立地の悪い飲食店はどのように集客をするべきなのか?

商圏の質と視認性の良さは、飲食店の集客に大きな影響があります。そのため、テナント料が安い立地の悪い店舗に出店をしてしまい、集客ができないことに頭を抱えてしまっている飲食店のオーナーはとても多いです。
通行人の少なさや商圏内の客層がマッチしない飲食店は、長くは経営ができていない傾向があります。しかし、その中でも、立地の悪さを逆手にとって集客に成功している飲食店も存在します。
立地の悪い飲食店の場合は、どのように顧客を獲得すれば良いのでしょうか?
飲食店の立地の影響とは?
商圏性のある業種である飲食業では、立地の選択は顧客を選択することでもあります。
飲食店を選択する基準に「理由なし」が4割程度あります。これは、ちょうど「食べたい」「飲みたい」タイミングにたまたま看板が目に入ったことで入店に至っているケースです。つまり、理由がない集客は、人通りや入店のしやすさでほぼ決定します。そのため、利用者の多い駅に近い路面店ほど集客に有利になります。
また、顧客の質にも少なからず立地は影響します。
例えば、平均年収が高いビジネス街と低いビジネス街では、集客が変わらなくても顧客単価に大きな違いがあります。また、住宅街ではその地域を構成する主な家族構造によって飲食店の立ち位置が変わってきます。単身者が多い地域では、おひとり様で入店しやすい店舗が流行ります。ファミリー層が多い地域では、テーブル席が多い店舗が求められます。
これはUber eatsなどのデリバリーサービスにも影響があります。配達ができる地域に限りがあるため、ゴーストレストランにするにしても、商圏調査は必ず行うべきでしょう。
立地が悪いとわかっていても出店してしまう原因とは?
いわゆる立地の悪さとは以下のようなことをいいます。
- 商圏に市場が存在しない。
- 表の通りから目立たない。
- 地下や空中店舗である。
- 駅から非常に遠い。
- 商圏の平均世帯収入が低く、激安系のスーパーが繁盛している立地。
- 道路に対して駐車場が非常に入りづらい。
これらの立地に飲食店を開業してしまう理由は、出店費用と家賃を節約しようとするからです。
飲食店の開業希望者は、出店費用を抑えるために、居抜きで店舗を探します。良質な商圏にある良質な立地では、ビジネスが失敗する可能性が低いです。ましてや、そのような立地で手軽な家賃の場所はありません。そうなると、居抜き物件は必然的に立地が悪いことが多くなります。
そして、家賃は、必要な月商の目安ともなります。家賃の10倍の月商が店舗でしっかり利益を出すのには必要です。そのため、できる限り坪単価の安いテナントを探そうとします。
重要なのは、お店を作ることではなく、来店する顧客が十分にいる商圏に店舗を構えることです。
すでに開業をした店舗のオーナーが口にするのは、「呼び込みのアルバイトを入り口に立たせる必要があるのであれば、その分の金額は家賃が高いところを選んだ方がよかった」ということです。
立地が悪くても集客できる飲食店の特徴とは?
出店してしまってから、立地の悪さが集客ができない理由にし続けるようであれば、そのような立地であることを調べなかったのが悪いことになります。しかし、実際は、山の上であろうと、都市部から隔離されている立地だろうと集客ができている飲食店も存在します。
- 品質で勝負ができるA級グルメ
- 古民家の蕎麦屋のような雰囲気を味わう目的の飲食店
- 食べログ百名店のような人気のラーメン屋
立地の悪さを補える飲食店は、それ以上に、提供している料理やロケーションで勝負ができ、話題性を提供している店舗です。
メニューの品質で勝負するA級グルメ

例えば、テレビでも紹介されたB級グルメならぬA級グルメで町おこし。これは邑南町での話題です。この町は、島根県にある人口1万人弱の小さな町です。
この地域は、豊富な地元食材を活用して、一級品を提供する里山イタリアンAjikuraをはじめとする飲食店が多いそうです。ここをお目当てに、遠方からドライブで訪れる人も多いそうです。また、山形県にも数年前に話題になったイタリアンがあります。地産地消をうまく活用してメディアでブランディングに成功し、一時期は観光バスで駐車場がいっぱいになるくらいの繁盛ぶりでした。
これらの飲食店は、立地が悪いにも関わらず、普段食べることができない料理を食べることができる点で、集客ができる店と呼べます。
空間を売りにする店舗
蕎麦屋を出店する時は、立地よりも空間を重視する戦略があります。
古民家を選択するメリットは、蕎麦を食べる雰囲気作りによる単価のアップ、広い客席の確保、駐車場の確保がしやすいなどがあります。また、美味しい蕎麦は車で食べに行くことも定着している地域も多く、ドライブコース上の立地であれば、集客ができます。
百名店などに評価されている店舗
食べログの百名店に入るような店舗は、実はそこまで立地が良くない店舗も多いです。
都市部から離れた住宅街や駅から遠い店舗も存在します。これらの店舗は、研究熱心な店舗であることが認知されており、期待以上の一杯を提供しているため、ファンが多いです。
立地が悪い飲食店の集客方法は?
立地が悪いということは、偶然その前を通りかかってお店に入ってみたなどのお客様は期待できません。そのため、路面の人通りに頼らないマーケティングを積極的に実施する必要性があります。
具体的には、以下の2つの対策が必要です。
- 最寄の路面の人通りに頼らず、近隣の人々を集客する。
- 商圏外の人からも集客する。
この場合、普通の店舗では集客することが難しく、特徴的な名物やそこでしか味わえないアルコールを用意するなどして魅力を強化する必要性があります。
1.最寄の路面の人通りに頼らず、近隣の人々を集客する。
看板と外装のみでは、その路面を通る人々しか集客はできません。そこで、商圏全般にリーチするマーケティング手法で路面以外に認知度を拡大します。
有効な手段はどこからでも情報にリーチできるWebマーケティングですが、直接認知度を高めるポスティング広告も効果的です。比較的近隣の人々を対象客に絞り込むことで、高い品質のサービスやメニューはそこまで求められません。
MEO
MEOとは、Googleマップ検索最適化のことです。日本で一番使われているマップアプリであるGoogleマップでのビジネスリスティングの平均順位を向上することで集客につなげる方法です。
グルメサイトなどが検索から除外されていることから露出しやすい露出しやすいメリットがあります。店舗の魅力を可能な限り伝えるため、営業時間や定休日などの基本的な情報はもちろんのこと、店内の画像やメニューを写真付きで掲載することがとても重要です。

