売上アップの方法とは?|売上向上策や成功事例を解説

業績の拡大、つまり売上アップは、企業や店舗では必要です。

ビジネスをそもそもやる目的がお金を稼ぐことですので、売上アップを効率的にできないと、

「やっぱダメだ。」「この事業はやめておこう」

と思うのがオーナー経営者であれば普通は考えます。そのため、売上アップは重要というレベルでなく、必須なものとして行わなければなりません。

さまざまな方法を試してみたけれど、売上が上がらないことに悩みを抱えている運営者も多いかと思います。売上アップには、特に重視するべきポイントがありますので、この場で解説を行います。

目次

売上アップの原則とは?

売上アップを大きくするためには、次の6つの要素を押さえておくと良いです。表面上のところではなく、根本の部分まで紹介します。

  1. 新規顧客を増やす。
  2. 失客率を下げる。
  3. 再購入頻度を上げる。
  4. 顧客単価を上げる。
  5. 人材の獲得および教育を強化する。
  6. 商品力を上げる。

まず、売上高と言えば、有名なのは、客数と平均顧客単価の掛け算です。この時の客数とは、人数ではなく、リピーターが数回購入しているのも、全てカウントしているため、取引回数と言えます。

売上高=取引回数×平均顧客単価

この取引回数をわかりやすいように客数に変換します。そして、顧客でも新規顧客と既存顧客では、ビジネスに対する貢献度に違いがあります。

売上高=(新規顧客+前の月からの既存顧客×平均購入頻度- 失客数)×平均顧客単価

上記の計算式からいえることとして、「新規顧客を増やす」「失客数を減らす」「平均購入頻度を上げる」「顧客単価を上げる」の4つの対策を実行することで、売上アップの結果を導くことがわかります。

ただし、商品やサービスが売れるというのは、表面的な対策だけが作用しているわけではありません。

なんとなく、そこで働いている人が好きなので、ファンとして付き合いたいと思って、顧客になっていることもあります。特にアパレルのような直接接客をする業種や飲食店のような料理人の属人性が商品力に影響する業種では、採用が売上に強く影響します。

また、「商品力を上げる」ことは、そのビジネスの独自の魅力を高めることにもつながります。他では仕入れることができないものを独占的に仕入れたり、莫大な設備投資ができたことで成立する商品力の向上は、他の競合が簡単に模倣をすることができない模倣困難性を上げることができます。

単純に、そこでしか供給することができない独自の魅力があれば、口コミで新規顧客は増えますし、既存顧客も他のサービスを選択しづらい結果を導くことができます。

それでは、それぞれの売上アップのポイントを紹介します。

新規顧客を増やす。

ビジネスは顧客がいないと成立しません。新規顧客を増やさない限り、既存顧客の人数も増えません。そのため、ビジネスの成長には必ずと言って良いほど新規の集客が必要になります。

新規の集客で重要なことは、顧客にとって魅力的な価値を提供することをしっかり伝えることです。買うという行為は、手に入れたいものが明確だから対価としてお金を支払います。魅力が弱かったり、少なかったりすると、いくら訴求しても、欲しいと思う人がいないので、集客ができません。

これとセットでターゲティングを行います。ここでいうターゲットとは、自社が提供する価値を魅力的だと感じる人のことです。当然ですが、ターゲットに該当する人は多いほど集客は楽になります。つまり、ビジネスを始めるにあたっては、人数が圧倒的に少ないニッチ市場を狙うよりは、誰もが知っていて需要がある業種を選択した方が失敗の確率を下げることができます。

また、売上がなかなか上がらない店舗や企業にありがちなのですが、チラシやホームページまで作っておいて、積極的なPRを行わないパターンです。本来そのサービスを必要とする人に作成した広告を見てもらわないと、顧客化ができません。SNSで告知した程度では、全く足りません。

集客のやり方については、「集客方法の選び方と活用方法を集客のプロが紹介する。」で紹介をしています。

失客率を下げる。

売上アップでは、客数を増やすことばかり目が行きがちになりますが、客数が減る失客を最小限に押さえることも重要です。

店舗ビジネスがわかりやすいのですが、顧客は近隣を行動圏にしている人が大半であるため、失客率が高い状況では、近隣の利用客がどんどん減っていきますし、「あそこのお店はやめた方が良い」という噂も広まりますので、集客が困難になっていきます。

