新規顧客を集客する方法とは?業界別におすすめの方法を解説
新規顧客の集客が足りないことで悩みを抱えている経営者も多いと思います。新規顧客の集客は、売上の要素の中の客数にかかっており、これからのビジネスの成長で非常に重要な要素ではあります。
リピーターが効率良く売上アップするためには重要です。しかし、リピーターはなんらかの理由で顧客離反をします。そのために、新しいリピーターの獲得を行う必要があり、新規顧客は獲得しなければならないものです。
それでは、新規顧客を集客する方法として、どのような方法があるのでしょうか?
新規顧客を集客の戦略を立案する
新規顧客の集客を効果的に行うためには、自社製品やサービスの市場理解と認知から購入に至るまでの消費者行動を理解し、適切な戦略を設計することが必要です。
①適切なターゲティングを行う
新規顧客の集客において、最も重要なのはターゲティングです。ターゲティングとは、特定の顧客層を明確に定義し、その層に対して最適化されたマーケティング活動を展開することを指します。
まずは、自社の商品やサービスが解決する問題や提供する価値を明確に理解しましょう。次に、その価値を最も必要としている顧客層を定義します。年齢、性別、地域、職業、趣味、ライフスタイルなど、さまざまな角度から顧客をセグメント化します。
そして、特定した顧客層に対して、そのニーズや関心に合わせたメッセージを伝えることで、効果的な集客が可能となります。
②価値を明確にする
新規顧客の集客では、顧客にとって価値のある製品・サービスであることを訴求することが重要です。顧客にとって価値がわかりやすいものほど、購入や契約に直結します。
顧客のニーズを理解する
まず最初に行うべきことは、顧客が何を求めているのか、どのような問題を解決したいのかを深く理解することです。これには、市場調査や顧客インタビュー、フィードバックの収集などが有効です。顧客のニーズや欲求を正確に把握することで、それに対応する価値を提供する製品やサービスを開発することが可能になります。
製品やサービスの特性を明確にする
次に、自社の製品やサービスがどのような特性を持ち、どのような価値を提供できるのかを明確にします。これには、製品の機能性、品質、価格、利便性などが関わります。製品やサービスの特性を明確にすることで、それが顧客のニーズや問題解決にどのように寄与するのかを理解することができます。
顧客にとっての価値を定義する
顧客が製品やサービスを利用することで得られる具体的な利益やメリットを定義します。これは、問題の解決、時間やコストの節約、生活の質の向上など、具体的な形で表現することが重要です。顧客にとっての価値を定義することで、製品やサービスの魅力や優位性を明確に伝えることができます。
価値の比較をする
顧客が他の製品やサービスと比較した場合に、自社の製品やサービスがどのような価値を提供するのかを考えます。これには、競合他社の製品やサービスとの比較が必要です。競合他社との比較を通じて、自社の製品やサービスの優位性や差別化要素を明確にすることができます。
ただし、虚偽や事実誤認を促す比較は、景品表示法違反になる可能性があります。
価値の伝達をする
最後に、定義した価値を顧客に伝えることが重要です。これには、マーケティングコミュニケーションの手法が活用されます。広告、プロモーション、SNSなどを通じて、製品やサービスの価値を効果的に伝えることで、顧客の購買意欲を引き出すことができます。
価値から購入動機に直結するものを選択し、キャッチコピー化することで、反応率を高めることができます。
③消費者行動を定義する
消費者行動とは、製品やサービスの存在を知ってから購入や契約に至るまでの行動を指します。この消費者行動を定型化したものを消費者行動モデルと呼びます。消費者が購入まで円滑に行動を取れるようにすることで、新規顧客の集客を伸ばすことができます。
モデル名 | 説明 |
---|---|
AIDA | 最も古典的なモデルで、消費者の購入プロセスをシンプルに示しています。AIDAは、Attention(注意・認知)、Interest(興味・関心)、Desire(欲求)、Action(行動)の頭文字を取っています。 |
AIDMA | AIDAに「Memory 記憶」を加えたもので、日本国内では最も一般的な消費者行動です。 |
AIDCAS | AIDMAに非常によく似た考え方ですが、「記憶」が「確信」へ変わり、行動の後に「評価」が加わったものです。高価な不動産、自動車、保険サービスなどの消費者行動に合致します。 |
AISAS | 「検索」や「シェア」といった、インターネット特有の購買行動が含まれています。 商品やサービスに興味を持った時点でスマホを使って情報を検索します。QRコードを設置するなどの |
