セブンイレブンの集客・マーケティングとは?自店舗でも模倣したいポイントを解説
セブンイレブンは、日本のトップシェアを誇るコンビニエンスストアのブランドであり、2023年1月の段階では、総店舗数は、21,323店舗(セブンイレブンジャパン)あります。これは、2位のファミリーマートの16,525店舗に差を付けています。
また、セブンイレブンでは、1日に約2,000万人(概算)が買い物をしています。これは、1日に日本人の6人に1人は、セブンイレブンを訪れている計算です。
セブンイレブンは、マーケティングに優れた点が多いことでも知られています。今回は、セブンイレブンのマーケティング戦略について分析したいと思います。
セブンイレブンの4P分析
製品 | ・時代背景にマッチした新商品を提供している。 ・系列スーパーと共通するPB製品を作っている。 ・来店を促進する商品の開発がうまい。 |
価格 | ・過去にはおにぎり・おでんなどの集客力のある商品のセールを率先して実施。 ・PB商品は、100円で購入できるものも多い。 |
流通 | ・顧客の多い地域に集中出店するドミナント戦略をとっている。 ・系列スーパーと商品を共通化させることで、流通効率を上げている。 |
販売促進 | ・PayPayと提携したセブンイレブンアプリを使うと、キャンペーンに参加できる。 ・人気バライティ番組のコンテンツがランキングや料理人からの評価であるためわかりやすい。 |
セブンイレブンの製品戦略
セブンイレブンでは、時代背景にマッチした商品の提供が他のコンビニよりも早いです。例えば、健康寿命に注目されはじめた頃には、いち早く低脂質・低糖質の食料品を販売しました。また、セブンアンドアイグループのスーパーと共通するPB商品を扱っており、リーズナブルな商品を取り揃えています。また、さまざまな有名店舗やシェフとのオリジナルコラボ商品の開発も行っており、魅力的な商品も多いです。
PB商品(Private Brand 商品)とは、自社で企画・開発することで価格を安く抑えて提供する商品のことを言います。これに対し、さまざまな小売店などで販売される商品のことをNB商品(National Brand 商品)と呼びます。
また、セブンイレブンは、手軽に食べることができるおにぎりやホットスナックに力を入れています。また、110円〜という手頃な価格で味わえるセブンカフェやスイーツもあります。これらを完備することで、時間がない時の昼食、間食はもちろん、カフェや菓子店の代替的な役割を満たしています。
セブンイレブンの価格戦略
過去には、セブンイレブンでは、おにぎり100円セールやおでん70円セールを実施しており、ロスリーダー(おとり商品)で客足を呼び、次いで買いを誘う戦略が目立ちました。
現在は、コーヒーをはじめ、品質の高いオリジナルのファーストフードや加工食品が顧客を誘因しています。他のコンビニチェーンでは真似できない店舗数と系列店のスケールメリットがあり、価格でも優位性があります。
セブンイレブンの流通戦略
セブンイレブンでは、日販が高いエリアに集中的に出店をするドミナント戦略をとっていました。ドミナント戦略は、売れる地域のシェアを高めることで、そのエリアを独占状態にすることができます。また、1つのトラックで回れる店舗数が増えるため、配送も効率化をすることができるメリットがあります。
しかし、ドミナント戦略では、顧客の共食い(カニバリゼーション)を起こすデメリットがあり、フランチャイズ加盟店の日販が新規出店で極端に下がったことも問題になりました。そのため、現在では、整備されており、共食いが起こりづらいように配慮がされています。
セブンイレブンの販売促進戦略
セブンイレブンでは数ある販売促進を実施しています。その中でも最近目立つのは、セブンイレブンアプリを使った販売促進です。セブンイレブンでは、セブンイレブンアプリでは、アプリ決済でシェアの高いPayPayと系列の電子マネーであるnanacoと決済の連動ができます。
過去にオリジナルのアプリ決済である7payがありましたが、設計上の問題で不正アクセスが相次ぎました。そのため、実績やセキュリティ面で強固なPayPayと連携することを選んだそうです。セブンイレブンアプリでPayPay決済を行うと、その時の支払いポイントが最大1,000%戻ってくるPayPayジャンボなどのキャンペーンが度々行われています。
アプリで決済を行うと、「お酒を購入すると抽選でもらえる無料クーポン」や「アーモンド効果を購入するともらえる無料クーポン」などのキャンペーンを実施しています。アプリ会員に限定することで、アプリの登録を促すことができます。アプリを登録させることで、最新の情報を伝えるコストが下がるため、コストパフォーマンスの高い集客を実現することができます。
また、近年では、バライティ番組が、コンビニ、飲食店、生活雑貨店を紹介する情報番組が増加しました。セブンイレブンもたびたび番組に取り上げられており、食品のランキング企画や評価企画では、紹介された翌日から店内POPを活用するなどして販売促進をおこなっています。
セブンイレブンの集客で参考にできるポイントとは?
