PDCAサイクルとは?マーケティングを高速で実施するためのPDCAとの付き合い方とは?

PDCA

PDCA

PDCAサイクルとは品質向上の日本では最も知名度の高いフレームワークです。問題解決や目標達成のために、それを解決・実現するための計画・仮説立案(Plan)を行い、実行(Do)します。目標達成度を計測するための指標を用いて、検証(Check)を行い、目標達成に必要な改善点を洗い出し、改善(Action)を行います。このプロセスを繰り返すのが、PDCAサイクルです。

PDCAは、実は日本生まれのフレームワークで、海外ではこの概念はありません。日本式のPDCAサイクルは、一周の遅さから施策を実施する上では、現環境の経済の成長の速さに合わないとされております。

しかしながら、PDCAサイクル自体は、優れた品質向上のビジネスフレームワークに違いはありませんし、日本人の考え方にはマッチングしているため、自然に導入できるメリットが挙げられます。

ここで取り上げるPDCAサイクルのポイントを掴めば、施策の失敗を最小限に抑え、成功する習慣を身に付けることが期待できます。

目次

PDCAサイクルとは?

PDCA

マーケティングにおいてのPDCAサイクルは至ってシンプルで、それぞれの施策の最適化を行うプロセスです。

最適化とは、設定した目標を達成する十分満足な施策にするのか、それ以上改善のしようがないほど改善を繰り返した施策にすることで、マーケティングの用語によく含まれます。例えば、検索エンジン最適化(SEO)、ランディングページ最適化(LPO)、エントリーフォーム最適化(EFO)に含まれるOptimizationはこの意味で用いられています。

PDCAとは、計画(仮説)から始まり、実行、評価、改善の順番に実施すると品質が向上することを表しています。

例えば、問題があり、その解決が求められた場合、専門性の高い人に相談したり、勉強をすることで仮説を立てます。その仮説を実行し、実際に得られた成果を検証します。その結果が、想定していた解決に至っていない場合は、なぜそうなって、何が足りなかったのかを洗い出します。このプロセスがPDCAになります。

PDCAサイクルの例(SEOの場合)

PDCAサイクルの具体例として、SEOの施策を取り上げます。なお、他の具体例は、PDCAサイクルの具体例/勉強でも仕事でも活用可能なPDCAサイクルの考え方で紹介しております。

新規顧客の獲得を考えた時に、長期的に見れば、Google広告をはじめとする広告に100%依存するのはリスクがあります。何故ならば、インターネット広告のほとんどは入札制であり、時期によって顧客を獲得する単価が大きく異なる場合があるからです。長期的に見た場合は、自然流入を増やし、そこからも顧客化ができるようになった方が、リスクは分散されます。

そのため、検索エンジンからも見込み客を獲得したいと目標を立てます。大きく見れば、ウェブサイト全体の流入数や購入数やお問い合わせの増加に目標値を設定しますが、ここではPDCAの説明を簡単にするため、特定のキーワードで上位表示することを目標にします。

計画:最初に、特定のキーワードで上位表示すれば顧客を獲得できると仮説を立てます。この時に、仮説は思い込みである可能性を除外する必要がありますので、できるだけ根拠を求めます。例えば、SE Rankingを利用することで、そのキーワードの過去の検索ボリュームを閲覧することができますし、順位ごとの流入数の予測を立てることができます。また、そのキーワードで過去にリスティング広告を出稿しているのであれば、そのキーワードで成果を上げることができる根拠があります。そして、ここでの計画は、「特定のキーワードで上位に自社のコンテンツを表示させる」になります。

実行:そして、上位表示させるためのコンテンツを制作します。検索エンジンにおいて上位表示させるということは、役に立つコンテンツを配信することと定義されていますが、要は、現在上位表示されているコンテンツよりもユーザーに求められている情報を表示していることです。現在上位表示されているコンテンツを分析し、そのキーワードで検索する人々のユーザー心理を予測し、より応答性(※1)の高いコンテンツを作成します。

評価:ここでの評価基準は、当然順位です。その上で、上位表示された後に、成約数に繋がる動きを調べないといけません。順位チェックツールで計測された順位やランディングページへの送客数、客数の増加などが主な指標になります。

