集客力向上の方法とは?計画の立案や指標について解説
広告をほとんどかけていないのに、すぐに満席になってしまうお店もあれば、広告費をたくさんかけないと満席にならないお店もあります。これら2つのお店のお店の明確な違いは、集客力の有無です。
集客力とは、簡単にいえばファンが多い状況を指します。事業は魅力的な価値を顧客側が十分に理解しているため、事業者が提供する商品やサービスに対して信頼を寄せている状況が集客力が高い状況を指します。集客力が高くなれば、広告の費用対効果を上げることができます。
この記事では、集客力を高める方法や、魅力的な価値を顧客に伝えるコツについて詳しく解説します。この記事を読むことで、あなたのお店やビジネスも広告費を抑えながら集客に成功できるようになります。
集客力が高い状態とは?
同じ製品やサービスが並んでいるときに、知っている事業者が提供している方を選択してしまいがちになります。また、ライブでは、全く知らないアーティストが参加する安いものよりも、好きな有名アーティストが参加する高いものを購入します。
集客力を高めるのは、単純な知名度を高めるだけではなく、顧客が事業者に対するロイヤリティ(忠誠心)を高めることも重要です。これには、適切な市場を選ぶターゲティング、一度利用してもらえるような集客戦略、顧客とのコミュニケーションでさらなる問題解決や期待に応えるマーケティング戦略を実行していくことが効果的です。
集客力を高める戦略とは?
集客力を高めるためには、単なる購入で終わる集客戦略ではなく、その後の信頼関係構築までをしっかり行っていきます。
また、マーケティングは、プロモーション(販売促進)が全てではありません。製品やサービス自体が顧客に求められるものである必要があります。顧客のニーズを理解できるような環境を作り、製品やサービス開発に役立てることができる仕組みを構築します。
AIDASとは、消費者行動モデルの1つです。集客力を高めるための戦略を立案するときに採用されます。AIDASは、注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、行動(Action)、顧客満足(Satisfaction)の順に消費者が意思決定プロセスを行うとしているものです。集客戦略では、認知から始まった意思決定プロセスを離脱なく、顧客満足してもらうまでの流れを作ります。
4Pとは、マーケティング戦略を立案するときのフレームワークの1つで、製品・サービス開発(Product)、価格決定(Price)、流通戦略(Place)、集客・販売促進(Promotion)の4つの頭文字から名称をつけられています。必要のないものを無理に売ることはできません。そのため、集客だけではなく、顧客ニーズから新商品・サービスを開発し、顧客との関係性を向上させていくことが重要です。
① 集客戦略の立案・計画
新規顧客を増やすための計画を作成します。このとき以下のポイントを踏まえて簡単に作成し、うまくいかないと判断したときには臨機応変に組み替えます。
セグメントとは、特定の市場の中で、自社の製品やサービスの価値を特に必要とするグループのことを指します。標的セグメントを決定することをターゲティングと呼びます。
標的セグメントは、事業が成立するだけ十分な規模がなければなりません。よくある失敗例としては、ニッチな市場を狙いすぎてしまい、実際は実在しない市場を追ってしまい、コストをかけても集客ができないことです。
ペルソナとは、標的セグメントを代表する具体的な顧客像のことを指します。ペルソナを決定する目的は、広告や訴求方法を決定することです。
ペルソナを作成する上では、以下のような要素を決定します。
- 氏名
- 家族構成
- 年齢
- 職業
- ライフスタイル
- インサイト(悩みなど)
なお、設定が難しいときは、今後伸ばしていきたい常連客の特徴を書き出してペルソナを作ることがおすすめです。同じ属性にターゲティングをすることで、提供する商品やサービスが受け入れられる可能性が高いからです。
自社が提供できる価値の洗い出しを行い、特に顧客にとって魅力的であるものを探し出します。魅力的な価値の言語化が訴求点になり、キャッチコピーなどの元になり、顧客の誘引性を高めます。
魅力的な価値はこの段階では仮説でよく、後述の「集客の施策・キャンペーンの実施」でテストして入れ替えることはあります。
