粋にランチにお金をかけることができないサラリーマンが増えていることになります。
ランチの価格を下げれば、人気が集中します。安いランチを用意することで、客数を増やし、口コミ数も増やす結果となります。
安いランチ営業は、なぜやってはいけないのか?
安いランチは、今までになかった客層を集客することができますが、それと同時にお店の評判をチープなものに書き換える効果があります。
飲食店にとって、口コミは新規顧客の獲得に効果を発揮する重要なものです。そのため、この口コミは、理想を言ってしまえば、ディナーの口コミが豊富になることが望ましいですが、超有名店でもない限り、ディナーで口コミが自然と増え続けることはありません。
それよりも、圧倒的に手軽に味わえて、外食する人数が絶対的に多いランチの方が口コミが付いてしまいます。
そのため、「A店に食べに行くなら、ランチ」という印象がついてしまい、ディナーを選ぶ顧客が減ってしまいます。
それ以外にも以下のような弊害が発生します。
FLコストを下げたランチ=まずいの口コミを作る。
FLコストとは、食材費と人件費を足した金額です。飲食店の費用構造では、この2つが圧倒的に大きく、FLコスト比率は、60%以内に抑えるのが良いとされています。(参考:飲食業界の費用(計算機付き))
ランチは安く、ディナーは通常価格にすると、FLコストが下がります。
この状況は簡単にいうと、夜よりも適当な材料を使って、ホールが少ない状態です。そして、ディナーよりも圧倒的に客数が多いため、クレームの発生数がどうしても増えます。
「まずかった」「サービスが最悪だった」の口コミは、分析するとランチ営業を安く提供している店舗の方が多いです。
顧客の品質が悪くなる。
安い単価でランチを提供することは、それだけターゲットにする客層を広めることです。ディナーに来店しない客層をランチでは顧客にすることになります。
基本的に安さを求める客層は、価格のみでメニューを判断します。また、比較対象が大手牛丼チェーンなどであるため、そこに比べてコスパの良し悪しのみで評価付けを行います。
牛丼チェーンはその金額で提供できるように効率化されています。そこと比べられた結果、クレームが増えたり、Google評価を下げてしまうことはあります。
ランチ営業をどのように定義するのか?
ランチはディナーよりも圧倒的に対象とする客数が多いことを利用してディナーのプレゼンの場として定義するのが良いでしょう。
ランチを格安で提供するために、原価を下げるのではなく、ディナーのメニューを分解して、提供可能な状態にするか、ディナーのメニューを期待させるような新規メニューの開発を行います。
例えば、鮮度の良い海鮮を使った天ぷらがディナーメニューであれば、ランチはその海鮮を使った海鮮丼を提供します。海鮮丼を食べた人は、刺身の美味しさからディナーの天ぷらに期待を抱きます。
基本的に、原価を下げると、当たり前のことですが、食味も落ちます。そのランチを食べた経験を元にディナーのメニューの勝手なイメージが形成されれば、そりゃ集客が難しくなって当然のことです。
もちろん、商圏によっては、昼食に使える予算がありますので、最低価格による調整をするなども行う必要性があるでしょう。例えば、ラーメン屋で醤油ラーメンが700円を下回っていることがあります。トッピングで単価を上げていき、平均顧客単価を上げるのが定石です。
最終更新日 : 2024年7月8日