共創とは?中小企業が競争力のあるサービスを提供するためのビジネスモデル
ドラマでは、中小企業の町工場が大企業よりも品質の良い製品を作るものがありますが、現実的な問題として、通常中小企業が全てにおいて大企業よりも全てにおいて価値の高い製品やサービスを提供し続けることは、とても難しいです。
ほぼ個人事業に近い中小企業の場合は、専門性が高い点が強みです。ただし、それ以外の面では他の企業よりも弱かったり、視点が偏っていることで消費者のニーズにマッチした製品やサービスを開発できない点が弱みに挙げられます。
既存の“業界”は、どこも成熟しており、新しい価値観を生み出すことが非常に難しくなっています。
そのため、生存をかけた革新的なマーケティング手法に共創があります。
共創(きょうそう)とは?
共創とは、企業が、様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造することを言います。ステークホルダーというのは、直接的で間接的問わず利害関係が一致していることを指し、例えば、顧客や協力企業が該当します。
業界は、そのビジネスの枠組みを支配します。そして、優位性は業界の中では長期に渡って続くものとされていました。日本国内の場合は、この傾向が強く、人材・資金・その他経営資源を多数有するリーダー企業に太刀打ちできません。
しかし、現代では海外のサービスが日本国内で存在感を示し、この業界の枠組みや優位性が破壊されるイノベーションが起こっています。例えば、レンタルビデオやCDは、Netfrixやspotifyのようなサービスに淘汰されますし、テレビもYoutubeやSNSが一般化したことで見なくなった人が増えました。
このような変化が激しい時代になったことから、それに合わせた競争力のある製品やサービスを開発するのは、顧客側のニーズを把握しなければ難しくなっています。
そこで、双方的なコミュニケーションをとったり、成果物を共有し、それらを改善することに知恵を出し合うことによって、価値観を向上し、様々な技術を組み合わせた新製品やプロジェクトを遂行することが可能になります。
共創は以下の3つのタイプがあります。
双方向の関係
ものを売り込むだけではなく、顧客が抱えている課題を共に解決し、その経験を活かして新たなビジネスモデルを作り出すというものです。当事者として捉えることで、共に価値を作り出します。
共有の関係
誰かに一方的に依存し、成果物を一方的に受け取るわけではなく、全員がリーダーシップを発揮し、共通の課題に取り組むオープンな関係性を築きあげるモデルです。
提携の関係
自社に不足する資源を協力関係にある他社と持ち寄って、問題の解決に挑むいわゆるアライアンスの関係性。参加する企業全員が当事者意識を持って、アイデアを出し合える関係性が望ましく、例えば上流〜下流の関係性で行うと、立場上自由なアイデアが生まれません。そのため、関係性は平等でなければなりません。
共創を成功させるためには?
中小企業が共創を実行する時に、考えられる問題点とそれの解決策について取り上げます。
ゴールの明文化
共創を行うことを前提にした場合、それらに参加する人々が何をゴールにしているのかわからないと方向性にブレが発生します。そのため、共創には理念の明文化が必要です。
共創には、参加する人々全員が共感しうることが理念でなければならず、これは社会問題の解決や社会をより良いものにすることに紐づいていなければなりません。
価値観の共有
共創では、多様性のある価値観は重要視しつつも、根本にある新しい価値観を生み出すことに協力しあう基盤の部分を理解し、熱を持った参加者でなければ、新しい価値観を生み出すことには失敗する可能性があります。そのため、プロジェクトに参加する企業には、コアになる価値観の共有を行わなければなりません。
もちろん、共創に参加するメンバーは信頼に値するメンバーであることが前提になります。
多様な専門性
例えば、コンサルティングを基盤にしたサービスを提供する場合、同一のサービスを提供しているメンバー同士では、トラブルに発生する可能性が高くなります。
そのため、共創に参加するメンバーは、関連性の低いサービスを提供する他業種、もしくは専門性が別に特化した企業であることが望ましいことになります。
多様な専門性を取り込むことで、共創のネットワークでは、多種多様な問題解決が可能になります。
双方的なコミュニケーション
共創で生み出される価値観は共感されるものが前提です。例えば、社会の利便性の向上や社会問題の解決が該当します。顧客は、これらに共感し、サービスの提供者や協力企業は、顧客の成功のために機能することで共感を得ることが可能です。
顧客からフィードバックを受けることでサービスの改善や新たなビジネスのシーズを得ることで、企業は競争力を増していきます。
まとめ
これからの時代は、それぞれで戦うよりも業界を超越した関係性を構築し、社会により良い影響を及ぼすような事業にブラッシュアップする必要性を強く感じています。
共創のビジネスモデルは偏った視点を解消し、単独では思いつかなかったアイデアを生み、リソースを供給できるため、今後はネットワークの重要性が増してきます。
最終更新日 : 2020年8月25日