カスタマージャーニーとは、顧客が企業やブランドとの接触から購入までの経験プロセスを指します。カスタマージャーニーには以下の要素を考慮します。企業はこのステップを理解し、顧客にとって最適な体験を提供することが大切です。カスタマージャーニーを理解することで、企業は顧客のニーズや期待に合わせたマーケティングやサービス提供を行うことができます。
要素 | 詳細 |
---|---|
消費者行動 | 認知、考慮、評価、購入など、顧客と製品・サービス・ブランドが接する時系列順のステップ。 消費者行動には、AIDMAやAISASなどのモデルがある。 今回は、集客力の向上を目的にしているので、AIDASを選択する。 |
行動 | 目的を満たすためにどのように行動をするのかを具体的に洗い出す。 この時の手段と一致した広告を活用すると、集客に効果があると仮定できる。 |
心理(インサイト) | 各行動段階で心理状況を洗い出す。 心理状況を満たす情報を提供することで、次のステップに移りやすくなる。 |
集客施策・キャンペーン | 消費者行動を円滑にするための施策やキャンペーンを実行する。 指標を設定し、管理する。 集客の方法を具体的に知りたい方はこちらのコンテンツを参照 |
集客施策には、適切なコストを確保することとテストも兼ねることも重要です。
- A/Bテスト:2つの訴求点やクリエイティブが違う広告を出稿し、コンバージョン率や顧客獲得単価などの指標で比較し、優れた訴求力のある広告を特定するテスト。
- ランディングページテスト: ランディングページのレイアウトやコンテンツを変更して、顧客のコンバージョン率にどのような影響があるかを測定するもの。
② 集客力を指標で客観的に管理する。
集客力の高さを客観的に判定する指標は以下の通りです。
顧客維持率
顧客維持率とは、顧客が企業やブランドからの製品やサービスを引き続き利用する割合を示します。顧客維持率の算出方法は次のようになります。
顧客維持率 = (前期顧客数 – 当期顧客数)/ 前期顧客数 × 100%
例えば、前期に1000人の顧客がいて、当期に800人の顧客がいる場合、顧客維持率は20%となります。顧客維持率が高いほど、顧客は長期的に製品やサービスを利用する傾向があるということになります。
顧客維持率を高める具体的な対策としては以下の方法が挙げられます。
- 会員制の導入:ファンクラブや有料会員制(コストコなど)を導入する。
- サブスクの導入:基本的に月額制課金にする。
- コミュニケーション方法の最適化:メールやLINEなどのコミュニケーションの最適化をする。
サブスクの導入などはビジネスモデルそのものにテコ入れする必要があります。それに対して、手軽にできる顧客維持率を高める方法は、メールやLINEの導入です。基本的にビジネス上のやり取りであれば、メールの方が確認されやすく、個人向けのやり取りであれば、LINEの方が確認されやすくなります。
そのため、顧客維持率に準ずる指標として、メーリングリスト数やLINE公式アカウントのおともだち数などのコミュニケーション可能なフォロワー数も挙げられます。
NPS©️(ネットプロモータースコア)
NPS®は、顧客ロイヤルティを数値化する指標で、親しい人に商品を勧める意向を11段階評価で尋ねます。回答者を3つのグループに分類し、「推奨者(9~10点)」の割合から「批判者(0~6点)」の割合を引いた数値で表す。顧客満足度調査が現在の満足度を評価するのに対し、NPSは未来の行動を数値化し、業績予測が容易で収益との相関が高いことが特徴です。
推奨者のLTVも高いため、NPS向上は批判者減少と推奨者増加を示し、ロイヤリティだけでなく、収益性の改善も意味します。
- ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
顧客満足度調査
顧客満足度調査は、商品・サービスの評価、要素別の満足度、ユーザー特徴、期待、競合との比較を明らかにします。目的を明確化し、Webアンケート、覆面調査、グループインタビューなどの手法を用いて調査を行います。
③ グロースハックで顧客ニーズに対応した商品やサービスを開発する。
グロースハックは、顧客とのコミュニケーションから得られたデータを分析し、製品やサービスを開発するマーケティング手法です。顧客ニーズに合致した製品やサービスの開発を推し進めることで、顧客のロイヤリティを高めることができます。この手法では、データ駆動の意思決定と素早いフィードバックループを通じて、競争優位性を高め、シェアを高めることも望めます。
集客力を向上させる具体的な対策とは?