AISCEAS | AISASに「比較」「検討」を加えたもので、消費者の購買モデルをAISASよりも詳細にしたモデルです。 パソコン、ガジェット、カメラなどの消費者行動に合致します。 |
ZMOT | Zero Moment Of Truthの略で、消費者が店舗に来店する前に、何を購入するかを決めているという購買行動モデルです。強い購入動機をオンラインなどで作ります。 |
FMOT | First Moment of Truthの略で、店頭において消費者が商品の購入を決定する瞬間についての考え方です。 入店して3〜7秒で目に入った商品が魅力的なのか判断するものです。コストコでは、入店ゲート入ってすぐには季節性の高い商品を陳列しています。 |
SMOT | Second Moment of Truthの略で、実際に商品を購入した消費者が、商品の品質などを評価し、次回も同じ商品を購入するかどうか判断するという購買行動モデルです。 |
VISAS | 口コミの影響による消費者の購買行動を表したモデルです。Viral(口コミ)、Influence(影響)、Sympathy(共感)、Action(行動)、Share(共有)の順に起こるもので、インフルエンサーに影響を受けて、商品購入するときには、この行動モデルが合致します。 |
ULSSAS | SNSを中心とした購買行動モデルです。商品の認知や検索についてもSNSからスタートすることが特徴です。 |
DECAX | コンテンツマーケティングの読者がどのような購買行動を起こすのかを表したモデルです。 |
上記の消費者行動は、場合分けして使いますし、企業の場合は使用者と決済者の消費者行動を基盤に考える必要があります。ただし、難しいと感じる時には、基本的なAIDAやAIDMAを意識して集客の仕組みを作るのが良いでしょう。
⑤効率的な集客方法を選ぶ
集客の方法は、運用の手間とターゲット層へのリーチ難易度で優先順位付けを行います。例えば、運用してしまえば、ターゲットにリーチしやすい広告ほど優先順位が上がります。リーチしやすいけれども、手間がかかる方法は、競合が模倣しづらいため、併用して実施する価値はあります。
リーチの見込みが難しい広告は、新規顧客の集客には貢献しないことが多いです。たとえば、地域情報誌のバナー広告は、地域情報誌を手にとった人の中からそのページを見て、少ないメッセージの中から価値を見い出してもらう必要があり、せいぜい1回の出稿で1人(組)集客ができれば良い水準の反応率しかありません。
新規顧客の集客方法
オンラインの新規顧客の集客方法7選
スマホが普及していることで、情報を入手する方法は、オンラインがよく使われています。オンラインの仕組みを使い、ターゲットに認知してもらうことから購入に結びつけることまで可能です。
①SNS広告
SNSの広告機能を利用して、ターゲットとなるユーザーに直接アピールします。性別、年齢、エリアの指定ができるほか、興味関心や顧客リストをアップロードすることで類似性のあるユーザーに広告を表示させることもできる広告もあります。
店舗型・非店舗型のビジネス両方に活用することができます。代表的な広告は、 Meta社のサービスに広告を出稿できるFacebook広告やエックス(旧Twitter)に広告を出稿することができる旧Twitter広告、YoutubeにTrue View(動画中に強制的に表示される動画CM)を表示するYoutube広告があります。
②リスティング広告
Google広告やYahoo!広告などのリスティング広告を利用して、検索結果の上位に広告を表示します。購入意欲の高い検索ワードに広告を表示することで、高い確率で、コンバージョン(成約)することができます。
広告費がクリック課金なため、顧客獲得単価が高くなります。そのため、アップセルやクロスセルができない安価な物販や顧客単価が高くない店舗型のビジネスには向いていませんが、生涯顧客価値(LTV)が大きくなりやすい製品やサービスの販売には向いています。
③ディスプレイ広告
ウェブサイトやアプリ内に表示されるバナー広告などを利用して、新規顧客を獲得します。ディスプレイ広告を出稿するためには、個人ブログに表示することができるGoogle広告や大手メディアに広告を表示することができるYahoo!広告があります。
④アフィリエイト広告
他のウェブサイトやブロガーに商品やサービスを紹介してもらうアフィリエイト広告を利用します。アフィリエイトは広告主が設定した成約を達成した時に報酬をアフィリエイターに支払う成果報酬型の広告です。アフィリエイト広告の出稿は、ASPと呼ばれる広告代理店を経由して出稿することができます。ASPは、A8、バリューコマース、Afbなどがあります。
⑤ソーシャルメディアの運用
Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアを活用して、ブランドの認知度を上げ、新規顧客を獲得します。各ソーシャルメディアの表示アルゴリズムを理解し、投稿の頻度や内容、ターゲットとなるユーザーの反応などを見ながら、適切な運用を行うことで、新規顧客を獲得できるようになります。
