1人治療院でも安定して集客・売上を伸ばす方法とは?

治療院に分類される事業所は、全国で14万件を超えています。件数が多いことで知られるコンビニエンスストアは、全国で5万6,000件程であり、実は2.5倍ほど治療院が多いです。これは、競争も激しいことを意味しており、一つの商店街には、複数の治療院を見かけます。

つまり、小さな商圏でも競合が起きている業種であり、人気の治療院になるためには、近隣の顧客に支持される店舗づくりを行うことがとても重要です。

目次

1人治療院のメリットとは?

1人で経営する治療院のメリットには、以下の5つが挙げられます。ただし、実際の経営においては、これらのメリットを最大限に活かすために、患者さんとの良好な関係構築や、独自のサービスの開発、効果的な経営戦略の策定が重要となります。

①同じ施術者が担当できる

一人で治療院を運営することで、患者さんは常に同じ施術者による一貫したケアを受けることができます。これにより、信頼関係の構築や患者さんの要望へのより細やかな対応が可能となります​​。

②プライベートな空間での施術

大勢のスタッフや患者さんがいる環境と異なり、一人で治療院を運営することで、より落ち着いた、プライベート感のある環境で施術を提供できます。これにより、患者さんはリラックスして施術を受けることができます​​。

③独自のサービスやメニューの提供

一人で運営する場合、独自の治療メニューやサービスを開発しやすくなります。例えば、地域の特性に応じた特別な治療メニューを考案することが可能です​​。

④経営の柔軟性

一人で治療院を運営することにより、経営の決定や方針転換を迅速に行うことができます。また、スタッフ管理や人件費の心配がないため、経営面での負担が軽減されます。

⑤高収入の可能性

治療院の経営は、適切な運営とマーケティングによって高収入を得る可能性があります。特に、効果的なサービスや治療メニューを提供し、患者さんの満足度を高めることができれば、収入向上につながります​​。

1人治療院のデメリットとは?

しかし、1人で経営することで、労働力に替えが効きません。また、効率性が1日の患者数を決めてしまうため、月商に大きな影響を与えてしまいます。

①体力が必要である。

治療院の仕事は、特に施術に関してはかなりの体力を要します。連続した施術には体力的な負担が大きく、特に繁忙期には身体へのストレスが増大する可能性があります​​。

②コミュニケーション能力が求められる。

治療院経営には、患者さんとのコミュニケーション能力が非常に重要です。患者さんの悩みや要望を正確に理解し、適切な対応を行うことが求められます。また、サービス業の一面も持つため、接客態度にも配慮が必要となります。

③事業が不安定である。

新規患者の獲得や収入の変動性、経済状況の影響など、個人経営の治療院は事業の安定性に課題を抱えています。市場の変化や競争環境に応じて、経営戦略を柔軟に変更する必要があることが挑戦となります。

1人治療院の月商・年収を上げるためには?

月商は、1日の平均の施術数×平均顧客単価×営業日数となります。そこに、院長の年収は、単純に売上から経費を引いた分となります。

仮に、5,000円の施術を1日平均8人に行い、営業日数が25日であれば、月の売上は100万円です。ここから経費を差し引いた金額が院長の収入になります。1人治療院では、集客の安定性のほかに、時間を治療以外の点にかけないことがとても重要です。

①時間を重要視する。

1人治療院の経営は、施術に時間を集中しなければなりません。それ以外の売上を生まない無駄な時間を可能な限り減らすことが重要になります。

売上管理などでは、SaaSを積極的に導入し効率化を図ります。そして、集客もブログなど時間がかかるものではなく、チラシやWEBサイトを改善し、広告の運用で効率化します。

②年間LTVを大きくする。

年商は、客数と年間LTVの掛け算です。年間LTVとは、1年で1人の顧客からの売上を意味します。年間LTVが大きいと客数を増やした時に売上の上がり幅が大きくなり、より儲かります。特に商店街などでは、治療院が密集していますので、LTVを意識しないと、客離れが起こり、なかなか顧客が戻ってこないことがあり得ます。