そのため、失客につながるような要因は可能な限り潰し、顧客の流出を防ぐことは必ずやっておいた方が良いマーケティングの施策の一つです。

具体的には、以下のような対策を実施します。

  • 初回利用客用の接客のスクリプトを用意し、満足度の高い選択を促す。
  • LINE公式アカウントなどのコミュニケーションアプリを導入することで忘却を防ぐ。
  • 顧客管理を実施することで、RFM分析を行い、それぞれのランクに合ったクーポンを提供する。
  • 予約システムを導入して、簡単に予約ができるようにする。

再購入頻度を上げる。

売上アップには、重要な指標として、LTVが挙げられます。LTVとは、最初から最後までの生涯の取引で売り上げた金額もしくは利益のことです。

平均LTVが高いと、1人集客を増やした時の売上の上がり幅が大きくなります。

LTVを高くする代表的な手法がサブスクです。サブスクとは、定期的に課金が発生する仕組みのことで、毎月のように支払いが発生する電気代や携帯電話料金が該当しますし、実はサイクルが違うだけでコストコの有料会員もサブスクの一種です。

サブスクのメリットで大きなものは2つあります。

  • 取引金額が1回の払いきりより大きくなる。
  • 元を取るため、買ってくれる。

取引金額が1回の払いきりより大きくなる。

化粧品の単品通販だとイメージしやすいのですが、1回ずつの買い切りだと、化粧品を使うペースは自分で決めることができます。そのため、1ヶ月で使い切る分量でも、2~3ヶ月にもってしまうことはあり得ます。

1回の購入金額が、4,000円だとすると、使い切るのが2ヶ月と計算すると、年間で購入する回数は、6回になります。この時、1年間の売上は、24,000円になります。

これがサブスクになることで、配送のペースに合わせて化粧品を使うようになります。1ヶ月に1回のペースになると、1年間の売上は、48,000円になって2倍になります。

元を取るために、買ってくれる。

コストコの年会費は、約4,000円かかります。年会費が発生することで、コストコでの買い物にはプレミアム感が出て、休日はコストコで買い物をするようになります。この年会費の元をとるため、コストコで必要以上に商品を買ったり、フードコートで食事をするようになります。

結果として、LTVが高くなり、店舗としての売上が上がります。同じような仕組みにするためには、少額の有料会員制を導入します。例えば、Monster Passというサービスを使うと1品無料になるなどのサブスク型の有料クーポンを発行することができるようになります。

顧客単価を上げる。

1回あたりの平均顧客単価を上げることでも売上が大きく上がります。顧客単価を上げる方法の基本は、アップセルとクロスセルがあります。

アップセルとは、従来のプランよりも上位プランを提案し、顧客単価を上げる手法です。

例えば、コンサルティングサービスでは、実質お任せプランであるエンタープライズを除いた3段階のプランを用意することが一般的です。3段階にすることで、極端回避性と呼ばれる心理が顧客側に働き、中位プランに発注が集中します。

もし、現在提供しているプランが最安値のプランに該当している時は、提案により中位プランに上げることは十分可能だと思われます。

それに対して、クロスセルとは、関連した商品やサービスを提案し、顧客単価を上げる手法です。

例えば、食べログの有料プランを申し込んだ時に、飲食店内の画像や料理の画像が大量に必要になります。そのため、カメラマンのチャーターサービスがオプションで提供されています。ホームページや他のグルメサイトを活用しない飲食店であれば、このサービスを申し込むかもしれません。

人材の獲得および教育を強化する。

同じ商品が販売されている企業が複数社あった時に、気持ちの良い売り方をした方が選択されることは有名です。ビジネスを行う組織とは、人材の集合体ですので、良い人材を獲得できる企業の方が伸び代が大きくて当然です。

現在は、人材獲得難とされており、なかなか良い人材を獲得することができませんが、労働力としての人材採用ではなく、共通した目標を共に達成するような社内制度を用意することで、社員の知人採用であるリファラル採用を強化することができます。

また、無駄な仕事を減らし、労働生産性を高めることも重要視されています。目的の人材を獲得することができないのであれば、少人数でも運営ができる業態にしなければならないからです。

商品力を上げる。

商品力はわかりやすい集客力を作ります。例えば、キャッシュレス決済に、エアペイがあります。エアペイは、他社に比べると、決済手数料は実は最安値ではありませんが、日本国内のキャッシュレスを網羅しており、このサービスを導入すれば良いサービスとなっています。

商品力を上げる方法は、以下のようになります。

対象の客層のウォンツを分かりやすく満たす。

普及させたい客層が求めている価値をヒアリングします。その価値をわかりやすく満たしていることです。例えば、以下のようなことが該当します。

  • 山盛りのにんにくが入ったラーメンを味わいたい。 → にんにくがたくさん入っているラーメンを名物として開発する。
  • 複数社にまたがるシステムの導入は、データの受け渡しができないと手動の作業が増える。→人気の顧客管理システムと簡単にデータ連動ができる。

