UGCとは?マーケティングでの役割と具体的な対策

個人消費に多大な影響を与えるのは、その商品について実際に利用経験のある消費者の評価であったり、趣向が似ているインフルエンサーからの評価です。

当然ですが、レビュアーはその商品やサービスを体験しているため、商品やサービスを売りたい販売者のメッセージに比べると消費者に信頼される傾向にあります。

つまり、消費者による商品やサービスに言及しているコンテンツの数が多く、質が良いものであれば、売上が上がる可能性が高いということになります。

目次

1. UGC(ユーザー生成コンテンツ:User Generated Content)とは?

UGC(User Generated Content)の略で、日本語ではユーザー生成コンテンツと訳します。UGCには、口コミサイトやレビューサイトだけでなく、TwitterやインスタグラムなどのSNSでも見られます。

UGCには2つの大きな役割があります。

1つ目は、消費者からの信頼を得ることです。個人の消費者が発信する情報は、販売者からの情報よりも信頼されやすいため、UGCが多く存在すると、実際の商品やサービスの評価がリアルに伝わります。

2つ目は、サービスの認知度を高めることです。UGCが多いほど、表示回数が増えますので、SNSで情報が広まります。

特に、スマートフォンを使っていつでもUGCを調べられる現代では、購入の決め手になることが多いため、基本的な情報発信と同じくらい、UGCを増やす対策が重要です。

2.UGCがマーケティングで注目されはじめた背景

2000年頃から、高性能なデジタルデバイスの普及やインターネット環境の高速化・大容量化により、リッチコンテンツを手軽に制作・配信できるようになったことで、消費者が簡単に情報発信者になることができるようになりました。そのため、UGCが「ネット上の重要なコンテンツ」として注目される背景となりました。

特に、Instagramが登場してから、UGCは消費者の購買意欲を喚起する力を持つ存在としても注目を集めるようになりました。アメリカの調査では、63%の消費者が、SNSのUGCで商品の情報を探しているという調査結果を出しています。

また、検索エンジンや専門サイトなどの従来型のデジタルマーケティングのプラットフォームでは、アルゴリズム変動や競争の影響を受けるため、限られた枠とロジックによる競争が激化しています。それに対して、消費者のレビューなどは、蓄積していくことが一般的であり、UGCを活用した認知度の獲得が効果的なマーケティングとされています。

3. UGCを調査するためには?

UGC調査の具体的な方法は、各種SNSのキーワード検索やハッシュタグ調査、口コミ・レビューサイトの分析、ソーシャルメディアリスニングツールの利用、競合他社の分析、そしてカスタマーインタビューです。これらの組み合わせで効果的な調査が可能であり、結果をマーケティング戦略に活かすことが重要です。

各種SNSのキーワード検索

商品やサービスに関連するキーワードを特定し、GoogleやYahooなどの検索エンジン、TwitterやFacebookなどのSNSで検索を行います。これにより、該当キーワードに関連するUGCを見つけ出すことができます。

ハッシュタグ調査

InstagramやTwitterなどのSNSで使用されている関連ハッシュタグをリストアップし、それらのハッシュタグをもとにUGCを収集します。ハッシュタグを追跡することで、トレンドや話題性のあるコンテンツを見つけることができます。

口コミ・レビューサイトの分析

主要な口コミ・レビューサイト(例: Yelp、Amazon、楽天市場)を調査し、商品やサービスに関する意見や評価を分析します。顧客の満足度や不満点を把握し、改善策を検討することができます。

ソーシャルメディアリスニングツールの利用

ソーシャルメディアリスニングツールを活用して、ブランドや商品に関するUGCを監視・分析します。これにより、顧客の意見や感想をリアルタイムで把握し、マーケティング戦略への適切な対応が可能になります。

競合分析

競合他社のSNSアカウントやウェブサイトをチェックし、彼らのUGC戦略を調査します。競合他社の強みや弱みを分析し、自社の取り組みと比較することで、改善点や新たなアイデアを見つけることができます。

カスタマーインタビュー

直接顧客にインタビューを行い、彼らの意見や感想を聞くことで、リアルなUGCの現場を把握します。インタビュー結果を分析し、マーケティング戦略や商品開発の参考にすることができます。