年間LTV=1年の顧客単価×来店頻度です。治療は顧客の要望に合わせた提案が必要です。ありがちなのは、毎週のように無理に予約を入れさせることで、顧客の予算以上の支払いをさせることです。結果的に、治療よりも拝金主義であることを顧客側に印象付ける結果になります。

③競合を適切に把握する。

競合というと、他の治療院を思い浮かべます。しかし、顧客は、「肩の痛みを緩和する」などの目的で通院しているのであって、同じ効果を得ることができて、しかも利便性が良いものの方にお金を出します。例えば、マッサージ機などの健康器具や予防のためのスポーツジムも競合に該当する場合もあります。

治療院は、店舗型のビジネスであると考えると、地域性のある悩みに特化した方が価値の高い施術を提供することができます。例えば、農業を仕事としている地域では、腰痛が慢性化してしまっている人が多いです。腰痛に特化した施術を提供することで店舗の価値を高めることができます。

1人治療院での集客方法とは?

1人治療院は、予算が小さな開業スタイルですので、お金をかけずに集客をしようと考える人が多いです。具体的には、ブログを書き、SNSを更新するなどです。しかし、これらの方法は近隣の認知度を高めるには向いていません。また、手間もかかってしまうため、1人治療院での集客方法では優先順位は高くはありません。

近隣に絞り込みができて、認知度の形成に時間がかからない方法を選択します。

ただし、治療院は、医業類似行為に該当します。そのため、医療行為と誤認されるような表現は全般的に禁止されており、チラシ、ホームページ、ブログなどに掲載することが禁止されています。

①ポスティング広告

ポスティング広告とは、指定した範囲の住居や事業所のポストにチラシを投函する広告のことです。自分でチラシの投函を行えば、お金はかかりませんが、かなりの時間がかかる上、反応率は1,000枚配布して3件あれば良いとされるほどであるため、1人で行う作業ではありません。

ポスティングは、ネット印刷の企業を使うことで、印刷と配布を依頼することができます。CanvaやAdobeExpressを使うことで、チラシも簡単に作ることができます。

②Googleビジネスプロフィール

Googleビジネスプロフィールは、Google上に店舗の情報を無料で掲載することができます。Googleマップ検索(ローカル検索)では、Googleビジネスプロフィールの中からキーワードに関連性の高く評判がある近いお店順に表示されます

近隣のお店を探す時は、とりあえずGoogleで検索する習慣が多くの人に備わっているため、集客に大きな効果があります。また、Googleマップ検索で上位表示されやすく対策をMEO対策と呼びますが、必要な対策は以下の通りです。

Googleビジネスプロフィールに豊富な情報を掲載する。

検索は、そのビジネスを客観的に判断して行われます。エステと検索して、整体院が表示されるのはおかしいので、関連性のヒントをGoogleビジネスプロフィールやウェブ上から得ようとします。治療院のサービスや強み、取り扱いのある器具など関連性の高い情報を豊富に掲載しましょう。

Googleビジネスプロフィールに口コミを集める。

ローカル検索は、近くの人気のお店を紹介するためのサービスです。そのため、人気を客観的に判定できる口コミ(Googleではクチコミ表記)はとても重要な指標です。高い評価の口コミをGoogleビジネスプロフィールに書いてもらえるようなお願いをしましょう。

SEO対策を行う。

Google検索からのビジネスの情報を収集します。例えば、「渋谷 整体」と検索した時に、上位のページを閲覧していき、A店、B 店、C店の出現率が、A>B>Cの順番に高ければ、A店が一番知名度が高く認知度が高いという評価をすることもできます。

ローカルクエリ(特定の地域内の検索ワードのこと)を検索し、上位表示されている広告媒体に情報を掲載できる時は掲載しましょう。また、個人店のホームページが大多数を占めている時は、SEOが可能です。ホームページを作成し、SEO対策で上位表示を目指します。

