立地の悪い飲食店が集客するための傾向と対策

飲食店にとって立地は生命線と言われています。この立地が悪いと、視認性が悪くなり、入店しづらくなるなどの大きな影響を受けます。
しかし、立地選びは重要だと分かっていても、理想通りの立地に出店ができる飲食店はごく少数です。立地が悪い飲食店をすでに開業してしまっているのであれば、現状で対策をする必要があります。
この記事では、立地が悪い飲食店の集客を改善するために、成功事例や具体的な対策を解説したいと思います。
立地の悪い飲食店とは?
立地が悪い飲食店と一言に言っても状況によって様々です。総合的に言うと、近隣に人流(人通り)が発生せずに、集まることが困難で、入店がしづらい立地にある飲食店を指します。
いわゆる一等地にあっても、地下店舗や空中店舗であり、条例による看板規制が影響して、看板を設置することができない場合も含まれます。
これらの立地のテナントに入店すると、立地が良い飲食店に比べると、広告費が高くかかります。
人通りが少ない地域にある飲食店
人通りが少ない場所は、顧客が自然に入店しづらく、飲食店の存在が知られづらいので、集客が難しい傾向にあります。主要道路や商業施設から離れている場所、住宅街の奥深くなどが該当します。商圏内の人口も少ないため、ポスティングやMEOなどの地域性を活かした集客がしづらく、グルメサイトなどでも気づかれづらい欠点があります。
交通の便が悪すぎる飲食店
交通の便が悪い場所も立地が悪いとされます。これには、駅から遠い、車でのアクセスが困難などが含まれます。
都市部では、駅からの距離が店舗選びの重要な要素です。歩いて5分以上かかる場所は、顧客が訪れにくいとされ、特に冬場や雨天時にはその傾向が強まります。郊外の店舗では、車でのアクセスが重要です。道が狭い、駐車場がない、駐車場への入り口が分かりにくいなどは、車で来店する顧客にとって大きな障壁となります。

売れると分かっているラーメン店の場合は、あえて郊外の駅近に出店することがあります。これは、熱狂的なファンが移動手段として電車を選ぶことができるためです。
視認性が低い飲食店
建物の構造上、店舗が見えにくい場所も立地の悪さを象徴します。これには、地上のフロアにはない地下店舗と空中店舗が含まれます。商業施設でも、最上階のレストランフロアまで集客が円滑にできていない建物もあります。この場合、人流が多い地域でも、マーケティングをしないと店舗の存在が気づかれづらく、集客が難しい傾向にあります。
安全性に問題がある
治安が悪い、夜間に暗くて危険など、客が安心して訪れることができない場所も、飲食店の立地としては適していません。顧客の定着もしづらい上に、顧客単価も高くはならないからです。
立地の悪さが影響する飲食店への影響とは?
商圏性のある業種である飲食店では、立地の選択は顧客を選択することでもあります。
集客への悪影響
飲食店を選択する基準に「理由なし」が4割程度あります。これは、ちょうど「食べたい」「飲みたい」タイミングにたまたま看板が目に入ったことで入店に至っているケースです。つまり、理由がない集客は、人通りや入店のしやすさでほぼ決定します。そのため、利用者の多い駅に近い路面店ほど集客に有利になります。
立地は、Uber eatsなどのデリバリーサービスにも影響があります。配達ができる地域に限りがあるため、ゴーストレストランにするにしても、商圏調査は必ず行うべきでしょう。
顧客の質への悪影響
また、顧客の質にも少なからず立地は影響します。
例えば、平均年収が高いビジネス街と低いビジネス街では、集客が変わらなくても顧客単価に大きな違いがあります。近くに激安のスーパーが数多く並んでいる立地を選ぶと、価値観が安さにある顧客が多いため、顧客単価を上げることができないばかりか、顧客単価が低いほど口コミも荒れる傾向にあるため、低評価な店舗になりやすくなります。
飲食店では、出店費用と出店までの時間を抑えるために、居抜き物件から店舗を探そうとするオーナーもいます。居抜き物件は、前の店舗が使用していた内装や設備がそのまま残されている物件です。開店に必要な初期投資を抑えられるのが特徴ですが、以前の店舗は閉店しているわけで、その理由が集客ができなかったことが含まれると、原因を検証しないと同じような結果になるリスクがあります。
また、退店には、原状回復義務があります。原状回復義務とは、賃貸契約をした時点の状態に戻すことですが、居抜き物件の場合は、自身の契約した状態ではなく、スケルトンの状態を指すことが多いです。もし、商圏に問題があり、経営が困難になった時には、同じ居抜き物件として、他社に譲渡できるとは限らないことがあり、結果として、損害のみを被ってしまうことがあります。
立地が悪くても集客できる飲食店の特徴とは?
実際は、山の上であろうと、都市部から隔離されている立地だろうと集客ができている飲食店も存在します。立地が悪くても集客に成功している店舗のパターンを知ることで、具体的な対策が取りやすくなります。
- 品質で勝負ができるA級グルメ
- 古民家の蕎麦屋のような雰囲気を味わう目的の飲食店
- 食べログ百名店のような人気のラーメン屋
メニューの品質で勝負をしている

