飲食店を開業する時に注意すべきポイントとは?
飲食店を開業しようと思っている方は、事前に開業する上で、飲食店の成功率を上げるためのポイントを知っておくべきです。
例えば、飲食店の成功で一番重要なのは、立地です。店舗ビジネスでは商圏があるため、来店可能な距離が決まっています。もし、店舗を開業することを優先し、ターゲット顧客の客層が合致していない立地を選んでしまうと後が大変です。
この記事では、飲食店を開業するまえに、必ず押さえておきたいポイントを解説します。
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飲食店で最も重要な立地のポイントとは?
飲食店の経営では、成功するかは9割が立地が影響すると言われています。
これは、飲食店は、店舗の周辺で行動する人をターゲット顧客にするため、立地が悪いと集客に影響するからです。そして、交通の便が悪すぎると、アルバイトの応募が集まりません。
また、良い立地にあったとしても、商業施設の中に入っている空中店舗や地下店舗の場合は、外観を目立つように工夫することができないなどの制限を受けることがあります。
理想的な立地で開業できること自体が稀ですが、必要十分な基準を設定して立地を選ばないと、開業資金に見合わない集客コストが後々必要になる可能性があります。
立地は集客に影響する
飲食店のマーケティングでは、立地が最重要です。これは、店舗ビジネスでは来店可能な近隣の人ほど集客してもらいやすいからで、どこに出店するかで、集客の難易度が全く異なります。
また、立地には交通の便も影響します。例えば、新宿や渋谷、池袋を想像するとわかりやすいですが、電車の本数が多い繁華街では、普段この周辺を訪れない人でも利用することがあります。また、自動車が移動の主な手段の地域では、居酒屋を除く飲食店は、大通りのロードサイドも好立地といえます。
立地は人材募集にも影響する
アルバイトやパートが多数必要なビジネスモデルの場合、立地の選び方を間違えると人材が集まらないことを理由に頓挫してしまう可能性があります。
ここで働く人は、終業時間まで勤務する可能性があります。疲れた時に、帰るための手段がない店舗では勤務することができません。そのため、立地は人材の確保にも影響することは忘れてはいけません。
立地が良くても制限が多いテナントもある
実際に過去にあった相談例では、立地は繁華街の一等地でもビルの7階であり、看板規制があった店舗です。階段の上り下りが必要のない路面店に比べて、商業施設などの上の階にある空中店舗や下の階にある地下店舗では、看板などの規制があることがあり、店舗の存在を気づいてもらえない可能性が高いです。
外に立て看板やのぼりなどの設置も制限されたケースがあり、高いテナント料に反して、視認されない店舗などもありました。そのため、好立地であっても、看板などの広告規制が具体的に何があるのかを事前に確認する必要があるでしょう。
立地のクセを確認する
出店する地域次第で、飲食店は、1週間を通して正常通り集客ができない場合もあります。例えば、居酒屋を住宅街で出店した場合、平日の集客が少なく、週末に集客が集中します。逆に、ビジネス街では、平日の集客が多いですが、週末の集客が閑散とします。また、繁華街では、1週間を通して集客が見込まれます。
また、地域によっては、平均給与に高低差があります。これも実際の相談にあった話ですが、平均給与の少ない地域に、ふぐ専門店を出店した際に、値引きを強要する顧客を相手にしなければならず、原価に対して利益が出る価格で勝負ができないこともありました。
つまり、立地次第では、1週間のうち集客が正常通りできない曜日を増やす結果になりますし、想定した顧客単価で集客がしづらいことがあります。
居抜き物件には注意する
居抜き物件は、以前の店舗の内装や設備をそのまま活用することができる物件のことですが、居抜き物件は、初期費用を節約して出店ができる大きなメリットがある反面、不確定要素も多いです。それは、以前の店舗も飲食店であり、閉店しているということです。その閉店理由を明確にしない限り、以前の店舗と同じ失敗をしてしまう可能性があります。
また、居抜き物件は、賃借人を間に挟んだ転貸の可能性があります。転貸契約では、賃貸人と賃借人の契約が解除されると、転貸も解消され、店舗を明け渡さなければなりません。テナントを明け渡す時は、元の状態に原状回復が必要です。原状回復は、居抜き物件の契約時の状態ではなく、スケルトンの状態にする必要があります。
居抜き物件は、良いことだけではないことは覚えておきましょう。
持続可能なビジネスモデルを選択する
飲食店の場合、人材確保が思ったようにいかずに、営業を制限しなければならないこともあります。そのため、少人数でも十分に営業ができるように、客席のレイアウトをカウンターの割合を増やします。
また、少ない集客でも十分に利益が出るような業態を選ぶことが重要です。これは、広告費を十分にかけることができないことが飲食店はどうしても多くなるためで、一番は、人気が出やすい業種の選択とメニューで勝負することですが、利益が最大化できるようにしておかないと、食材や人件費の高騰に対応ができなくなります。
客席のレイアウトは、人員が少なくとも運用できるようにする。
客席のレイアウトは、配膳効率に影響しますので、生産性に影響します。また、ホールに必要な人員が減りますので、雇用にも関係します。
