リピーター集客のポイントは?リピーター創出の着目点

売上が下がっていることに悩んだ際に、「新規の顧客が足りない。」といった判断を行い、新規の顧客の集客を目指しだします。
もちろん、新規の顧客はとても重要です。ですが、ヒアリングをしてみると、リピーターへの対策ができていなかったり、十分ではない場合もあります。
リピーターの集客の重要性と着目点について解説をしたいと思います。
リピーターの重要性は、パレートの法則に依存する。
パレートの法則とは、上位2割の顧客が全体の売上の8割を担っているという法則です。もちろん、これにはビジネスモデルなどで差がありますが、リピーターが安定した経営を支えていることを説明した法則と言えます。
これは、逆を言えば、新規の顧客優遇の戦略が、全体の売上の2割にしか影響を与えないということや売上アップの効率がよくないことを意味します。
再三になりますが、これは新規の顧客の集客を行うことが、必要ないと言っていることではありません。リピーターは、趣味の変化、飽き、環境の変化などの理由で減少します。また、リピーターに焦点を合わせると、リピーターの年齢に合わせて自社のサービスや商品の対象年齢が高くなっていきます。そして、リピーターの高齢化が起こり、一気に顧客が離脱し、大きく売上を下げる結果になりやすくなる恐れもあります。(この現象で現在壊滅的な打撃を受けている店舗も多い。)
それを防ぐためにも、新規の顧客にも目をやることが重要になります。
リピーターは利益率が高いし、集客しやすい。
リピーターを対象にした集客が優位なのは、利益率の観点からも言えます。
集客に関わるコストは、新規顧客よりも圧倒的にリピーターが低いと言われています。10年も前のお話になってしまいますが、新規の顧客を集客するコスト:既存の顧客を集客するコスト=4:1と言われていました。つまり、リピーターを対象にした集客は、新規の顧客を対象にした集客の4分の1だということです。
つまり、リピーターの方を集客した方が利益率が高くなりますし、集客もしやすいことになります。
ちなみに、現在は様々なインターネットによる集客方法があります。その関係で、費用対効果の高いコミュニケーション及び広告手段が確立していますので、コストの差はさらに大きくなっています。
リピーターは口コミの源泉である。
また、「口コミで集客できれば。」と思う社長も少なくないでしょう。
口コミというのは、その商品を愛用していて満足した人が友人に紹介をする現象です。つまり、リピーターの満足度(CS)がこの口コミの発生に大きく関わって来ます。(参考:ビジネスに必須な消費者行動モデルとは?)
例えば、グーグルで4の評価を得ているラーメンが必ずしも美味しいラーメンなのか?と言われれば、そうではないこともあります。これは、地元で愛される味を提供し、ファンが多く存在しているため、その評価が反映されたということになります。口コミは必ずしも客観的な評価になるというわけではありません。
気に入ったお店に友人を連れて行く行動も、ある種の口コミです。誰にも紹介したくないというお店も、まああります。この場合は、友人連れで得をする仕組みなどを構築してあげると良いでしょう。
来店頻度を高めることで売上が上がる。
リピーターといっても、実は定義が各個人で異なります。例えば、月に2回きてもらえれば、リピーターだという人もいますし、3ヶ月に1回きてもらえれば、リピーターだという人もいます。
売上は、客数×顧客単価×来店頻度で表すことができます。例えば、来店頻度が4だったものが、6になれば、売上は、単純計算で1.5倍になります。
来店頻度を高めるコントロールも安定した経営では重要になります。
リピーターを増やすためには?
「LINE@やスマホアプリの導入を行います。」だけでは、明らかに薄いわけです。考え方を変えてみましょう。「どうすれば、愛着を持って長く付き合ってもらえるでしょうか?」と変換して考えましょう。
1.商品力を高める。
よく、マーケティングの話で、「マクドナルドのような美味しくない味でもお客様がたくさん入る。それが、マーケティングだ。」ということを耳にします。これは、マクドナルドにものすごく失礼なお話ですが、よく言われる情報伝達手法の確立だけでは、顧客を呼び寄せることができません。
マクドナルドが素材にこだわることもなく、ハンドメイドのハンバーガーショップでないのは、手早くお安くハンバーガーを食べたいと思っている人を対象にしているからです。(最近は、だんだんちょい贅沢をしたい層に対象をあわせているように見えます。)
ランニングをしている人がたくさんいる、地域的にも薄味を好む場所で、濃い味のパスタ店を出したらどうなるでしょうか?たぶん、最初は物珍しさでたくさんの来店が見られます。しかし、「あのお店はしょっぱい。」「コストコの瓶詰めの方がまだマシ。」などの評判が広がり、顧客を逃すことになるでしょう。
まず、万人の満足度を高める商品は存在しないことを前提にして、「こういった人々には喜ばれる、喜んでもらえる」商品開発やサービスを心がけましょう。
参考:集客を成功に導くキーワードはコンセプト!空想にしないコンセプトの作り方と施策を構築するロジック
2.3回来店の法則を活用する。
特定の期間内に3回来店をすることで、次回の来店は特別に仕掛けなくても来店してくれるようになるという法則です。
これに似ているのが、10回固定の法則があります。10回固定の法則を利用しているのが、10回来店で通常メニューが1食分無料になるポイントカードです。これには、熱心なファンの来店を促せるメリットがある反面、ゴールが見えづらいことで、途中でポイントカードを捨ててしまうなどのデメリットもあります。
そこで、3回来店でオファーを付与するように、短いスパンで特典をつけることで、離脱しづらい顧客、つまりリピーターを作り上げることができます。
3.トークを見直す。
接客を見直すだけで、反響率が変わるというのは、リピーター創出に限ったところの話ではないことはみなさんも理解していることだと思います。