セブンイレブンは、トップシェアの多店舗展開を行っており、資本も豊富であるため、全てを参考にすることは難しいですが、ぜひ、小規模な個人店でも真似したいことも多いです。
アプリの活用
アプリ中心のマーケティングを行う理由は、顧客とのコミュニケーションコストの削減です。通常、何も行っていない店舗では、既存顧客にすら最新の情報を届ける手段がありません。そのため、キャンペーンを行うために、広告に費用をかける必要があるため、常にリスクが発生します。
アプリを導入することで、アプリでの情報表示、プッシュ通知でのお知らせが可能になりますし、アプリ決済で独自のポイントが蓄積するようになっていれば、顧客が自分からチェックして情報を確認するようになります。それによって、費用対効果を高めることもできます。
中小規模の場合では、オリジナルアプリをダウンロードさせ、スマホ内で削除されずに維持することが難しいです。そのため、アプリの中でもトップシェアのLINEを活用することをおすすめします。LINEでは、お店用に、LINE公式アカウントが用意されており、クーポンの発行やメッセージの配信が可能です。
ただし、LINE公式アカウントでは、そのままの状態だと、予約受付や予約忘れを防ぐための自動通知、メッセージの装飾に限度があります。そのため、基本的には、別の企業が開発したサービスと連動して活用します。
コラボ商品の開発
地元で人気の他店とのコラボも来店動機を作ることができます。
セブンイレブンでは、人気の飲食店とのコラボも多く、「行くことができないから、コンビニで手軽に味わいたい」というニーズを満たしています。
小規模店舗では、これを実現することが難しいので、地元の他業種の店舗などとコラボ商品を作り、「あそことのコラボ商品ならば良いものに違いない」という需要を生むことで、顧客が増えることが期待できます。
わかりやすいパッケージ
セブンイレブンの製品パッケージのデザインは、シンプルですが、わかりやすいことで知られています。セブンイレブンのPBであるセブンプレミアムのデザインは、佐藤可士和氏が担当しています。
「セブン‐イレブンではオリジナル商品の味や素材にはすごく力を入れていましたが、デザインに関しては正直弱かった。それこそ主力商品のおにぎりやサンドウィッチにもロゴはついていなかったのです。そこでカテゴリーを整理し、デザインフォーマットを作成し、すべてのオリジナル商品にロゴをつけることに。その結果、店内でのPBの存在感が一気に増し、ブランドが際立ちました」
セブン−イレブンのデザインに見るデザイン整理術【佐藤可士和の仕事】
セブンプレミアムのデザインは、カテゴリーごとに一貫性のあるシンプルなデザインをしており、さらに、商品の特徴がパッケージからも伝わってきます。どのような商品なのかイメージができるので、ついで買いが誘発されます。
飲食店であれば、メニューブックにプロカメラマンが撮影した写真を掲載したり、小売店であれば、パッケージに使用イメージがわかる画像を効果的に使うことで、顧客単価アップに効果が見込めます。
ロスリーダー戦略には注意が必要
ロスリーダー戦略では、滅多に安売りをしない商品を価格ど返しにすることで、顧客を呼び寄せる方法です。かつては、コンビニのおにぎりやおでんのセールでよくキャンペーンとして行われていました。しかし、ロスリーダー戦略では、ついで買いを誘発することで、利益を生むことが前提になるため、集客力があり、ついで買いが起こることが前提の商品でなければなりません。
おとり商品だけで、買い物が成立するような商品だった場合、広告費分だけ損失を出すこともあり得ます。
まとめ
トップシェアを誇るコンビニでも当たり前のようにマーケティング戦略は存在します。何を重視しているのかを分析し、自分の店舗に反映させることで、集客・顧客単価のアップを期待することもできます。
人気倉庫型スーパーであるコストコのマーケティング分析も行っていますので、ぜひ参考にしてください。
最終更新日 : 2023年10月28日