改善:目標に到達しなかった原因を指標で分析します。そして、競合ページと再度比較し、ギャップを抽出し、改善を実施します。

※1.応答性とは、簡単にいうと、質問されたことに対して答えていること。

実務で考えるとPDCAサイクルであるべきではない。

PDCAサイクルを回すことが基本とされていますが、実務では綺麗なPDCAサイクルになることの方が少ないのが事実です。

最初のPDCAの流れは、共通していますが、2回転目や3回転目の計画と実行は、前の評価と改善に同時に行われることがほとんどだからです。後述しますが、PDCAサイクルにこだわると、PDCAの1回のサイクルが終わるまでの時間が長くかかり、その間に環境が変化してしまうリスクがあります。

実際は、PDCACACAと2回転目以降は、評価と改善を繰り返し、最適化を実施していくのが普通です。

PDCAサイクルの留意点。施策が失敗してしまう直接の理由とは?

PDCAサイクルの失敗は、改善の失敗を意味します。そのため、その施策が成功するのか、失敗するのかは、PDCAサイクルの失敗で説明ができてしまいます。

PDCAサイクルの失敗には、大きく分けると2つの原因があります。一つは、途中でPDCAが途切れてしまうことです。そして、目標に対して、仮説と計画に整合性がないことです。

この他にも、PDCAの1サイクルにかかる時間が長いこと、目標が達成できないほど高すぎることも、他の施策に時間を割くことができないことに繋がることやモチベーションを保つことができないことに繋がる意味で、失敗の原因になります。

PDCAサイクルが途切れてしまう。

PDCAサイクルが途切れてしまい、求める結果が得られないパターンです。

マーケティングでは、最初からうまくいくケースの方が少なく、PDCAサイクルを回すことで、目標を達成します。

例えば、計画を立てて実行しないことは、小企業にはよくあるケースです。また、計画の段階で、目標設定が具体的にできていないとその施策の評価方法がわかりません。評価まで進まない実行ができていないからではなく、計画段階で指標が設定されていないからです。

また、評価をしても、分析からの改善策を割り出さないと、品質の改善は行われることはありません。いわゆるやりっぱなしのパターンがこれに該当します。

計画段階の破綻

当たり前ですが、計画がそもそも目的に対する整合性がなければ、PDCAサイクルを回したところで目標達成はできません。

特に、小企業の助成事業にありがちなのが、“ホームページを作れば売上が上がる”というものです。ほとんどの小企業の場合、認知度が低いことが売上が上がらない直接的な原因であり、ホームページを作成したところで認知度がそもそもないので、売上は上がりません。ホームページはあくまでその店舗のことを認知しているから閲覧されるものであり、他のプロモーションが機能していないと機能しないからです。

売上を短期で上げる場合は、ホームページではなく、ランディングページを作成し広告を出すことや、Amazonや楽天市場などのモールに出店しなければなりません。

PDCAサイクルが1サイクルにかかる時間が長すぎる。

Webマーケティングが一般的になり、情報の更新も早くなった現在の環境は、昔に比べると限りなくPDCAサイクルが回るのは短期間化しました。しかし、時代遅れの企業では、情報の共有を会議に合わせるため、計画、実行、評価、改善のPDCAのフレームワークが強制的に長期間化している場合があります。

時間が長くなれば長くなるほど、いつまで経っても目標が達成できないモチベーションが保てなくなり、環境も変化するリスクがあります。

目標達成に時間がかかりすぎる計画であること。

計画はできる限りコンパクトであることが望ましいです。目標達成に必要な時間が長くなればなるほど、チームのモチベーションを維持するのが難しくなりますし、環境の変化に順応できない体質になる可能性が高くなるからです。

できる限り、タスクは分解できる単位まで分解し、それぞれを潰す形でPDCAサイクルを回した方が、目標管理も楽になります。

PDCAサイクルの高速化が重要であるのはなぜか?