⑥SEO(検索エンジン最適化)
ウェブサイトの検索エンジン最適化(SEO)を行うことで、検索結果の上位に表示されやすくなり、新規顧客を集めることができます。SEOで集客するためには、検索キーワードを分析し、そのキーワードを検索した意図に合致したコンテンツページを作成し、内容で製品やサービスの必要性を訴求します。
⑦コンテンツマーケティング
ブログ記事やホワイトペーパー、動画などのコンテンツを作成し、それをターゲットが情報を受け取りやすいメディアで共有することで、新規顧客の関心を引きつけます。コンテンツマーケティングは、オウンドメディアなどにはこだわらず、オンライン広告などのペイドメディア、SNSなどのアーンドメディアの全体の最適化で新規顧客を増加する目的を達成します。
オフラインの新規顧客の集客方法7選
オフラインの情報は、自然に視認したり、耳に入ることで、情報が入ってきます。これにより、製品・サービスの存在を認知し、オンラインで検索するきっかけを作ることができます。
①ポスティング
フライヤーやチラシを直接ポストに投函することで、地元の顧客を集めます。ターゲットエリアを絞り込み、効率的に広告を行うことが可能です。ポスティングは、自分でもできますが、印刷会社に印刷とセットで依頼することで、大量の枚数を一気に配布することができます。
②展示会の開催
自社の商品やサービスを直接紹介できる展示会を開催し、参加者を新規顧客に変換します。特定のテーマに特化した展示会では、ニーズが合致している可能性が高いので、新規顧客の獲得が効率的です。直接対話が可能なため、深い関係性を築くことができます。
③紹介
既存の顧客やパートナー企業からの紹介を通じて、新規顧客を獲得します。信頼性が高く、高いコンバージョン率を期待できます。紹介営業は、既存顧客とのコミュニケーションが多く、有益な情報を伝えることで発生確率を上げることができます。
④イベント出店
フェスティバルや地元のイベントに出店し、商品やサービスを直接紹介します。リアルな体験を提供し、ブランドの魅力を伝えます。
④新聞広告
地元の新聞に広告を掲載し、新規顧客を獲得します。広範囲の年齢層にアピールすることが可能です。新聞を定期購読している層も異なりますので、出稿する新聞でターゲットを選択することができます。
⑤看板
店舗の外観や交通量の多い場所に看板を設置し、通行人の目を引きます。長期間にわたり、一定の認知度を維持することができます。店舗の存在を認知してもらうことのほか、オンラインで興味を持った人の来店をサポートする役割があります。
⑥テレビCM
テレビコマーシャルを通じて、広範囲の顧客に商品やサービスを紹介します。視覚と聴覚を使って、記憶に残すことができます。番組や視聴時間によって視聴者層が異なりますので、ターゲットが合致したチャンネルや時間を指定するのが重要です。
⑦交通広告
交通広告は、バス、電車、タクシーなどの公共交通機関や駅、空港などの施設に広告を掲示する方法です。多くの人々が利用するため、広範囲の視聴者に対してブランドや商品の認知度を高めることが可能です。また、地域特化型の広告としても効果的です。
業種別におすすめの新規の集客方法
優先順位が高い方法を業種別に紹介します。ゼロから自分で地道にSNSなどで認知を拡大しようとしても、時間がかかってしまいますし、成功するかもわかりません。そのため、効率良く認知を拡大できる広告を選択するのが基本になります。
飲食店の新規の集客方法
飲食店の集客戦略例
認知度を高める | グルメサイトに出稿する Instagramを運用(広告を併用) ポスティングを行う |
興味関心を作る | シズル感を掻き立てる写真や動画を用意する メニュー名をわかりやすくリネームする 内装を工夫する |
検索対策 | ホームページを作成する Googleビジネスプロフィールに口コミを集める グルメサイトの検索対策を行う |
予約数を増やす・利便性の向上 | フードデリバリーサービスを導入する ネット予約を受け付ける イベントを実施し、来店動機を作る |
飲食店の場合は、すでにお店を探している人は、ある程度有名グルメサイトが囲い込んでいます。そのため、目先の新規が欲しいのであれば、グルメサイトを活用するのは必須条件とも言えます。
また、SNSも育成すれば、有名媒体と同じくらいか、それ以上の集客力を発揮します。飲食店などの場合、広告を活用する習慣がない店舗が多いのですが、広告を使って、認知を広めつつ、育成の時間を短縮化します。
ポスティング広告も商圏内の人々にITリテラシー関係なしに認知を拡大する意味では効果が高く、山形県・埼玉県・茨城県で実施した際には非常に高い効果を得ました。ただし、母数は配布枚数になりますので、相応のチラシのポスティングが必要であるため、コストも準備期間に時間もかかります。