模倣困難な価値を提供する。

「美味しい焼肉を提供するお店」と「米沢牛を提供するお店」では雲泥の差があります。ブランド牛は、販売実績のない飲食店が大量に仕入れることができません。そのため、ブランド牛の取り扱いをしている卸売業者でもなければ、1店舗目からブランド牛を取り扱うことができません。

模倣ができないように、特定の条件を満たさないと取り扱えない商品を扱ったり、特許を取ることで同じ仕組みの業態ができないようにします。

新商品開発の速度を上げる。

何が売れるのかわからない環境の中では、新商品の量を開発して、販売テストします。季節性のある商品は季節限定で提供し、年間を通して提供できる商品は、現在の商品と入れ替えて提供します。

トライ&エラーを繰り返すことで、どの商品やメニューの傾向が人気商品になりやすいのか調査できますし、店舗であれば再来店の動機付けにもつながります。

売上アップをしたい時のアイデアの捻出方法

私が売上アップを目的にした相談を受けた時に対策をする方法を紹介します。

売上アップのアイデア①.広告の表示回数を上げるのは大変!そのため、集客率の改善を先に考える。

売上を2倍にしたい時は、取引回数を2倍にすることを考えます。

取引回数=広告の表示回数×集客率(成約率)

取引回数を2倍にするためには、広告の表示回数を2倍にするか、集客率を2倍にするかの選択肢があります。広告の表示回数を2倍にすることは、広告費の予算を2倍にすることですので、集客率を2倍にする方を選択します。

集客率を2倍にするには、広告の内容を見直します。集客率を2倍にするためには、広告のコンテンツの見直しだったり、成約地点の見直しを行います。例えば、キャッチコピーの訴求点を変更する、使用している画像を変更する、入力フォームの項目数を減らしたり、入力のサポートを行うことなどが該当します。

売上アップのアイデア②.何かある度にSNSを活用する。

売上を2倍にする→取引回数を2倍にする→広告の表示回数を2倍にする。

通常であれば、広告の表示回数が2倍になれば、広告費も2倍になるのですが、SNSのキャンペーンを実施することで、安価で表示回数を伸ばすことができます。例えば、X(旧Twitter)ではフォロー&リポストキャンペーンがあります。

全国に店舗数が多いコンビニの他にも商圏が存在しない通信販売では、情報が拡散するほど良いとされていますが、一般の店舗でも工夫をすれば来店に結びつけることができます。

都内レストランでフォロー&リポストキャンペーンを実施しました。その結果、月間で55万の表示回数に至りました。ここで投資したのは、3組のペアお食事券でした。この時、メディアに出たこともあり、ご祝儀的な来店があり、大きな売上アップにつながりました。

売上アップのアイデア③.社内インフルエンサー制度を採用する。

企業のマーケティングで問題になりやすいのは、情報発信力を強化するシステムがないことで、SNSなどの活用が積極的にできないことです。SNSをやろうと思った時に、「担当者がいない」はよくある話です。

そのため、外注事業者もあるのですが、自社の製品をよく知っているのは、自社の社員ですので、可能であれば能動的にSNSで情報発信をしてもらいたいと考えます。

その時に、活用できるのは、社内インフルエンサー制度です。スリーコインズを展開する株式会社パルでは、社内インフルエンサー制度を導入しており、スタッフのSNS活用を奨励しています。これによって、スリーコインズの品揃えや商品の使い方を伝えることが活発になっており、スリーコインズの事業拡大に影響していると言われています。

同じようにルールを決めて、SNS活用を推奨することで、SNSの担当者がいない問題の解決につながります。

売上アップのアイデア④.店舗×オンラインを組み合わせる。

日本のような超高齢化社会では、移動困難者が時間の経過と共に増えていきます。また、新型コロナ禍では、緊急事態宣言やまん延防止措置が発令した時に、急激に人の流れが変わることもわかりました。そのため、販売する機会を減らさないように、店舗の他に通販サイトを用意することで購入の機会を減らさない対処が必要になります。

また、最近では、売らない店舗も増えています。売らない店舗とは、実店舗で商品を体験できる場として提供し、購入はオンライン限定という業態です。これによって、実店舗の商品管理の手間を省略した上で販売促進に注力することができます。

最終更新日 : 2024年3月28日

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