飲食店の立地がすべて?立地選びはどのようにすれば良いのか?

飲食店を開業するにあたって、立地選びは最重要です。なぜならば、店内飲食、テイクアウト、デリバリーすべてにおいてその立地周辺の商圏から逃げることができないからです。その商圏を行動圏とする人が見込み客になります。
最近は、芸能人が焼肉屋を渋谷のセンター街にオープンすることでいきなり一等地にオープンすることも話題になりました。ここでは、飲食店の立地選びで重要なポイントを解説したいと思います。
飲食店の立地選びが重要な理由とは?
まずは、立地が与える影響について紹介したいと思います。
1.1週間の客入りの特徴が商圏ごとに異なっているから。
最近はリモートワークの普及で一概には言えなくなりましたが、立地によって客入りが異なります。
例えば、ビジネス街では、昼食を外食することが多いため、平日は集客に困りません。また、ディナーでも平日と土曜日の客入りがありますが、日曜日の集客は見込めません。それは、ほとんどの事業所が日曜日を休みにしているため、人流が乏しいからです。
これに対して、住宅街では、平日は仕事でいないため、平日の集客はそこまで多くならないことがありません。ただし、気軽な家族の食事の場であるファミリーレストランや回転寿司は平日でも混み合うことがあります。そして、ビジネス街とは逆で日曜日の集客が期待できます。
街の特性を理解し、開業したい飲食店の業態で集客に有利な立地を選ぶのは基本中の基本です。
2.路面店、空中店、地下店で集客の難易度も変わるから。
これは実際にあった話題ですが、商業施設のテナントや地下店に出店した飲食店オーナーが、「やっぱり家賃が高くても路面店を選べばよかった。」と口にすることがあります。
これは、路面店は、集客源である道路からの視認性が高く、一階部分であるため理由のない入店が多いためです。商業施設のテナントは、その商業施設の集客力に依存します。また、地下店はそもそも視認性が低く、ウェブマーケティングを頑張らないと集客が期待することができません。

3.人通りの少ない立地では路面店のメリットを十分に活かせない可能性があるから。
例えば、人通りのない路地裏になると、路面店の自然流入が少なくなります。人通りの多い路面から開業予定の店舗までの経路を調査します。重要な箇所には看板を設置できるのかも事前に把握しておくべき項目の一つです。
4.世帯年収が低い街ではこだわりの強い飲食店は生存がしづらいから。
街の特徴は、出店して生き残っている店舗から読み取れます。例えば、激安スーパーや住居の一階を改造し老夫婦が出している食堂ばかりの立地では、世帯年収がそこまで高くないことは予想が付きます。そのため、こだわりの強いお店は生存がしづらいことが想定されます。
飲食店で立地を選択する時に気をつけた方が良いこととは?
家賃・広さは適正なのか?
家賃は、飲食店では目標月商の基準に使われます。家賃の約10倍もしくは坪あたりの月売上を15万円で計算して面積を掛けます。家賃が高い一等地で広いテナントを借りることは、それだけ目標月商を上げなければならないことを意味しており、経営リスクも高くなります。
また、テーブル席や半個室などの席数が増えれば増える分だけ、スタッフの人数も必要になります。人員が集まればいいですが、今現在はどこでも人手不足の傾向であり、特に飲食店は長く続いているコロナ禍の時間短縮営業でシフトが思ったように入れず、求人が不人気になっていることも頭に入れておきたいところです。

人件費の相場は適正なのか?
繁華街ほど人件費が高騰しています。面積が広くなれば、その分だけスタッフの人数も必要です。
飲食店では、FLコストやFLRコストという概念があります。これは、Food=原材料費とLabor=人件費、Rent=家賃の合計の費用のことです。FLコストは、一般的な飲食店では、売上の60%以下に抑えることが基本となっています。これに対して、FLRコストは、売上の70%未満に抑えることが基本としています。
つまり、人件費の割合が高くなると、原材料費もしくは家賃をその分だけ下げなければならないわけです。原材料費は飲食店としての競争力に影響しますので、簡単には下げることはできません。そのため、目標月商をさらに上げたり、ITを導入して必要なスタッフ人数を減らすことが求められます。
飲食店を開業する時はどのような立地を選択するのか?
現在おすすめなのは、スタッフの人数が少人数で済むようなカウンター席の割合が多い店舗です。面前で料理の提供をすることが可能であることで、人件費を抑えることができます。また、坪面積も最小限にすることでリスクの少ない営業を実施することができます。人数の不足は家族のヘルプで補えます。
立地は、アクセスの良く、平均収入の良い立地ほど良いですが、その分、やはり家賃が高いです。街の特徴を吟味しつつ、どの業態でやりたいのかを明確にして、立地を選択しましょう。夜の店内飲食が中心であれば、繁華街やビジネス街が良いでしょう。また、ウーバーイーツなどのデリバリーが中心であれば、家族世帯が中心の住宅地が良いでしょう。これは、単身者が多い地域の場合、注文単価が上がらない、そもそも適当なもので良い傾向があるのでファーストフードに人気が集中するからです。
居抜き物件に魅力を感じますが、以前の店舗が閉店に至った経緯は、 ある程度は知っておきたいところではあります。例えば、接客が悪かった、味が悪かったなどの修正ができる悪評であれば問題はありません。しかし、客層が悪い、顧客単価がどうしても上がらなかったなどの問題であれば、その物件に入居するのはリスクになるからです。
日中人がほとんどいない住宅街に出店してしまうと、1年のうち71%が集客困難となってしまいますので、キッチンカーなどを用意して催事出店で売上を作るしかなくなります。