飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリットとおすすめの導入方法
世間はキャッシュレス決済への移行の機運が高まっています。「キャッシュレスサービスも無数にありますし、キャッシュレス決済のサービスも無数にあり、結局どれを選んだら良いかわからない。」そんな悩みを抱えているのではないでしょうか?
では、飲食店が是非対応したいキャッシュレスに加えて、どうやってキャッシュレス決済に対応すれば良いのかについて紹介をしたいと思います。
- キャッシュレスに対応するメリットとは?
- 飲食店が是非対応しておきたいキャッシュレスとは?
- キャッシュレス決済はどれを活用した方が良いのか?
飲食店がキャッシュレスに対応するメリットとは?
まず、飲食店がキャッシュレスに対応するメリットを理解しなければなりません。
キャッシュレスとは、簡単にいうと現金の直接的なやり取り以外の支払い方法のことを言います。キャッシュレスの手段は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済などが挙げられます。
これらのキャッシュレスは、私たちの生活に定着しています。例えば、Amazonから書籍を購入する時はクレジットカードを使いますし、移動中に駅内の蕎麦屋で昼食をする時は、Suicaなどの交通系マネーを使います。そして、セブンイレブンで決済をする時は、PayPayで支払います。
つまり、自然と自分のお金をそれぞれのサービスに振り分けており、その中で買い物をすることが普通になっています。そのため、それぞれの財布に対応することで買い物をしてもらいやすくしようというのが流れです。
特に飲食店では現金支払いが嫌われはじめている。
コロナ禍も影響しているところがありますが、お札や銭の直接的なやり取りは敬遠される傾向が増えてきました。やはり、素手での現金のやり取りは衛生面にも問題がありますし、そして間違える可能性があります。
セブンイレブンやすき家では、現金支払いを含めた決済を店員が手を触れなくてもできるようなレジに入れ替えています。
また、現金支払いは、飲食店側からすると、決済手数料がかからないことが魅力なのですが、レジ締めに時間がかかる上に、お釣りを用意しなければなりません。
問題になるのはここからで、2022年1月からゆうちょ銀行でも硬貨取扱料金、金種指定料金、そしてATM硬貨預払料金が新設されました。つまり、飲食店では硬貨のやり取りが多いのですが、銀行に出し入れする度に手数料が発生します。そして、これらの料金は枚数に応じて設定されているため、取引金額が大きくなればなるほど、料金も高くなります。
つまり、飲食店側からしても、現金でやり取りをするメリットがだんだん小さくなっています。
また、経済産業省は、2020年1月にキャッシュレスの現状および意義の資料を公開しています。
このデータからもわかるように、2016年の段階では、韓国のキャッシュレス比率が96.4%であったことに対して、日本は、19.9%です。つまり、キャッシュレス比率自体には十分な伸び代が5年前の段階では存在していたことになります。また、2018年のデータでは、日本のキャッシュレス決済は、全体の24.1%に留まっています。経済産業省は、2025年までにキャッシュレス比率を4割まで向上させることを目標にしています。
そして、ここで重要な問題となるのは、4割の人が現金を持ち歩かなくなる可能性があるということです。つまり、現金対応しか対応していなければ、人口の4割は集客できないことを意味しています。
その他のキャッシュレスを飲食店が導入するメリットは以下の通りになります。
レジに係る生産性の向上
キャッシュレス決済を導入することで、お釣りの計算が必要なくなります。また、PayPayなどでは、わりかん機能があります。これは、PayPayユーザーの中で支払いを一本化できる機能なので、さらに団体客への対応を減らすことができます。これにより、レジ待ちを最小限に減らすことも望めます。
集客
顧客の目線からすれば、自分が最も得をする方法でお支払いをしたいと思います。
例えば、クレジットカードのポイントの有効性が高ければ、好んでクレジットカードを選択します。逆を言ってしまえば、この方法が使えない店舗は最初から選ばない可能性が高いことになります。特に、最近はアプリ決済各社が大型のキャンペーンを実施していますので、このキャンペーンを狙っての消費を組み込むことができます。
飲食店が必ず導入しなければならないキャッシュレスとは?