そして、この接客のタイミングがお客様の知らない情報を教えてあげるチャンスでもあり、その情報次第で、購買意欲がだいぶ変わってしまいます。
例えば、安価でも良いと思って空気清浄機を購入しようと思った人。この空気清浄機を購入する場で、「どのような用途で?」「どのくらいのご利用を考えていますか?」という問いに対しての答えを導けば、アップセルに繋がる可能性があります。子供が生まれたから、長く使いたいと思っていれば、加湿機能やフィルターの耐用年数、空気清浄する際の除菌の仕方が良いものでなければならないからです。
この状態と同じで、「定期的なケアでこれだけ変わる。」「メンテナンスなしで、使い続けると実はこんなこともあります。」などの情報を教えてあげた方が親切ですし、再来店のきっかけ作りに貢献します。
きっかけ作りを行う。
きっかけ作りは、リピーターの来店周期をコントロールする上で、非常に重要な施策です。上述している通り、リピーターの来店頻度が年間4回から年間6回に変わっただけで、単純計算で1.5倍の売上になります。
1.迅速なコミュニケーション手段を確立する。
インターネットを活用したコミュニケーション手段を顧客リスト向けに構築することで、チラシなどの準備を必要とせずに情報を伝えることができます。これによって、イベントごとにかかる認知のための広告費を削減することができますし、準備に時間を要さずにイベント開催ができますので、イベントの開催回数を増加させることができます。
この手段として、SNSがもてはやされていますが、メルマガやLINE@などのプッシュ型の広告の方が、チェックされる確率が高いため、あくまで主軸ではないことを前提に考えた方がよいです。SNSは、表示アルゴリズムのアップデートや他サービスの環境の変化などで、リーチ(情報の到達)率が大きく変化することがしょっちゅうだからです。
2.回数券や予約制などの施策をとる。
回数券は、古典的な手法ではありますが、購入した回数分の来店を作ることができます。また、先行して売上を作ることができます。3回来店、5回来店、10回来店の回数券を作ることで、上中下のフレーミングを作ることができます。
また、カルテ制を導入してしまい、治療計画に沿った形で、予約をしてもらうことも手です。ただし、完全予約制を導入する場合は、地域性も考えましょう。高齢者が多い地域では、馴染まない可能性が高いです。
3.期間限定メニューなどで来店動機を作る。
購入の行動は、きっかけがなければ起こりづらいという見方ができます。そのため、よく大手のカフェやファミレスが行っているのは、期間限定メニューを題材的に宣伝することです。
迅速なコミュニケーション手段で、今が旬で美味しい限定のメニューを紹介することで、来店のきっかけを既存顧客向けに情報発信することができます。これによって、来店頻度が高まり、売上アップに貢献します。また、リピーター発信の情報から新規の顧客を呼び寄せることが期待できます。
4.話題のトリガーになるメニューを作る。
再来店を引き出す方法としては、「体験したい」気持ちを引き出す方法もあります。例えば、話題性豊かなことが経験できれば、友人間の会話の話題になります。そのため、体験をしておきたいと考えるのが人のさがです。
原材料をそのまま使ったビジュアル的に凄みのあるメニュー、優れた食味のブランド素材を使ったメニュー、デカ盛りメニュー、新食感を追求したメニューなどコンセプトとも兼ね合いがありますが、さまざまな考え方があると思います。
よく話題のトリガーを作ることを嫌う人もいますが、話題にもならない状態が存在している状態と言えるのでしょうか?答えは、ノーです。この状態は、間違いなく恐ろしい状態の一つに陥っていることになっています。
5.通販の決済システムを導入する。
「通販?え」と思う人も多いと思いますが、アメリカのブラックフライデーでは、混雑を嫌う人の集客や従業員が休みを取れないなどの理由から通販に力を入れる企業が多いそうです。
引っ越しなどを理由に来店できなくなった顧客を逃がさないためには、通販の仕組みを導入することが妥当です。
三井のららぽーとも、出店店舗の商品を通販化した仕組みの&モールをリリースしています。また、専門店のクライアント企業もだいぶ前から通販の仕組みを導入しています。
リピーター集客の型
1.月額課金制
化粧品やサプリメントなどの通販では、当たり前のように行われています。また、教室やジムでも同様です。
最初に商品のサンプル版もしくは効果が実感できる最低商品数をトライアルパッケージにしてしまい、顧客リストを構築します。その後、定期通販にて、その商品を購入できることをDMやアウトバウンド(営業電話)で伝え、購入してもらう方式です。購入頻度を調整できる上、最低でもどのくらいリピートするのかも予測がつきやすいため、LTVを算出しやすいのがメリットです。
2.カルテ型
医者のようにカルテを作り、顧客と目的を共有することで、その場で次回の来店を決めてしまう型です。
医療系では当然のように行われており、整体院もこれを導入しているところをよくみるようになりました。
3.シリーズ型
週刊スターウォーズR2-D2のような付録がメインで、その付録を完成させるためには、最終巻まで購入しなければならないという型です。
例えば、通信教育の講座を分割してしまい、徐々に技能を身に付けたい人のニーズをすくっていくという発想も行うことができます。
まとめ
リピーター創出は、命題の一つと言っても良いと思います。顧客の定着率が上がれば、口コミによる新規の集客数も増加しますし、売上アップにも繋がります。
リピーターのお話となると情報発信の方法ばかりでは、「魅力も中途半端なくせに、うっぜえな。」と思われることもあるでしょう。なぜなら、業者の立場の私たちも他社の消費者であり、このようなことを考えているからです。
「こう思わない企業とそう思ってしまう企業の違いはどこにあるのか?」を追求して考えてみましょう。もっと簡単に言ってしまうと、「好きな企業はなぜ好きなのか?」を考えてみましょう。