飲食店が手を出してはいけない集客方法・広告とは?
飲食店は継続的な成長を促す集客方法に焦点を合わせるべきです。一時的な効果をもたらす集客方法は、客層の変化を引き起こし、長期的に見ると状況を悪化させるものもあります。
今回解説している集客方法は、飲食店の継続的な成長にポジティブな結果を及ぼさない可能性が高いです。
1.飲食店に効果をもたらさない集客方法とは?
飲食店の集客は、継続的に業績を伸ばすことを目的にするべきであり、客層が変わってしまう対策を取るのは良いことではありません。
他業種ではありますが、高級志向の大塚家具が失敗したのは、ニトリやイケアなどのリーズナブルな価格帯に転向しようとしたことです。結果的に同質化をまねいたこともありますが、供給過多の価格帯であることに加えて、顧客単価が低下したことが挙げられます。
値引きを題材的に取り上げているようなサービスを使うと、その値引き額の大きさで一定の新規顧客が増えますが、それらの新規顧客は、値引き額を理由にして来店しているため定着しません。
1-1.共同購入クーポン
共同購入クーポンは、消費者が事前に店舗のチケットを購入し、クーポンサイトを通じて見込み客を増やすシステムです。この方法は大幅な割引を伴うため、来店客を固定客に変えるのは困難です。割引価格での来店が増えることにより、正規価格での集客が阻害され、口コミの悪化や既存の顧客の流出につながるリスクがあります。
1-2.懸賞キャンペーン
懸賞キャンペーンは実質的な集客には繋がりません。例えば、Xキャンペーン(フォロー&リポスト型)を取りまとめたキャンペーンサイトに登録しても、ユーザーは懸賞が目的であり、店舗に関連しないユーザーへの露出が多く、実質的な成果は限定的です。また、懸賞として提供されるお食事券がメルカリなどのCtoCサイトで転売される可能性もあります。
1-3.初期費用無料のホームページ
初期費用無料のホームページ制作は、表面的には経済的負担を減らすように見えますが、長期的には飲食店の販促費用の負担増となり得ます。途中解約が困難で、実際の売上に見合わない費用がかかるリスクがあります。知名度が低い場合は、代わりにグルメサイトへの投資や、補助金を活用したホームページ制作が有効です。また、個人店舗の場合は、手軽なホームページ作成サービスを利用することも一つの選択肢です。
1-4.先払いお食事券
コロナウィルスの影響により、多くの飲食店が先払いお食事券を導入しました。しかし、これは売上を前倒しするだけで、実際には将来の売上です。過剰に販売すると、満席にも関わらず売上が上がらない状況に陥るリスクがあります。
1-5.地域密着型のフリーペーパー
フリーペーパーには、駅やコンビニなどに置いてあるものと、コミュニティペーパーのようにポスティングするタイプのものがあります。特に、前者の据え置き型のフリーペーパーは、発行部数と閲覧数が一致していません。また、広告欄に枠があるため、掲載できる情報量も多くありません。そのため、広告は出しても閲覧されず、集客を誘引するだけの十分な情報も掲載できない可能性があります。
1-6.リスティング広告
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果にフレーズを表示させて、任意のページに誘導するための広告です。キーワードに関連性の高い広告であればすぐに顧客になってもらえる可能性が高いことがリスティング広告のメリットですが、クリック課金であるため、販促費を十分に使えない事業とは相性が良くありません。
飲食店の販促費は、売上の3~5%であるため、リスティング広告よりも今すぐ客が多いグルメサイトに優先して投資した方が費用対効果は一般的には高くなります。
2.飲食店の集客の投資の基本
飲食店の集客は継続的な成長がありきのものです。そのため、飲食店が投資を決める時には、以下の条件を満たすもので考えましょう。
- 自店舗で継続的に使用可能なものを選ぶ。
- 継続的な成長に貢献するものを選ぶ。
- 客層を変えるような集客方法は採用しない。
2-1.自店舗で継続的に使用可能なものを選ぶ
運用ができない集客ツールを無理矢理導入しても意味がありません。有料の集客ツールを導入しても、実際使っているのは全体の2割程度です。8割は使用そのものをしておらず、全く機能していないものを契約しても意味がありません。そのため、継続的に使用が可能なツールであることを前提に導入します。
2-2.継続的な成長に貢献するものを選ぶ
飲食店の集客は、新規集客だけではなく、固定客までの育成を念頭にした成長戦略を意識することが非常に重要です。突発的で、非戦略的な施策をテストしても、戦略に良い影響を与えるはずがありません。合理的にリスクが大きいと判定できる施策に関しては、回避するのが賢明と言えるでしょう。
2-3.客層を変えるような集客方法は採用しない
ホットペッパーグルメ総研のデータを見ると、再来店の動機が、価格・コスパが42.1%です。つまり、極端な値引きを前提にした共同クーポンの場合は、新規の集客を増やす要因にはなりますが、次回の来店では通常価格であるためコスパが悪化するので、定着しないことを意味しています。共同クーポンの高い値引き率は赤字が前提です。
また、再来店の要因に客層(32.1%)があります。価格を安くすると、その分ターゲット層が世帯収入が低い層にシフトしますので、客層の質が悪化します。結果として、従来の顧客を逃す結果に繋がり、客数が減る可能性が高まります。
まとめ
飲食店の場合、無理な値引きで新規を獲得しようとするのは、死活問題に発展します。
これが、例えば、一度来店すれば継続利用に繋がる可能性のある美容室やサロンであれば、まあいいかもしれません。ただし、基本的にキャンペーンサイトのユーザーは、価格が安い店舗を渡り歩いているので、選択肢の多い飲食店では定着しません。
値引きをしないと動かない顧客を引き寄せることで、値引きが常態化したらいい方向には確実に進むわけがないです。また、コスパの悪い集客方法は、新しい施策を実行しづらくなる環境の悪化につながるため注意が必要です。
飲食店の集客の目標は固定客の数を増やすことですので、それに効果が発生するための施策を行いましょう。
最終更新日 : 2024年7月8日