PDCAサイクルの話題になると、必ずと言っていいほど出る概念が高速化です。PDCA関連の書籍やビジネス系のYoutuberでも鬼速や爆速などのパワーワードと合わせて説明されています。

[wpap service=”with” type=”detail” id=”429540201X” title=”図解 鬼速PDCA”]

PDCAサイクルを高速化することでモチベーションの低下により失敗をなくすこともありますが、もっと大きいのは、多くの施策の実施が可能になるため、同じ時間でも達成できる目標の数に違いが出るからです。その結果、ノウハウなどの成果物も多数獲得することができ、売上やシェアにも大きな影響を与えます。

PDCAを高速化するためには、以下のポイントを踏まえます。

目標設定は短期で達成できる数値で考える。

新入社員などでは、途方もない目標設定を実施してしまいがちですが、これには経験がないからどのくらいの目標設定が適性なのかわからないという理由があります。目標設定をあまりにも高くしてしまうようにすると、どのようにその目標を達成すれば良いかわからなくなるため、最初は短期で簡単に達成できる目標値を設定し、20%くらい高くしていきます。

また、新規事業などの場合は、企業全体の売上の3割などの具体的数値が最初から存在することがほとんどですので、その目標を達成したい期間から逆算して目標値を設定していきます。

目標を達成する方法などの教育を行う。

課題や目標を与えても、その課題を達成するための方法が全くわからないのであればPDCAサイクル以前の問題です。基礎知識が全く存在しない人間に、プロレベルを求めても必ず失敗します。

社内教育や研修会などを行い、基礎知識や業界に対する研究がなければなりません。営業であれば、対象にする業界の事情やポジションの人の業務に対する知識も持っておくと、より効率的な計画や仮説の立案をできるようになるでしょう。

的を得たアドバイスを求める。

知識がないため、施策がそもそも破綻する「計画段階の破綻」は、特に人の入れ替えが激しく、社員教育にお金を使うことができない中小企業ほど多く発生します。

この場合は、専門職である人に相談し、助言を求めます。

中小企業でありがちなのは、成功している会社の社長の助言を求めることですが、会社によってスタートラインが異なっております。そして、成功する要因も異なっております。例えば、一等地の不動産の権利を持っている人が店舗で成功するのは、その土地を保有しているからです。立地の悪いエリアで営業している店舗が、その店舗の模倣をしても失敗するのは当然なことです。

情報共有が円滑になるような環境作りを行う。

情報共有の場が会議しかなければ、積極的に施策を仕掛けることは不可能です。また、PDCAサイクルを高速化するとは言っても、勝手にどんどん進めることはできませんので、強制的に足並みを揃えなければならなくなり、成長を阻害することになります。

例えば、チャットワークのような情報をリアルタイムに交換し、チーム内に共有できるツールはほとんどの企業が導入しています。また、顧客管理をソフトウェアで行っているところは、顧客の情報を検索するのに、そのソフトがダウンロードされている端末を使わなければなりません。クラウドでチーム内であれば閲覧できるようにすれば、出先でも情報共有を行うことができます。

PDCAサイクルを正確にし、高速化するための投資は惜しまない。

新卒で入社した会社では、10年近く使っているWindowsを渡されました。案の定、Excelなどで簡単な数式を計算する際もフリーズし、残業が当たり前のようでした。

基本的に施策のマネイジメントでは、時間に勝る重要なものはありません。(とは言っても、ないものはないですので、投資にも限界がありますが。)

PDCAサイクルが円滑に回るように、投資を惜しまないようにします。また、マーケティングの場合は、正確さを出すために、様々な分析ツールも活用します。例えば、オウンドメディアの対策をしているのに、キーワード分析ツールや検索順位チェックツールを使わずに対策するのは無謀というものでしょう。

PDCAサイクルのコツとは?

PDCAサイクルが回っていないことが批判される原因の一つになっていますが、計画段階に問題があることがほとんどです。実行ができない、評価をしても改善できないのは、計画が理解されていないことがそもそもな原因であるからです。

明確な目的があった時に、その目的を達成するための手法の選定、自社内で実行できるのかの判断、できなければ外注を使うなど、計画に対して達成するための経営資源が自社にあるのかを見極めましょう。

最終更新日 : 2020年2月13日

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