SNS広告
Twitter以外のSNS広告は、商圏を市町村レベルまでに絞り込むことができます。SNS広告は、最悪Webサイトは必要なく、投稿による画像で訴求することが可能です。
複数の画像で訴求することができ精度も高いFacebookや若年者層や女性を中心に人気のあるInstagramはFacebook広告で網羅することが可能です。
グルメサイト
グルメサイトは、近日中に飲食店を使いたい人が店舗を検索し、予約するために活用します。
グルメサイトの集客力は、その地域の登録者数によります。そのため、全国的に力や知名度のある媒体でもその地域の登録者が少なければ集客力を持ちません。
また、立地が悪くても集客できる店舗は、あまりグルメサイトでは集客はしない傾向にあります。露出するための一つの方法程度で押さえておくと良いでしょう。

ホームページ
ホームページは、検索ではわからなかったその店舗の魅力を伝える役割を期待して作ります。
SEOはそこまで重要ではなく、ホームページをみれば、特徴、空間、何が売りなのか、営業時間、企画などがわかるように作ることが重要です。

デリバリー
おうち時間が増えたことで、UberEatや出前館などのデリバリーアプリが急成長しました。つまり、宅配には需要があります。
アプリを使わずとも、宅配員を自分で用意できれば、高い手数料は支払う必要性がありません。この時、デリバリー用のチラシやホームページのページを作成しておきます。
2.商圏外の人から集客する。
商圏外からの集客は、商圏外での認知度に加えて、強い来店動機を付与しなければなかなか起こりません。本能に行きたいお店でなければ遠方まで出かけることはまずあり得ないと考えます。
そのため、集客手法よりも雑誌やテレビで紹介されるような名物や企画メニューによる噂作りが基盤になります。もちろん、ネタだけ用意して本体が期待に見合っていなければ顧客は定着しません。そのため、メニューの品質の向上、選定基準で重要だと言われている空間作りは工夫しなければなりません。
パブリシティ
パブリシティとは、メディアに情報を伝えることで取材してもらうための施策です。特に地方のメディアは毎日の番組や紙面を埋める必要性があり、読者や視聴者が興味のありそうな情報を求めています。
興味がありそうな商品開発を行ったら、忘れずにメディアに知らせましょう。
催事出店
いわゆるお祭りでの出店です。地元以外でも催事出店は可能な場が増えています。商圏以外の地域の人に、メニューを体験してもらい、直接認知してもらうための手段です。
ただし、催事は、商圏性や知名度によって集客力がまちまちです。どの程度の来場者がいて、どのエリアに出店できるのかは事前に確認しておいた方がいいでしょう。
通販をすれば立地の悪さは解消することができるのか?
有名店がプロデュースするコンビニの食品が増えました。お店の味にはかなわないのに、なぜ、商品開発に積極的に協力するのかと言えば、認知度を高めるきっかけになるからです。コンビニから購入できて、お店の味に興味を持ってもらえるため、人員を割かずに集客することができます。
例えば、カレー屋さんであれば、お店の味を再現できるルウ、イタリアンならば、お店の味を再現できるパスタソース。家で、手軽に食べやすい通販用のメニューを作ることが新たな客層の獲得に繋がります。
ただし、通信販売は、量を売らないと、開発や発送などの手間ばかりがかかってしまいます。そして、通販サイトを作成しただけでは売れません。結局認知度を拡大するための施策が必要になります。
また、通販サイトとレジが連携していないと、それぞれで売上と在庫を集計する必要があります。そのため、Square POSレジのように特定の通販システムと連携できるPOSレジを選択します。
Square レストランPOSレジ

Square決済と連携できる高性能なPOSレジアプリです。Square決済と連携することができ、利用料は無料から導入することができます。テーブル管理、メニュー管理、オーダーエントリーシステムといった飲食店の運用では必要な機能を網羅して利用することができます。また、キッチンディスプレイシステム(KDS)を導入することで、メニュー名、数量、トッピングなどを画面で一目で確認することができます。
また、Squareで用意されたオンラインストアなどを利用することで、物販も行えます。
まとめ
「このお店であれば、近くのあのお店で良い」と思うことはありませんか?立地が悪い飲食店ほど、駅前にあるような店舗と一緒の戦略を行っていれば、別にそこじゃなくても良いと思われてしまいます。立地の悪さは、顧客に自店に来店する目的を作ることで克服することができます。
そのため、その地域ではそこでしか楽しめないような名物メニュー・お酒・デザートを用意することは必要でしょう。その上で、サービスに工夫するのが良いでしょう。
飲食店の集客は認知が特に重要です。ただし、興味を示さない情報をいくら広告を使い広めたからといって来店動機につながらず、集客に繋がることはありません。そのため、魅力的な店舗にすることが大前提です。また、開業の時には、最低でも、身内に来てもらえるように案内を出しましょう。
