製品ライフサイクル(PLC)とは?各ステージの特徴と新規参入を解説
製品ライフサイクルとは、新製品として普及し、既存製品として確立したのちに、衰退するようなある種の人間の一生のようなライフサイクルが製品にもあるとされる理論のことです。
製品ライフサイクルは、プロダクトライフサイクル(PLC)とも呼ばれており、売上・利益の推移ごとに、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのステージに分類されます。
製品ライフサイクルは、ヒット商品でも3年と言われています。市場参入をする時に、どの時期にあるかで、戦略を変えることが必要になります。
製品ライフサイクル理論は、マーケティングミックスの製品戦略に大きく関わってきます。
製品ライフサイクルの4つの分類ごと特徴とは?
導入期
製品が市場に導入された当初のステージであり、売上は伸びますが、認知度がとても低いため、広告費にコストがかかります。そのため、利益は赤字になることもあり、一般的にはほとんど出ない、自転車操業になりがちです。
導入期では、赤字でも販売促進を続ける必要性があります。見込客を獲得することを目的にした広告や、流通向けの指導などが欠かせなくなります。
導入期の製品は、使ったことがない人がとても多いです。そのため、フリーミアム(トライアルの無料配布)との相性も良いです。
この時の広告の特徴としては、製品の機能を理解している人がとても少ないため、費用対効果が非常に小さくなります。そのため、代表的な例で言えば、リスティング広告やFacebook広告のように詳細にターゲティングができる広告を主軸にします。
成長期
成長期では、急激に売上が伸びはじめます。そして、利益も大幅に改善しています。一方で売れることに気づいた他社が参入し始めます。これによって、競争が発生しますが、製品の認知度が急激に上がるメリットもあります。
競争では、先行していることで、市場のシェアで優位に立っています。後発の競合に対抗するためには、後発製品の機能を組み込む同質化や用途を分ける差別化などがあります。
この時には費用対効果が改善されており、製品の機能も理解されています。テレビCMや交通広告などマクロ広告を活用して、トップシェアをとることを最優先にします。
成熟期
成熟期では、市場に製品が行き渡り、売上の成長率は鈍ります。利益は安定している傾向にありますが、競争が激しくなると、コストが増額するため利益が減少します。成熟期は、製品ライフサイクルの中では最も長く続くステージです。
この時には、顧客はすでに初回の購入を終えていることがほとんどで、買い換え需要が中心になります。販売価格を下げるなどの対応のほか、付加価値をつけて提案するなどが挙げられます。
衰退期
衰退期では、消費者の嗜好の変化や競争品との競争激化、イノベーションにより、売り上げは定価し、利益も減少します。収益性の悪化により、市場撤退をする競合も増加します。市場撤退を選ばない企業は、利益を得ることができますが、市場は次第に縮小していきますので、新規事業を作ることが必要になります。
広告の費用対効果は次第に小さくなっていきますので、広告費をかけないことが鉄則になります。採算性が取れなくなった時点で、撤退します。
製品ライフサイクル理論から考える新規参入とは?
新規事業として、市場に参入をする時は、製品ライフサイクルで判断します。
基本的には、参入の狙い目は、売上と利益が大きい成長期です。成長期に参入するためには、導入期の新製品の情報収集を常に行う必要があります。大手小売店では、参入は成熟期に行います。販売網が確立していることやプライベートブランドを企画できる土壌があるため、十分にリスクのない収益化が望めるからです。
逆に、衰退期に新規参入することはありませんが、例えば、レコードのような愛好者が一定以上残っている市場では、ニッチ市場として残ることもあり得ます。その時は、参入を考えても良いでしょう。
導入期の参入は、市場に受け入れられるかが不透明です。そのため、開発や広告にコストが非常にかかります。そのため、社会的に新しい価値観を伴う製品開発を行う時は、銀行やベンチャーキャピタルからの投資を受け、一気に拡大することが一般的になっています。
最終更新日 : 2024年4月20日