4. UGCを意図的に増やすためには?

UGCは何もしなければ自然発生することを待つしかありませんが、意図的にUGCの生成を促進させることは可能です。

コンテンツ生成しやすいようにする。

例えば、インスタ映えなどの文化は、ビジュアルがわかりやすく、コンテンツ化しやすい商品であるため、UGCも作りやすくなります。明らかな派手なビジュアルや今までになかった発想の商品は、特にその傾向が強いです。

インフルエンサー向けのイベントや招致を行う。

UGCを意識的に増やすためには、レビュアーを狙い撃ちしたマーケティングが有効です。レビュアーの数を揃えれば、必然的にUGCも増加しますよね。

飲食店で言えば、インフルエンサーをプレオープンに招待するなどが有効です。インフルエンサー発信の情報がオープン前に存在することで、オープンでのレビュアーの来店需要が大きく増すからです。

情報発信量を増やす。

情報はインターネット上に自然と増えるものだと勘違いしている経営者もいますが、実はそんなことは全くなくネタ元になる質の良いオリジナルの情報、つまり自社による情報発信の量と質が伴っていなければ、UGCは増加しません。

そのため、SNSに参加して情報発信を行なうことが重要です。また、UGCが気持ちよく生成してもらえるように返信をしたりと積極的なコミュニケーションを行うのも効果的です。

期待よりも体験価値を高める。

体験価値とは、実際の価値にサービスや演出などで付加価値を合計した価値を消費者が主観的に判断した価値を指します。

最初の利用時の体験価値の高さを2回目以降の利用にも影響を及ぼしますし、UGCの質をコントロールするものです。過剰サービスなどは行う必要がありませんが、驚きや喜びを感じるようなサービス演出を行うことは重要です。

アフィリエイト広告を出稿する。

偽装されたUGCが増加する可能性が非常に高くなりますが、紹介サイトなどの営利目的のサイトにUGCを生成させるためには、やはり報酬が必要になります。

飲食店や美容室の場合は、予約サイトがアフィリエイトを実施していることが多いですので、営利サイトがよくリンクしている予約サイトを導入するのも有効打の一つではあります。

工場見学やワークショップを開催する。

ブランドのファンを対象にした工場見学やワークショップの開催は、ポジティブな体験をファンに提供することで、良質なUGCを生み出します。たとえば、ナチュラルコスメブランドのラッシュでは、ラッシュキッチンツアーと呼ばれる製造体験もできる工場見学を行っています。原材料へのこだわりや取り組みを深掘りすることができ、その体験をファンがSNSなどで発信することで、口コミを作ります。

5. UGCがマーケティングに及ぼすメリットは?

UGCは、個人消費のもっとも参考にされるコンテンツです。つまり、質の良いUGCがたくさん生成されることによって、爆発的なヒットを及ぼすことがあります。

UGCが豊富になることで、個人消費が有利になる。

UGCの影響度を実感できるのは個人消費です。極端な話、購入の動機は個人の気持ちだけで良いため、良いと思わせる要件のUGCが増えれば増えただけ集客が増加する傾向にあります。

ただし、UGCは、生成した消費者との距離感や尊敬の度合いも影響しますので、距離感が遠い非インフルエンサーばかりのUGCが増加しても消費に影響を与えません。

サイテーションにより、SEOやMEOで少なからず有利になる。

ウェブ上で商品名やサービス名が言及されていることがサイテーションです。この時リンクがなくても、SEOやMEO(ローカルSEO)に影響するとされています。サイテーションが多い商品やサービスほど、固有名詞で検索される機会が多いので、グーグルトレンドの人気度が高くなっている傾向もあります。

インフルエンサーが生成したUGCならば、集客効果が大きい。

パレートの法則で説明されている通り、上位のインフルエンサーが世の中の影響力の大半を占めています。そのため、インフルエンサーにUGCを生成してもらうのは集客の効果が大きいです。インフルエンサーに企画を依頼するときは、景品表示法違反にならないような配慮が必要です。

最終更新日 : 2024年4月20日

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