飲食店がキャッシュレス決済を導入する時には、その地域の人々の活用が多いと考える決済方法に対応していることが理想です。ただし、どの人がどれを使っているのかはわかるわけでもありませんし、全国的にキャッシュレス化は進んでいるため、好きな決済方法を選べる環境にするのが理想ではあります。
飲食店が対応しなければならないキャッシュレスを大きく分けると次の3つです。
- クレジットカード
- 電子マネー
- アプリ・QRコード決済
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、飲食店に限らず、他の業態でも活用される決済の上、企業保有のクレジットカードで決済されることもありますので、必須の決済方法です。特に、年収が高い人ほどクレジットカードには特典がありますので、利用率が高くなります。
2020年の全体の支払いの中でクレジットカードの割合が25%であり、4人に1人が選択していることがわかります。統計上では、クレジットカード決済を導入すれば、お支払い方法全体の96%を押さえることができます。
クレジットカードには、VISA、Master、JCB、AMEX、ダイナーズ、ディスカバー、ユニオンペイがあります。
電子マネー決済
PASMOやSuicaなどの交通系電子マネーやnanacoなどの大手企業系列のものもあります。電子マネー決済に対応することができれば、チャージした金額からお支払いをしてもらえることになります。つまり、電車などの移動が一般的な地域では利用率が高くなります。
特に、PASMOは、地下鉄とJR両方に使えるため使い勝手が良く、都心部から観光客を増やしたい観光地の店舗では、電子マネー決済ができるようになっていることが理想です。
Suica、PASMOなどの交通系プリペイド、WAON、nanacoなどの流通系プリペイド、iD、QUICPayなどのポストペイド型の電子マネーがあります。
- プリペイドとは、前払い型の電子マネーのこと
- ポストペイド型とは後払いの電子マネーのこと
アプリ決済・QRコード決済
QRコード決済は、コロナ禍の間に、それぞれで用意したキャンペーンで劇的に普及しました。特に、PayPayとd払いの利用者が増えています。
「PayPay」は2020年度、ファイナンスカテゴリの中で1位(全カテゴリでは3位)(※5)のダウンロード数となりました。なお、ダウンロード数上位のアプリをそれぞれの平均月間ダウンロード数で比較しても「PayPay」は国民的なコミュニケーションアプリである「LINE」に次ぐダウンロード数を獲得しており、成長速度を維持しながら日本のキャッシュレス化を推進しています。
PayPayユーザー数4,000万人突破
2021年の日本のApp Store無料ダウンロードランキングが以下の通りになります。なんと、1位はPayPayです。
PayPayは、ポイントバックキャンペーンやセブンイレブンアプリの支払い方法に採用されていることもあり、利用頻度が急激に増えた印象があります。
例えば、PayPayでは地域特化型のキャンペーンを実施しており、このキャンペーンに対応した地域では、お支払いの8割がPayPayになったという顧客からの話もあります。
d払いは、メルペイとも連携しており、メルカリを積極的に活用しているユーザーは、d払い対応の店舗で使えるポイントが蓄積していくため、無視することができません。
サービス名 | ユーザー数 |
---|---|
PayPay | 4,500万人(ただし、2022年1月段階) |
d払い | 3,735万人(ただし、2021年8月段階) |
この他にも、au PAY、LINE PAY、メルペイ、楽天ペイがあります。
キャッシュレス決済を導入する注意点とは?
キャッシュレス決済を導入することで以下の問題が発生します。
- 決済手数料・通信費用がかかる。
- 入金までのリードタイムが発生する。
決済手数料やその他費用がかかる。
キャッシュレス決済には手数料が発生します。手数料が発生します。ただし、前述した通り、現金にはお釣りを用意する手間とその金額が大きくなれば、銀行に支払う料金が高くなり、手間も増えてしまいます。
また、キャッシュレス決済では通信環境が必要で、Wi-Fiを設定する必要性があります。また、サービス料金ばかり目がいきがちですが、iPadやiPhoneなどの端末費用を初期投資する必要もあります。
入金までのリードタイムが発生する。
中には、申請をすることで数日で入金をするサービスもありますが、基本的にはすぐには現金化することができません。そのため、支払いに合わせた出金スケジュールを作らないといけません。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するおすすめの方法とは?
