オウンドメディアマーケティングとは?目的・効果・相場を解説

オウンドメディアは、ウェブマーケティングの基本となる媒体です。自社のコントロールが効く媒体であり、最もイメージしやすいのが、企業ブログですが、ウェブサイト、ランディングページ、ECサイト、メールマガジン、LINE公式アカウントなども含まれています。これらを育成することで、オンラインプレゼンス(オンライン上の存在感)が高まり、集客、ブランディング、売上、採用に良い影響をもたらすことができます。
- オウンドメディアマーケティングは、自社サイトで有益情報発信し集客・売上アップにつなげる手法。
- 主な目的は「集客」「ブランディング」「売上向上」「採用活動」。
- 成功には明確な目標設定やターゲット設定、顧客行動設計、継続的改善が重要。
- 費用相場は20万〜500万円程度で規模によって異なる。自分で行えばコストを節約することも可能
- 長期的視点で取り組むことで広告費削減と安定した集客基盤構築につながる。
オウンドメディアマーケティングとは?
オウンドメディアマーケティングとは、自社が運営するウェブサイトやブログなどのメディアを活用して、顧客に役立つ情報を発信し、集客や売上アップにつなげるマーケティング手法です。
従来の広告と違い、直接的な宣伝ではなく、読者にとって価値ある情報を提供することで、自然な形で自社への興味や信頼を高めます。長期的に見ると、広告費を抑えつつ安定した集客が可能になるため、多くの企業が導入しています。
代表的なマーケティングは、BtoB向けのインバウンドマーケティングです。SEOなどで特定のニーズを持った見込み客をブログに集客し、ホワイトペーパーのダウンロードを促すことでリードを獲得します。その後、メール配信やウェビナーを行い、興味関心を高めて、商談に結びつけます。
オウンドメディアマーケティングの目的とは?
オウンドメディアマーケティングは主に次の4つの目的で活用されています。
- 集客
- ブランディング
- 売上向上
- リクルーティング(採用活動)
集客
オウンドメディアを通じて自社の商品やサービスに関連する情報を発信すると、検索エンジンから自然な流入が増えます。
広告費をかけずとも自社サイトへの訪問者が増えるため、リスティング広告(検索連動型広告)と合わせると効率性の高い集客が実現できます。
最適なコンテンツをオウンドメディアに組み込むことで、検索エンジンからの流入を最適化する施策を別途「コンテンツSEO」と呼ぶこともあります。
ブランディング
オウンドメディアで専門性の高い情報や独自の視点を提供すると、自社のブランドイメージが高まります。「この会社は信頼できる」「この分野では専門家だ」と認識されれば、顧客との長期的な関係構築につながります。競争が激しい市場でも、自社の存在感を高めることができます。
売上向上
顧客が抱える課題や悩みを解決するコンテンツを提供することで、自社の商品・サービスへの関心が自然と高まり、売上向上につながります。直接的な売り込みではなく、「役立つ情報」を通じて購買意欲を高めるため、顧客も抵抗感なく購入へ進みやすくなります。
メールマガジンやLINE公式アカウントで、既存顧客向けに情報を発信することで、全体の売上を押し上げることができます。
リクルーティング(採用活動)
オウンドメディアで自社の理念や働き方などを紹介すると、自社に合った人材からの応募が増えます。求職者は事前に企業文化や仕事内容について理解できるため、入社後のミスマッチも減少します。特に人材獲得競争が激しい現在では、有効な採用手法として注目されています。
オウンドメディアマーケティングを実行する手順
ここからは実際にオウンドメディアマーケティングを始めるための具体的な手順をご紹介します。
まず最初に、「何のためにオウンドメディアを運営するか」を明確化しましょう。「問い合わせ数を月〇件増やす」「新規顧客獲得コストを〇%削減する」など、数値化した具体的な目標設定が重要です。これによってコンテンツ作成や運営方針が明確になり、効果的な集客につながります。
次に「誰に向けて情報発信するか」を決めましょう。「30代男性経営者」「中小企業の営業担当者」と狙う標的市場を決定したら、その中の代表的な人物像を設定します。これをペルソナと呼びます。
ペルソナを設定することで、チーム内で具体的に誰をターゲットにするのかイメージを共通しやすくなりますし、キーワードの選定にも大きな影響を与えます。
顧客が商品・サービス購入までどんな流れで行動するか(認知→興味→検討→購入)という流れを整理しましょう。それぞれの段階で最も効率的に消費行動を促すことができるコンテンツの選定やコンテンツの配信方法を選定していきます。
オウンドメディアマーケティングのフレームにこだわる必要性はなく、例えば、認知はリスティング広告で行い、オウンドメディアのコンテンツに誘導し、リード獲得に繋げる場合もあります。
リード獲得を達成するためのランディングページを用意します。
BtoBマーケティングであればホワイトペーパーのダウンロードができるフォームを備えたページを用意します。この時、顧客管理機能やステップメールの機能を完備しているマーケティングオートメーションツールと一緒に使うと、相乗効果があります。
BtoCマーケティングであればECサイトを用意します。これにより、来店がなくともすぐに商品の購入を促すことができます。
ターゲット層とカスタマージャーニー設計に基づいて、「どんな内容の記事を書くか」「どんなキーワードでSEO対策するか」を決定します。
キーワードの収集は、ラッコキーワードなどのキーワード発見ツールを使い、SErankingなどで、検索ボリューム(検索回数)や上位表示の難易度などの情報を収集します。その後、マインドマップ作成ツールを使い、オウンドメディア全体の設計を行います。
記事の詳細などは、検索結果などから「検索ユーザーが必要とするコンテンツ」を想起し、論理的な記事を設計します。
また、記事の中には目立つボタンやバーなどのCTA(ランディングページに誘導する部位)を用意することで、成果を高めることができます。
アクセス数・滞在時間・問い合わせ数などデータ分析し、その結果から改善点を見つけ出します。PCDAサイクルを回して改善することが重要とされていますが、実際は時間がかかるPDCAサイクルでは、オウンドメディアマーケティングを取り巻く環境の変化にはついていけません。気になるデータがあれば、すぐに検証して、改善策を実行します。
オウンドメディアマーケティングの相場
2025年現在、中小企業がオウンドメディアマーケティングを始める際のおおよその相場は以下の通りになります。
オウンドメディアマーケティングを実施する初期費用(準備費用)
オウンドメディアをマーケティングに組み込む際のブログ作成費用です。BtoBマーケティングではマーケティングオートメーションツールを使うため、初期費用も別途かかります。オウンドメディアの構築費は、WordPressやSWELLなどの有料テーマを使うことで節約することが可能です。
- 初期構築費:20万〜80万円程度(簡易CMS利用の場合)
- 本格的デザインの場合:35万〜500万円程度
- BtoBマーケティングを実施する場合:無料〜数百万円(マーケティングオートメーションツール導入費)
コストが高額なため、中小企業の場合は、小規模事業者持続化補助金などを併せて導入することをおすすめします。
オウンドメディアマーケティングを実施する運用費用
オウンドメディアは継続的に運用することで効果を最大化することができます。最もかかる運用費は、コンテンツ制作費ですが、生成AI(AIライティングツール)などを導入したり、自社でコンテンツを制作することでコストを節約することもできます。
- 月額運用費:1万5,000円〜5万円程度(サーバー維持管理費等)
- コンテンツ制作費:1記事あたり2万〜10万円程度。100記事用意したら、200万円〜1000万円
- BtoBマーケティングを実施する場合:月額15,000円〜(マーケティングオートメーションツール月額費)
- BtoCマーケティングを実施する場合:5,000円〜(LINE公式アカウント)