テレビでも紹介されたB級グルメならぬA級グルメで町おこし。これは邑南町で話題になりました。この町は、島根県にある人口1万人弱の小さな町です。
この地域は、豊富な地元食材を活用して、一級品を提供する里山イタリアンAjikuraをはじめとする飲食店が多いそうです。ここをお目当てに、大阪などの遠方からドライブで訪れる人も多いそうです。
また、山形県にも数年前に話題になったイタリアンアルケッチャーノがあります。地産地消をうまく活用してメディアでブランディングに成功し、一時期は観光バスで駐車場がいっぱいになるくらいの繁盛ぶりでした。
これらの飲食店は、立地が悪いにも関わらず、普段食べることができない品質の高い体験ができることが話題になり、集客力に結びついています。このほかにも、実際に下記は実在している立地が良くない飲食店です。
- 山の風景を楽しみながらスペシャリティコーヒーが楽しめる珈琲店
- 海の幸をふんだんに使った海鮮丼を提供する漁港の海鮮丼屋
- リゾート地の人混みを避けて落ち着いた雰囲気でお酒を楽しむことができる会員制のバー
空間を売りにする店舗
蕎麦屋を出店する時は、立地よりも空間を重視している傾向があります。例えば、街中でそばを食べるよりも、郊外の古民家でそばを提供されると、間違いなく後者の方が品質が高く感じます。
あえて、郊外を選択することで、雰囲気作りによる単価アップ、広い客席の確保、駐車場の確保がしやすいなどがあります。また、美味しい蕎麦は車で食べに行くことも定着している地域も多く、ドライブコース上の立地であれば、集客ができます。
百名店などに評価されている店舗
食べログの百名店に入るような店舗は、実はそこまで立地が良くない店舗も多いです。
都市部から離れた住宅街や駅から遠い店舗も存在します。これらの店舗は、研究熱心な店舗であることが認知されており、期待以上の一杯を提供しているため、フリーク(特定の熱心のファンのこと)内の口コミから一般客に評判が拡散しています。
立地が悪い飲食店に集客をするための方法7選
立地が悪いと、偶然その前を通りかかってお店に入ってみたなどのお客様は期待できません。そのため、路面の人通りに頼らないマーケティングを積極的に実施する必要性があります。
対策としては以下のことが挙げられます。
- リピーターになってもらえる顧客を獲得するために、店舗周辺の人に顧客になってもらう対策
- 非日常的な体験を求める遠方からの顧客を集客する対策
これに追加して、基本的なスタンスとしては、自店舗に足を運ばせるだけの動機づけが必要です。上記の成功事例のような高品質な体験を提供することは必須でしょう。遠方の顧客を集客するには、こちらから距離を近づける戦略を採用します。具体的にはケータリングです。
ポスティング広告
有効な手段はどこからでも情報にリーチできるWebマーケティングですが、直接認知度を高めるポスティング広告も効果的です。比較的近隣の人々を対象客に絞り込むことで、高い品質のサービスやメニューはそこまで求められません。
MEO対策
MEO対策とは、Googleマップなどの地図アプリで店舗の情報の表示回数を増やすための全ての対策を意味します。例えば、近くのピザ屋と検索した時に、検索した地点から近い距離にある評判の良いピザ屋が上位に表示されます。
地図検索では、グルメサイトやメディアなどは検索結果に反映されません。そのため、通常の検索エンジンに比べると、上位に表示できるチャンスがあります。
地図検索は、検索した地点からの距離で順位が変わるため、近隣の人に知られる一方で、商圏内の人口などが少ないと効果が低くなるデメリットもあります。
店舗ができるMEO対策には、営業時間や定休日などの基本的な情報はもちろんのこと、店内の画像やメニューを写真付きで掲載すること、そして、口コミを積極的に集めて蓄積することがあります。
SNS広告
X(旧Twitter)以外のSNS広告は、商圏を市町村レベルまでに絞り込むことができます。SNS広告は、最悪Webサイトは必要なく、投稿による画像で訴求することが可能です。InstagramやFacebook広告を使うことで、近隣に限定して表示することができるため、広告費を抑えて集客をすることができます。
グルメサイト
グルメサイトは、近日中に飲食店を使いたい人が店舗を検索し、予約するために活用します。
グルメサイトを導入する際は、そのグルメサイトの集客力を気にしましょう。そのグルメサイトの流入が少なければ、集客に貢献しないからです。あまりにも田舎の立地ではグルメサイトは集客に貢献しない可能性がありますが、ごく稀に周囲の飲食店が全く有料会員になっていないけれど、関連する検索ではグルメサイトが上位を占めている時があります。その時に、有料会員になると、集客力の恩恵を受けることができます。
デリバリー
おうち時間が増えたことで、UberEatや出前館などのデリバリーアプリが急成長しました。つまり、宅配には需要があります。
アプリを使わずとも、宅配員を自分で用意できれば、高い手数料は支払う必要性がありません。この時、デリバリー用のチラシやホームページのページを作成しておきます。
パブリシティ
パブリシティとは、メディアに情報を伝えることで取材してもらうための施策です。特に地方のメディアは毎日の番組や紙面を埋める必要性があり、読者や視聴者が興味のありそうな情報を求めています。興味がありそうな商品開発を行ったら、メディアに関係している記者やディレクターに連絡をしてみましょう。面白い取り組みであれば、すぐに取材してもらえる可能性が高いです。
催事出店(ケータリング)
いわゆるお祭りやイベントでの出店です。地元以外でも催事出店は可能な場が増えています。商圏以外の地域の人に、看板メニューを食べてもらい、直接認知してもらうための手段です。ただし、催事は、商圏性や知名度によって集客力がまちまちです。どの程度の来場者がいて、どのエリアに出店できるのかは事前に確認しておいた方がいいでしょう。
まとめ
立地の悪い飲食店で最悪なのは、「このお店であれば、近くのあのお店で良い」と思われることです。立地が悪い飲食店ほど、駅前にあるような店舗と一緒の戦略を行っていれば、別にそこじゃなくても良いと思われてしまいます。立地の悪さは、顧客に目的来店を促す戦略が有効です。