それではキャッシュレス決済を導入するおすすめの方法を紹介します。キャッシュレス決済を導入するには、それぞれのサービスに申し込み、対応するレジを導入する方法もありますが、管理が煩雑にどうしてもなってしまいます。
そのため、まとめてクレジットカード、電子マネー、アプリ・QRコード決済が導入できるキャッシュレス決済を導入します。結論からいうと、キャッシュレス決済は、株式会社リクルートが提供するエアペイがおすすめです。
ただし、エアペイを導入したら、併せてタブレットPOSレジであるエアレジを導入することが前提になります。他のタブレットPOSレジを導入している時は別のキャッシュレスを導入するか、エアレジに変更する必要性があります。
エアペイの魅力はこちらになります。
- 対応している支払い方法が多い。
- エアレジを含めて初期費用が無料である。
- 非常に使いやすい。
他のキャッシュレス決済サービスとも比較してみます。
エアペイ | STORES決済 | Square | |
---|---|---|---|
おすすめ業種 | オールジャンル | オールジャンル | オールジャンル |
対応レジ | エアレジ | STORESレジ、スマレジ、ユビレジ、あっと決済、 Bionly、Orange Operationなど | エアレジ、スマレジ、ユビレジ、Bionly、poscube、Orange Operation |
決済手数料 | 2.95~3.74% | 1.98~3.74% 電子マネー決済の手数料が安い。 | 3.25%~3.95% |
振込回数 | 3~6回 | 翌月20日 | 最短翌営業日 |
クレジットカード | VISA、Master、JCB、AMEX、ダイナーズ、ディスカバー、ユニオンペイ | VISA、Master、JCB、AMEX、ダイナーズ、ディスカバー | Visa、Mastercard、American Express、 Discover、Diners Club International JCBのみ3.95% |
電子マネー | 交通系9社、Appleペイ、QUICPay、iD | 交通系9社 | 交通系9社、QUICPay、iD |
QRコード決済 | d払い、PayPay、auPay、Jcoin、WeChatPay、UnionPayなど | WeChatPay (その他は手入力) | なし |
主要3社のキャッシュレス決済を比較しますと、それぞれに良し悪しがあることがわかります。飲食店では、取り扱う決済方法が豊富であること、振込回数が多いこと、特に導入したいQRコード決済も一括して利用が可能であることから、エアペイ一択でしょう。
STORES決済は、対応している決済の種類は他のキャッシュレスサービスに比べて少ないですが、交通系電子マネーの決済に関しては他社よりも安いです。また、対応しているレジの種類も多いです。ただし、PayPay、d払いは別途申し込みを行わなければなりません。
Squareは、振込のサイクルが他社よりも圧倒的に短いことが魅力です。ただし、QRコード決済に対応しておらず、手数料も高めに設定されています。
エアペイを導入する手順を紹介
それでは、エアペイを導入する手順について紹介します。
店舗内でWi-Fiが使えるようにします。ネット回線がないとキャッシュレス決済もPOSレジも動かないからです。開通までに時間がかからないのは、Air Wi-Fiです。店舗を開業した段階で電話を設置することにもなりますので、合算した金額が一番安いところを選択するのが良いでしょう。
エアペイのサービスに申し込みをします。この時、エアペイQRも同時に申し込みます。また、利用には審査が必要であり、以下の書類をアップロードする必要性があります。
個人の場合・・運転免許、健康保険証、パスポートなど本人を証明できる書類1つ
法人の場合・・登記簿謄本
営業許可証/免許証
店舗確認書類
なお、審査は3営業日が目処であり、メールか管理画面で審査の結果を知ることができます。
サポート対象内のiPadもしくはiPhoneが必要になります。端末に関しては、最新機種は全く必要がなくて、サポート対象のiOSがスムーズに起動すれば中古の製品でも構いません。なお、はじめてのエアレジ申し込みの場合、1台のみiPadを無償貸し出ししてもらえるキャッシュレス応援キャンペーンを実施していることがあります。
審査が完了すると、ご登録いただいた店舗へカードリーダー、操作マニュアル、加盟店ステッカーが届きます。
Airペイアプリのダウンロードします。カードリーダーの箱に同梱されているマニュアルをご参考に、各種設定を行なってください。
ご利用開始のお知らせメールが届いたら、実際の決済ができるようになります。カードリーダーが到着後、1週間程度が目処になります。
ここで確認してもわかる通り、利用できるまでに最低2週間程度かかり、操作方法を学習しておく必要があります。早い段階でキャッシュレス決済は申し込んでおいた方が良いでしょう。
まとめ
現在のキャッシュレス払いの割合は、29%ではあるもののこの割合は順調に伸びています。
特に宴会を伴う飲食店では、割り勘が基本になりますので、その手間を顧客側にもスタッフにも求めない方がより良い関係性に繋がり、利便性の向上にも繋がります。
キャッシュレスを飲食店が導入するメリットは以下の3つになります。
- レジに係る生産性の向上
- 集客
- 衛生面の問題を解消できる
この記事を読んだ人におすすめの記事
最終更新日 : 2024年3月21日