③ホームページ

ホームページは、Google検索の対策だけでなく、チラシで存在を知った人向けにより深い魅力的な情報を与えて、予約もしくは来店を促すためのものです。WEBであることから情報を豊富に掲載できることを活かします。

WordPressで運用することで、ブログページを組み込むことができます。一時期は、「記事を追加すれば露出が上がる」と言われていましたが、今現在は、専門性の高さが求められますので、日々の出来事を書き綴る院長ブログは、ホームページの専門性を下げることになります。必ず、専門性を活かした役に立つ内容に集約しましょう。

④リスティング広告

リスティング広告は、検索結果に表示される広告のことです。特定の治療やサービスに関心がある潜在顧客に直接アプローチでき、広告の対象を絞り込むことで効率的な集客が可能です。また、広告効果をリアルタイムで追跡・調整し、戦略的なマーケティングが行える点も大きな利点です。

SEO対策では、上位表示できるか、どのくらいの期間でできるのかは不明ですが、リスティング広告では、入札価格次第で上位表示させることができます。

1人治療院で収益性を高める方法とは?

収益性を高めるためには、単価を上げることや来店頻度を上げることが必要です。

単価を上げる方法としては、価値の高い施術の提供、時間のかからない物販を行うことが挙げられます。物販は仕入れによるリスクがありますが、単価の高い器具では、カタログ販売を行い、その都度仕入れる方法を採用することでリスクを減らすことができます。

来店頻度を上げる方法は、「予約制」や「カルテの導入」、「LINE公式アカウントなどのスマホアプリを導入してコミュニケーション頻度を稼ぐ」などの方法があります。

また、店舗型である以上は、売上が上がらない曜日があります。ビジネス街であれば土日祝日、住宅街であれば、水曜日あたりの売上が低下する傾向にあります。この曜日を定休日にするか、出張治療の日に設定します。

①予約制を導入する

予約制の導入はその地域性によります。高齢者が多い地域では根付かない可能性が高く、むしろ待っている時間を楽しむために来院している可能性もありますので、お茶などを用意しておくのが良いでしょう。

②カルテ制を導入する

治療計画を示すことで、目的を顧客と共有し、来店頻度をコントロールすることが期待できます。あまりにも長期の治療計画では、途中で顧客離反を起こすこともありますので、小さな目標を積み重ねるような計画にしましょう。

③LINE公式アカウントを導入する

総務省の令和2年の調査によると、LINEの普及率は90%に達しています。また、LINE公式アカウントを導入している個人店も多く、登録方法は全て一緒なので利用しやすいメリットがあります。

LINE公式アカウントは、忘却を防ぐためのメッセージ配信の他に、1:1メッセージなどの受付機能を利用することができます。1人治療院では、電話の受付はまずできません。このような接客にも活用できるアプリの導入が生産性を上げるためには必要になります。

出張型の治療を実施する。

いわゆる無店舗型の方法で、顧客がいるところの場所を借りて営業したり、自宅まで出張します。通勤時間が発生するため、生産性は店舗型よりもよくはありませんが、治療に対する理解がある顧客が選ぶ傾向があり、顧客単価を高く設定できることが期待されます。

まとめ

1人治療院は、リスクの低い開業方法の一つですが、労働集約型ビジネスであるため、稼働する時間がそのまま売上になります。そのため、1人が診療できる客数で月商の限界ができてしまう難点があります。

効率よく、1人治療院の売上を上げていくためには、売上に関係のない無駄な時間を可能な限り削減します。

集客も広告の運用を主軸にします。口コミは、あとからついてくるものですので、顧客が十分に存在しない中では期待できるものではありません。収益性を高めるためには、予約制を導入したり、カルテを導入することで治療の目的や目標を顧客と共有することが挙げられます。

商圏の客質がよくない時は、マーケティングに力を入れ、自費診療を出張で提供できる体制を整えるのが良いでしょう。

最終更新日 : 2024年4月6日

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次