ステップメール機能とは?ビジネスで使えるマーケティング用語解説

ステップメール機能は現代のデジタルマーケティングにおいて、見込み客を効率的に育成し顧客化するための機能です。多くの企業が導入を検討している一方で、その仕組みや効果的な活用方法について十分に理解されていないことも少なくありません。
本記事では、ステップメール機能の基本から応用まで、経営者の方にもわかりやすく解説します。マーケティングではよく使われる機能ですので、詳細を理解していきましょう。
ステップメール機能とは?
ステップメール機能とは、あらかじめ準備しておいたシナリオに沿って、複数のメールを指定した順序・タイミングで自動配信できるマーケティングの仕組みです。特定の行動(資料請求や会員登録など)を起こした見込み客に対して、段階的に異なる内容のメールを配信することで、顧客との関係を徐々に構築していきます。
従来のメールマガジン(メルマガ)と異なり、ステップメール機能では「線状のアプローチ」を取ることができます。メルマガが「配信時点で伝えたい内容」を盛り込んだ「点でのアプローチ」であるのに対し、ステップメール機能では複数のメールを組み合わせたシナリオ設計が可能です。これにより、商品を知り、理解し、最終的に購入に至るまでの一連の流れを繋げることができます。
ステップメール機能を活用することで、見込み客の行動に合わせたパーソナライズされた情報提供が可能になり、効果的な顧客育成を実現できます。
ステップメールを使うことで、顧客接点を多く持つことができます。Youtubeなどでよく見るインフルエンサーに共感を抱くように、接触回数を増やすと、関係性が深まっていきます。これをザイオンス効果と呼びます。
ステップメール機能は具体的に何を目的に活用されるか?
ステップメール機能は主に、見込み客の育成(リードナーチャリング)と顧客化(成約率の向上)を目的に活用されます。具体的には、見込み客との関係構築、購買意欲の向上、関心度に合った情報提供などを通じて、最終的なコンバージョン(成約・購入)へと導くことを目指します。
例えば、資料請求をした見込み客に対して、まずはお礼のメールを送り、その後製品の特徴や使い方、成功事例などの情報を段階的に提供することで、製品への理解と信頼を深めていきます。最後に、キャンペーン情報などの購入を促すメールを送ることで、成約率を高めることができるのです。
また、購入後の顧客に対しても、活用法や関連商品の紹介など、追加購入や継続利用を促進するためのステップメールを配信することができます。様々な顧客フォローの用途で、ステップメールは活用することができます。
ステップメール機能を活用する準備のプロセス
ステップメール機能を効果的に活用するためには、以下のようなプロセスで準備を進める必要があります。それぞれのステップについて詳しく解説していきましょう。
1. 目的を明確にする
ステップメール機能を活用する最初のステップは、明確な目的を設定することです。誰に何を伝えたいのか、どのような行動を起こしてほしいのかを具体的に決めることが重要です。
例えば「Webで資料請求をした見込み客に対して、当社の製品の魅力を伝え、30%の確率で購入してもらう」といった具体的な目標を設定します。対象とする見込み客の悩みや不安まで具体化することで、より効果的なステップメールの内容を考えるヒントになります。
目的が明確になることで、どのような情報をどのようなタイミングで提供すべきか、全体の方向性が見えてきます。効果的な集客戦略を立てるためにも、この目的設定は非常に重要なプロセスなのです。
2. 顧客の行動プロセスを理解する
次に重要なのは、見込み客がどのようなプロセスで購入に至るかを理解することです。カスタマージャーニーマップを作成し、見込み客の状態や気持ちの変化を段階的に整理しましょう。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連の行動や心理的な変化を可視化したものです。AISAS(注目→興味→情報収集→行動→共有)やAIDMA(注目→興味→意欲→記憶→行動)などのフレームワークを参考にしながら、自社の顧客が取る具体的な行動を考察します。
このプロセスを明確にすることで、どのタイミングでどのような情報を提供すべきかが見えてきます。効果的な集客のためには、顧客の心理と行動を理解することが不可欠なのです。
3. ステップメールのシナリオを作成する
カスタマージャーニーマップをもとに、具体的なステップメールのシナリオを設計します。配信するメールの回数やタイミング、各ステップでの目的と内容を決めましょう。
例えば、健康食品ブランドのECサイトであれば、サンプル請求者に対して以下のようなシナリオを設計できます6:
- 1日目:サンプル請求のお礼とブランド紹介
- 3日目:サンプル到着のお伺いと効果的な試用法の解説
- 5日目:ユーザーの声の紹介とQ&A
- 7日目:限定キャンペーンの案内
- 10日目:キャンペーン締切間近のお知らせ
シナリオ設計では、見込み客の状態に合わせて、段階的に購買意欲を高められるよう内容を工夫することが重要です。適切なシナリオ設計により、効率的な集客と成約率の向上を実現できるでしょう。
どのツールでステップメールを配信することができるのか?