美容室の新規の集客方法
美容室の集客戦略例
認知度を高める | 予約サイトに登録する Instagram・Tik Tokを運用(広告を併用) ポスティングを行う |
興味関心を作る | メニューの良さが理解できるようなフライヤーやページを作成する イメージ動画を作成する 内装を工夫する |
検索対策 | ホームページを作成する Googleビジネスプロフィールに口コミを集める |
予約数を増やす・利便性の向上 | ネット予約を受け付ける |
美容室の場合は、ホットペッパービューティーの予約サイトのシェアが高いです。ホットペッパービューティーが抱える顧客を獲得するためには、地域検索で1ページ目に表示されるようなプランでの導入が必要です。ただし、激戦区では月額が高いプランほどサイト内検索が有利になるため、新規の美容室ほど手がつけづらい集客方法だというのがデメリットとして挙げられます。
美容室の場合は、美容師に顧客が付きます。そして、基本的に美容室を変更する時は、引っ越しや転勤・転職などによる生活の変化か不満のどちらかです。内部の人々がどのような人々で、どんな技術を持っているのかを伝えるコンテンツを主軸にすると良いでしょう。そのため、動画コンテンツも相性が良いです。
現在の美容室に不満を持った場合、なんらかの形でレビューなどの情報を閲覧しようとします。その時に、Googleマイビジネスが検索される可能性が高く、そこから予約に結びつくことも多いです。
小売店の新規の集客方法
小売店の集客戦略例
認知度を高める | ポスティングをする SNSを運用する 動画広告(Youtube、テレビCM)を出稿する |
興味関心を作る | ストーリーズ(ショート動画)をたくさん作る 商品の利用用途や使い方を説明するSNSを運用する 社内インフルエンサー制度の導入 |
検索対策 | ホームページを作成する Googleビジネスプロフィールに口コミを集める リスティング広告を運用する |
予約数を増やす・利便性の向上 | Shopifyを導入する Amazonや楽天に出店する |
小売店で独自の商品を開発している場合、通販との併用が一般的になりました。この際、通販サイトの準備を優先することが一般的ですが、実は顧客獲得を最優先にすることで、早期に売上を上げることが可能です。
この考え方は飲食店でも同じです。例えば、開店前からSNSで情報発信を続け、初日から行列ができるラーメン店やカレー店が存在します。
また、商品の魅力を伝えるホームページの存在は非常に重要です。そのためには、WordPressのテーマを利用したブログでも十分に効果を発揮します。
消費サイクルが定まっている商品、例えばシャンプーなどは、サブスクリプションモデルを採用することで、顧客生涯価値(LTV)を最大化することが可能です。これにより、Google広告などのリスティング広告が有効となります。新規顧客を集めるための初期投資を行い、その後の長期契約により利益を回収するビジネスモデルとなります。
士業の新規の集客方法
認知度を高める | ブログやSNSで専門性を訴求する リスティング広告を行う 全国商工会などで講師を行う 企業向けのDMを配信する |
興味関心を作る | セミナーを開催する リーフレットやホームページを充実化させる |
成約率を高める | わかりやすいフォームの用意 ターゲットにとって大きな価値になるものをフォームからダウンロードできるようにする |
士業の新規顧客獲得戦略は、差別化と情報発信が重要です。まず、自分の専門性を活かし、特定の業種に特化したサービスを提供していることや顧客にとってのわかりやすい価値を訴求します。たとえば、製造業に特化した弁理士や節税対策な税理士のようなキャッチコピーを使います。
次に、ブログやSNSなどを通じて情報を発信し、知識と経験をアピールします。これにより、信頼性が高まり、新規顧客の獲得につながります。また、セミナーやワークショップを開催することも効果的です。これらの活動を通じて、自分の存在を広く知らせ、新規顧客を獲得することが可能になります。
まとめ
新規の集客を行いたい場合は、出来るだけ手間をかけずに顧客の獲得ができることが大前提になります。SNS広告やGoogle広告は、膨大な閲覧者がいて、そこでターゲティングを行うタイプの広告ですので、閲覧されるかわからない紙面への掲載よりは安定性があります。
新規の集客は、対象にする顧客視点で考えた集客手法の選択が有効です。
また、新規の集客は、それだけでは売上は大きく上げられず、固定客化に育成して顧客生涯価値(LTV)の最大化を意識しなければなりません。固定客の人数が増えることが実質の集客力の増加、人気の獲得に繋がることになります。
最終更新日 : 2023年10月28日