そのため、料理人が直接料理を提供することができるカウンター席を多くしたり、できる限り兼務ができるようなレイアウトにすることで、アルバイトの数が少なくとも営業ができるようになります。
FLコスト比率は念頭においておかないと後悔しやすい。
飲食店の経営には、FLコスト比率があります。Fは原価(Food)、Lは人件費(Labor)です。FLコスト比率とは、売上高に占める原価と人件費の比率であり、以下の計算式になります。
FLコスト比率= (原価 + 人件費)/売上高 ×100
売上に占める割合が高い代表的な2つの費用であり、FLコスト比率の目安は、約60%です。一般的には、原価率は30%以内にするのが良いとされていますが、焼肉などでは主力商品がブランド牛などでなければ競争力を作ることができないため、戦略によって調整の必要性があります。
また、これにRである賃料(Rent)を加えたFLRコストがあります。居酒屋では席数が多くなる都合上テナント面積も広くなりがちですので、賃料は無視することができません。FLRコスト比率の目安としては、70%であることが挙げられます。
人件費が高騰し、採用することが難しくなっている中で、競争力を高める必要性があります。そのため、良い材料を安く仕入れることができることが飲食店としての強みにもなります。
業態は儲けやすく、勝ちやすいものを選択する。
業態の選択は、その立地でやっていけるのか、そして効率良く利益を獲得できるのかが左右されます。
TKCのBASTの要約版をみると、バー・キャバレー・ナイトクラブは、限界利益率が82%であり高く、対する限界利益における人件費の割合の指標である労働分配率は、54%と飲食業の業態の中では低水準であることがわかります。つまり、儲けやすい業態であるということです。
また、焼肉店や寿司店は、労働分配率が共に60%を下回っていることに対して、平均売上高が高く、集客しやすく、運営もしやすい業態であることがわかります。
ホットペッパーグルメ総研では、様々な調査結果が公開されており、ホットペッパーグルメの人気検索キーワードランキングも公開されています。検索数が多いということは、それだけ求められていることにもなり、集客力にも影響されることになります。
飲食店を開業するための資格や届け出とは?
飲食店の営業には様々な資格と届出が必要です。これらを行わないと無許可営業となり、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金の刑事罰が適用されます。
食品衛生責任者
飲食物を提供する飲食店や小売店では、食品衛生責任者をおき、保健所に届け出を出さなければなりません。
食品衛生責任者の役割は、店舗での食品衛生管理を行う責任者のことで、従業員などに指導を徹底し、法令違反にならないような管理を行うことです。
(1)医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
(2)学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
(3)都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
(4)学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
引用:食品衛生管理者(厚生労働省)
調理師資格を持っていなくても、食品衛生責任者養成講習会を受講することで、資格取得が可能です。受講料は12,000円程度であり、非常に人気がありますので、開業すると決めたらすぐに申し込みしましょう。
営業許可書
開業にはそれぞれにあった営業許可が必要になります。
分類 | |
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調理を行うもの1種類 | 飲食店営業 |
製造を行うもの22業種 | 菓子製造業、アイスクリーム類製造業、乳製品製造業、食肉製品製造業、水産食品製造業、清涼飲料水製造業、氷雪製造業、食用油脂製造業、みそ又は醤油製造業、密封包装食品製造業、酒類製造業、液卵製造業、豆腐製造業、納豆製造業、麺類製造業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業、漬物製造業、冷凍食品製造業、複合型冷凍食品製造業、食品の小分け業、添加物製造業 |
処理を行うもの5業種 | 乳処理業、特別牛乳搾取処理業、集乳業、食肉処理業、食品の放射線照射業 |
販売を行うもの4業種 | 食肉販売業、魚介類販売業、魚介類せり売り営業、調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し調理された食品を販売する営業 |
施設基準に合致した施設が必要になります。詳しくは、お近くの保健所でご確認ください。
防火管理者
店舗の収容人数が30人以上であれば、防火管理者資格が必要になります。300平方メートル以上の面積であれば、甲種、それ未満であれば、乙種の防火管理者が必要です。講習は近くの消防署で受けることが可能です。
深夜酒類提供飲食店営業届
深夜0時から午前6時までの間に主にお酒を提供する飲食店をオープンする時に必要な届出です。開店の10日前までに所轄の警察署に届け出を行いましょう。
飲食店の開業後の集客は何をすれば良いのか?