記憶に残りやすい広告を活用する。
竹本ピアノの「電話してちょうだい」やindeedの「バイト探しはindeed」のようなフレーズは、一度見ると記憶に定着しやすく、このフレーズを聞くと社名がすぐに想起されます。
多くの人の記憶に定着する広告は、口コミも発生しやすく、友人関係にある人と雑談をしている時にも話題になり、企業のブランディングにもつながります。
いざ、その製品やサービスを購入するタイミングになった時は、認知している製品やサービスを選択しがちになります。結果的に、集客力が向上します。
集客を目的としたイベントを頻繁に開催する。
店舗では普段となんの変化もなければ、来店のきっかけが顧客任せになり、結果として来店頻度を下げてしまいます。そのため、定期的にイベントを開催して、来店の機会を作るような工夫を行います。
集客イベントの例としては以下のようなものがあります。
セミナー・講演会 | ・著名な有名人の話を聞くことができる機会を作る。 ・販売する製品やサービスの販売促進につながるような専門家の話を聞く機会を作る。 |
ショー | ・住宅展示場では、子ども連れの両親を引き寄せるため、人気アニメやヒーローのショーを行なっている。 ・飲食店では、近隣のスクールと提携したダンスショーを週末行なっている。 |
ワークショップ | ・健康器具販売では、プロのインストラクターにより器具を使ったストレッチを指導することがある。 ・料理教室のスポンサーになり、教室の体験入学などで自社の食品を使ったお菓子やメニューの作り方を教えてもらう。 |
展示会 | ・学習机・ランドセル・ペルシャ絨毯など特定の製品を購入したい顧客向けに展示会を実施する。 |
感謝祭 | ・顧客とのコミュニケーションを目的としたイベントを開催する。 |
キャンペーン | ・特定の期間中に購入すると景品をプレゼントするキャンペーンを開催する。 |
有料会員数(サブスク)を導入する。
有料会員制度を導入することで、集客力を向上させる方法が明確になります。この制度により、お客様は支払った会費に見合う価値を求めるため、収益性も向上します。コストコがその一例で、年会費を支払わないと入場できません。この会費収入は全体の収入の約2%を占め、会員は年間に複数回の来店が見込まれます。
有料会員制度は、サブスクリプション決済システムを導入することで容易に実現できます。ハイボール1杯無料のような小さな特典を提供することで、低額な会費でも実施が可能です。
ウェブ集客に力を入れる。
集客力の高さは、事業者と顧客とのコミュニケーションの手段が豊富に存在し、事業者が伝えたい情報を即座に顧客に伝えることができる環境を作ることが重要です。とくに、以下の集客ツールを運用することで、集客を増やすことができます。
有料会員制度ほどの効果は見込めませんが、顧客維持に用いる集客方法に力を入れることで、リピーターの集客を制御する方法があります。これには、LINE、メールマガジン、アプリなどを用いますが、人的リソースがない中で、複数の施策の運用は難しくなります。
Googleビジネスプロフィール | Googleマップや屋号をGoogleで検索した時に表示される。 営業時間、口コミ、画像がチェックされやすいため、更新して常に整備しておく。 Googleビジネスプロフィールの設定方法と運用方法とは? |
ホームページ | ほとんどの詳細はホームページに掲載されているものだと考えられているので、最新情報や顧客にとって魅力的な価値であることは必ず掲載する。 |
予約サイト・アプリ | 予約サイト・アプリに掲載することで顧客側が迷わず予約をすることができます。 |
LINE公式アカウント | BtoCビジネスであれば、LINE公式アカウントのおともだちの数が集客力に直結する。おともだちを積極的に増やすマーケティングを実行する。メッセージの配信は週に1回程度送信する。 LINE公式アカウントを使った集客方法とは?仕組みと目的も解説 |
LINEミニアプリ | LINEの機能内で、モバイルオーダーや順番待ち、会員証の発行ができる。LINE公式アカウントに同時に登録を促せるので、集客力の向上に絶大。POSレジと連携して顧客管理も可能。 LINEミニアプリとは?導入のメリットと導入用途・連携可能なPOSシステム |
メールマガジン・MAツール | BtoBビジネスであれば、メールの方がチェック率が高い。役立つ情報が掲載されているPDF(ホワイトペーパー)の閲覧や限定的に使える機能を提供することで、メールアドレスを取得する。興味関心が高い見込み客とコミュニケーションをすることができる。 |
ブログ | 製品やサービスと関連性の高いコンテンツを掲載し、SEOで自然流入を増やす。 過去のイベントのレビュー記事を忘れずに掲載し、イベント参加者の集客につなげる。 ブログ集客とは?ブログ選びから難易度を下げるためのポイントも紹介 |
Youtube | 関連性の高いコンテンツを中心に発信し、製品やサービスの使い方を紹介する。 相性の良い他社製品なども紹介することで、視認性が高まり、セット購入の増加が見込める。 |
小売店などでは、取り扱い製品のカタログのような使い方ができる。 3coinsなどでは社内インフルエンサー制度があり、おしゃれな製品の使い方などを発信している。 | |
Twitterは情報収集を主体にされているため、関連性の高いコンテンツを配信するアカウントを運用する。視認性を高めるためには、Twitter Blueを導入し、動画コンテンツや画像を多用するのが良い。 |
まとめ
集客力を高めると、集客の施策の費用対効果が高まります。
集客力向上をやみくもに目指しても、方向性が見えないことで戦略を構築できないのでは意味がありません。そのため、具体的な計画を形にすること、集客力の管理するための指標の設定、顧客とのコミュニケーションを製品やサービスの改善に結びつけるグロースハックをうまく運用することが重要です。
集客力を効率的に高めるために、サブスクの導入やウェブの集客に力を入れて、LINE公式アカウントやメールマガジンの登録者数を増やし、顧客とのコミュニケーションしやすい環境を整備しましょう。