プロスペクト理論とは?マーケティングへの活用例と用語解説
購買の意思決定には、期待値や損失が発生する確率が影響しています。この理論をプロスペクト理論と呼びます。
このコンテンツでは以下のことが学習できます。
- プロスペクト理論とは?
- プロスペクト理論の具体例
- プロスペクト理論をマーケティングに反映した具体例
プロスペクト理論とは?
プロスペクト理論とは、不確実な状況での人間の意思決定プロセスを理解するためのモデルです。この理論は、ある選択肢から得られる利益や損失が確率で示された状況で、どのように人々が選択を行うかを説明しています。行動経済学の一部であるプロスペクト理論は、私たちが利益や損失に対する意思決定のしくみを研究する際に役立ちます。
意思決定のプロセスは、以下のステップに分けられます。
まず、選択肢から得られる損得を評価します。この際、損失に対して利得よりも感度が高いため、同じ額の損失が利得よりも大きな影響を与えます。
次に、損得が生じる確率を加重します。この際、低確率の事象は過大評価され、高確率の事象は過小評価される傾向があります。
最後に、加重された確率と損得の評価を組み合わせて、各選択肢の期待値を計算します。最も期待値が高い選択肢が、最終的な意思決定となります。
くじを用いたプロスペクト理論の解説
A案: 10%の確率で10万円が当たるくじ
B案: 1%の確率で100万円が当たるくじ
プロスペクト理論に基づいて、以下の手順で各選択肢の評価を行います。
- 損得の評価: まず、選択肢から得られる利益を評価します。A案では10万円、B案では100万円です。
- 確率の加重: 次に、損得が生じる確率を加重します。低確率の事象は過大評価され、高確率の事象は過小評価される傾向があります。この例では、A案の10%の確率とB案の1%の確率を加重します。
- 期待値の計算: 最後に、加重された確率と損得の評価を組み合わせて、各選択肢の期待値を計算します。
A案の期待値: 10万円 × 10%の加重確率 = 10,000円 × 加重確率
B案の期待値: 100万円 × 1%の加重確率 = 10,000円 × 加重確率
この例では、A案とB案の期待値がどちらも同じ10,000円ですが、加重確率によって期待値が変化する可能性があります。プロスペクト理論によれば、低確率の事象であるB案は過大評価される傾向があります。
プロスペクト理論によれば、人々は損失を避けることに過剰に重きを置き、低確率の事象に過度に反応する傾向があります。これが、ギャンブルや投資などの意思決定において、しばしば非合理的な選択を行う原因となります。
プロスペクト理論をマーケティングに活用した具体例とは?
プロスペクト理論は、人の意思決定をモデル化したもので、ギャンブルや投資に応用されています。近年では、特にマーケティング領域にさまざまな方法で利用されています。
たとえば、プロスペクト理論に基づいて、損失回避の心理を利用したプロモーションや価格設定が行われています。顧客にとっての損失感を最小限に抑えるような価格や特典を設定することで、購買意欲を高める効果が期待できます。
① 限定オファーや期間限定セール
消費者は、特定の期間内にのみ利用できる割引や特典を逃したくないという損失回避の心理から、購入意欲を高めます。これにより、消費者は特定の期間内に購入することを選択し、売上を伸ばすことができます。
② 返金保証
商品やサービスに返金保証をつけることで、消費者は購入に伴うリスクや損失を最小限に抑えることができると感じます。これにより、消費者は安心して購入を決断することができ、企業は売上を向上させることができます。
③ バンドル販売
複数の商品やサービスを一つのパッケージとして販売することで、消費者はそれぞれの商品を個別に購入するよりも割引価格で手に入れることができると感じます。これにより、消費者は損失を避けるためにバンドル販売を選択し、企業は売上を向上させることができます。
まとめ
プロスペクト理論は、不確実性下における人間の意思決定をモデル化した理論であり、利益や損失が一定の確率で生じる状況下で、人がどのような選択をするかを解明しています。近年では、特にマーケティング分野での応用が注目されており、顧客の損失が発生するかもしれないという心理にはたらく保証を用意することで、販売数を伸ばすことができます。
最終更新日 : 2024年4月20日