飲食店を開業したら、1年以内に顧客を十分に獲得できるようにしなければなりません。
顧客がいなくても、その間の固定費はしっかりかかってきます。
また、1年で30%、2年で50%は退店を余儀なくされます。その要因は紛れもなく、集客です。
最初にメニュー写真や内観などの写真をプロに撮影してもらう。
飲食店では、写真をとにかく使います。Webサイト、Googleマイビジネス、チラシ、グルメサイト、SNSとほぼ全てのコミュニケーションツールで写真の差し込みが必要になります。
シズル感のあるメニュー写真は、「食べたい」という欲求を掻き立てるものです。つまり、素人が撮影した写真を使った時よりも、集客の効率が高くなります。
Googleビジネスプロフィールの情報掲載を100%にする。
この時、オープンしたばかりですので、情報が少なく、ほとんどの人は不安になります。そのため、Googleマイビジネスに基本的な営業時間の情報を掲載することはもちろん、撮影したメニュー画像、内観・外観の画像、メニュー掲載を掲載します。
グルメサイトは商圏で選択する。
グルメサイトは、飲食店を探している人が7割参考にしています。直感的に選択するランチとは違い、ディナーは目的があることが多く、予約しやすく条件で検索もできるグルメサイトは顧客からは重宝されます。
しかし、この7割もグルメサイト全体が7割であって、食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメなどに分散します。実際に検索をしてみたり、競合店の利用状況をみて、よく使われているグルメサイトを導入するようにしましょう。
販促物を揃えるよりも認知度の向上を優先する
ホームページを作成するなど、販促物を揃えることを優先してしまいがちですが、認知度を高めるための広告を優先します。
これは、認知度の低い開業したばかりの店舗の情報は、積極的には閲覧されないからです。現在は、コストをかけてホームページを作らなくても、出稿できる広告があります。飲食店の成功を分けるのは、最初の1年の認知度形成です。
そのため、広告を運用して、商圏内の人に積極的に認知度を高めるが必要です。また、広告ならなんでも良いわけではなく、興味を引く情報を特定の地域で効率良く広めることが重要です。例えば、特定の地域に限定してポスティング広告を行ったり、ショート動画を配信できるSNS広告を活用します。
3回目の来店までのプロセスを作る。
顧客離反の割合を調べると、初回来店の顧客が3回来店に至るまでに約8割が顧客離反していることがわかります。
そのため、3回来店までに至るとその後の来店が続く法則を3回来店の法則と呼びます。ちなみに、10回来店すれば固定客化する法則を10回固定の法則と呼びます。
ありがちなスタンプカードでは10回固定の法則に準拠しており、10回来店すると10%相当のオファーが用意されています。しかし、この方法では、オファーまでに到達するまでの道のりが長すぎであまり効果がありません。
そのため、アプリなどを活用し、3回、5回、10回と現実的に手が届きそうな感覚でオファーを提供することが重要になります。
まとめ
飲食店の開業には、収益が十分に取れることが優先です。店舗ビジネスでは、一度新規オープンをすると商圏を変更することができません。そのため、事前の調査は、条件が非常に良い居抜き物件があるほど調査しておく必要性があります。
また、飲食店は開業した直後が一番集客できるため、既存顧客を維持するための対策に注力する必要性があります。
飲食店の集客方法
条件を制限した集客
最終更新日 : 2024年7月24日