ステップメール配信機能は、ステップメール配信ツールまたはマーケティングオートメーションツール(MAツール)を使うことでステップメールを使うことができます。最近は、LINEでステップメールを配信することができるLステップなどがあります。
メール配信(メールマガジン)でも使うことができますが、シナリオの本数に制限がある場合があるため、ステップメール機能を使い込みたい場合は、アスメルなどのシナリオ無制限のステップメール配信ツールを選択します。MAツールは、顧客管理とクッキーによる登録者の購読履歴を追う機能がついているもので、インサイドセールスに使います。
最近は、「メールが到達しない」ことや、自動振り分けや偽メールによって「開封されづらい」環境になっています。そのため、LINEを使ってステップメールを使う場合が増えています。
4. メール内容を制作する
シナリオを作成したら、実際にメールの内容を制作します。見込み客が知りたい情報を盛り込み、読んでもらえるような工夫が必要です。
効果的なメール制作のポイントとしては、以下のような点が挙げられます:
- 読みやすく、魅力的な件名をつける
- 自分ごと化してもらえるよう共感できる文面にする
- 意外な事実や具体的なメリットを伝える
- ターゲットに合わせた読みやすいデザインと文章にする
- 明確なコール・トゥ・アクション(行動喚起)を入れる
ステップメール機能を活用したメールは、既存客や見込み客との関係構築を深める重要なツールです。集客効果を高めるためにも、内容の質にこだわりましょう。
5. メール配信を実施する
作成したステップメールを配信します。シナリオで設定したタイミングに沿って自動配信されるよう、ステップメール機能を備えたツールで設定します。ランディングページを用意し、フォームを設定します。
検証には十分なアクセス数が必要です。例えば、オウンドメディアにバナーを設置したり、リスティング広告やSNS広告を使い、ランディングページに集客します。
6. 効果検証と改善を行う
ステップメール配信後は、各ステップでの効果を検証し、改善していくことが重要です。
主要な効果測定指標としては、以下のようなものがあります。
- 開封率:メールが開かれた割合
- クリック率:メール内のリンクがクリックされた割合
- コンバージョン率:目標とする行動(購入など)に至った割合
- 解除率:メール配信の解除を行った割合
これらの指標を分析することで、どのステップでユーザーの興味が低下しているか、どの情報が最も効果的かを把握できます。分析結果に基づいて、メールの内容や配信タイミングを最適化することで、より効果的な集客と成約率の向上を実現できるでしょう。
まとめ
ステップメールは、見込み客を段階的に育成し、最終的な成約・購入へと導くための効果的なマーケティングツールです。
ステップメールに関する情報をまとめます。
- ステップメールとは、あらかじめ準備したシナリオに沿って複数のメールを段階的に自動配信するマーケティング手法
- メルマガとの違いは、メルマガが「点でのアプローチ」なのに対し、ステップメールは「線状のアプローチ」を取れること
- 主な目的は、見込み客の育成(リードナーチャリング)と顧客化
- 効果的に活用するための準備プロセスは以下の6ステップ
- 目的を明確にする
- 顧客の行動プロセスを理解する
- ステップメールのシナリオを作成する
- メール内容を制作する
- メール配信を実施する
- 効果検証と改善を行う
ステップメールを活用することで、見込み客との接点を増やし、関係構築を深めることができます。また、自動化によって効率的な集客活動が可能になり、成約率の向上につながるでしょう。経営者の方は、自社のマーケティング戦略にステップメールを取り入れることで、より効果的な顧客獲得と育成を実現してみてはいかがでしょうか。